2016 February

平成28年2月26日

Feb 26. 2016 かごしまんまだより

【移住のお知らせはなによりも嬉しいです】
先日、ポストに1通のお客さんからのお手紙が入っていました。お子さんの海外留学が決まったというお母さんからのご報告でした。最初はお母さんの放射能や添加物や農薬等を避ける食生活を理解してくれなかったのが、お子さん自身で調べるようになって気を付けるようになるとアトピーが改善されたり体調が良くなってきたりしたので、親子の信頼関係が修復され深まって、とうとうお子さんの意志で南方の海外へ留学することになったということです。お手紙の中の「今後、かごしまんまさんへの注文が減ってしまうとは思いますが調味料等は留学先へ送る予定なので今後ともよろしくお願いします」というくだりで、私は号泣です。
かごしまんまを立ち上げて4年経ちました。何度こういうメッセージを頂き号泣したことでしょう。ご注文がなくなることも含めて全部なんだか嬉しく感慨深いです。例えて言うならば、こんな例えをするのは失礼に値するかもしれませんが誤解を恐れずに申し上げますと『ずっと見守っていた生徒を卒業式で見送る先生のような気持ち』です。
多くの困難や立場、状況や事情がある中で、移住できる方やお子さんを海外留学させられる方は本当に本当に一握りです。また、私もそうですが皆さん決して楽な状況や余裕のある金銭状況で移住できたわけではありません。人のつながり、大好きだったもの、仕事、将来描いていた夢、時には家族。全てを捨てて歯を食いしばって移住される方を多く見てきました。今回頂いたお手紙の方も様々な事情と困難の中、ご自身はその地を離れず日本からお子さんのサポートに徹する決意をされています。
私自身は、鹿児島に住む父が2011年の夏に余命短い膵癌であることが発覚したことで、こちらに母子移住できました。そういうことがなければ決して移住はできず、今も千葉に住んで日々悩み迷って過ごしていたと思います。父の命とひきかえに移住し、かごしまんまを立ち上げることができたと思っています。だからいつも神様と父の存在を背中に感じながら感謝し日々生きています。
そして「もし私が千葉に住んでいたら」を考えてかごしまんまを運営しています。かごしまんまがあるから頑張っていける、皆さんのそんなお店でありたいです。
また、移住が最善だとも決して思いません。今それぞれの置かれた様々な状況・立場・場所の中でベストを尽くせば、と思いますし、そのお手伝いが出来れば幸いです。

今回のまんまだよりも一般の人が読んだら何のことかさっぱりわからず、大袈裟ですね(笑)。
でもこれが本音です。
311の大震災が起きて、奇跡的に移住できた私が日本のためにできること。ボランティアでは続かないけど、対価を頂く会社経営ならずっと「送って応援」が続けられる。かごしまんまからの段ボールが玄関に届いて開封したとき、「わあ♪」と感動して頂けたら。かごしまんまの野菜や食材を食べたとき、純粋に「美味しくて幸せだなあ、注文してよかったなあ」と思って頂けたら。満タンになった冷蔵庫を見たとき「これで今週も頑張れるな」と希望を持って頂けたら。それだけでこの小さな小さな会社の存在価値があるんじゃないかなと思っています。
今回も暑苦しい内容でスミマセンッ!!

今日も皆様の冷蔵庫と食卓が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から願っています。

Edit by 山下 理江

平成28年2月23日

Feb 22. 2016 かごしまんまだより

【違う考えを認める】
買い物に出かけたある日。お店で野菜を見た子供が「こういう綺麗な野菜は農薬がいっぱいかかっているからダメなんでしょう?」と言うことがあります。また、駄菓子を見て「こういうお菓子はいっぱい悪いものが入っているからダメなんでしょう?」。時にはそういう生産者さんを「どうして体に悪いのが入っているものをつくるのだろう?」と悪者のように思ってしまうこともあるようです。
これ、非常に重要で大きなテーマだと思うのです。難しいかもしれませんが、今回はぜひお子さんにも読んでいただきたいです。
添加物や農薬を避ける食生活をしていますと、多かれ少なかれ周囲から特異な視線を浴びたりもしますね。とても嫌な気持ちになりますし、「こういう考えもあるって認めてくれてもいいじゃん」とも思います。
でも同様に、農薬や添加物を普通に使う生産者さんに対しても「そういう考えもあるのだ」と認めることは人間としてとても大切なのではないかと思うのです。
そもそも農薬や添加物は必要か?はい、必要です。生産者さんは畑をころころ取り替えられません。ある畑に病原菌や害虫が大発生したら別の畑へというわけにはいかず、その畑をなんとかしないといけません。農薬を使わないと野菜が全滅してしまうこともあります。野菜が全滅したらその畑の生産者さんの収入源はなくなります。食材の添加物も同じです。品質を長持ちさせたり、均一な味にしたり、見た目を良くしたり、菌や虫が発生しないようにするために必要だから添加物を使います。農薬や添加物を使わないでたくさんの野菜や食材をつくっても、虫やカビにやられて売り物にならないのでは収入にならないのです。
もしも皆さんのお父さんやお母さんのお給料が半分減ったり全部もらえなかったりしたらどうですか?大変ですよね?
一般のスーパーやお店というのは大量の野菜や食材を必要とします。そして安くて見た目が良くて長く店頭に置く、というニーズがあります。これを叶えるには生産者さんはどうしても農薬や添加物を使用しないとできません。反対に、かごしまんまで扱うような野菜や食材は大量生産できません。手間暇がものすごくかかるからです。野菜の虫は人の手で1匹1匹取っていっていますから取りきれなくて見た目も良くありません。食材も手作りが多くて安価ではなく便利なパッケージでもありません。添加物が少ないので賞味期限がとても短いです。
理由はもうお分かりですよね。農薬や添加物をなるべく使用しない、ということはそういうことなのです。
ですから発送の1週間前にご注文を締切り、生産者さんに余裕をもって必要数を作ってもらうようにしています。
かごしまんまのような野菜や食材は首都圏の全ての人々の食をまかなえるでしょうか。給食やファミレスの食材として成り立つでしょうか。答えはNOです。
どの職業もどの生産物もニーズがあってそして対価を得られてこそ成り立っています。
農薬や添加物を使用する生産者さんも決して「悪」ではなく、日本の食を背負う大切な生産者さんです。そしてどの野菜も食材も一生懸命作ったものです。かごしまんまの食材が「良い」とか「偉い」とかそういう優劣はありません。『違う考え』で作られた野菜や食材です。311以降、周囲に理解されないことが多くてつらい思いをしている私達だからこそ、そこのところはしっかりと子供達に伝えていきたいですね。そういう『違う他者を認める』という根っこがあればこそ、給食やおやつを頑張れるし、マスクも頑張れるし、また『違うお友達』に対しても認めることのできる心優しい人間になれるのではないでしょうか。

今日も皆様の冷蔵庫と食卓が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から願っています。

Edit by 山下 理江

平成28年2月5日

Feb 4. 2016 かごしまんまだより

【ハラル認証ってなに?】
先日、新たにレトルトカリーシリーズ4品がかごしまんま商品に加わりました。
大量生産で安価なレトルトカレーは美味しくなくて胃にもたれます。でも忙しい時や体調不良の時、あると便利ですね。ずっと美味しくて安心できるものを探していました。ところが日本のレトルトカレーはかごしまんまに合うものがなかなか見つかりません。その理由は原料(特に野菜)の産地が特定できないことが多いことと、添加物や遺伝子組み換え原料が多いことです。失望してレトルトカレーはしばらく諦めていましたが、ハラル認証食材を知るようになってからは一気に希望が出て商品化できました。
食品のハラル認証制度とは、ムスリム(イスラム教徒)の方が安心して食べることができる安全な食品の品質を確保する制度のことです。ハラル食品であるためには「安全で健康によく栄養があって高品質である」という概念をみたすことがもとめられます。
大きな規制は、宗教的に不浄で禁忌である豚とアルコールを使わない事。そして安心安全な食材であるために遺伝子組み換えや健康を害するものも使わないことが特徴です。これらに由来する原料や疑わしきものでも一切ダメです。例えばコラーゲンやゼラチン、ラードも豚由来なのでアウト。遺伝子組み換えでない輸入大豆使用の醤油であっても、日本の法律(JAS法)では遺伝子組み換え大豆が混入していても5%以下までならOKとされているので、ハラル認証ではアウトとなります。アルコール添加の醤油やみりんもダメ。放射性物質については明確な規定はありませんが厳しいところでは「健康を害する」に相当すると解釈されています。ですからかごしまんまの食材が大好きな方にもハラル認証の食材は大きな指標となります。
またハラルは「農場から食卓まで」が基準となり、野菜の堆肥から商品輸送、倉庫管理、商品陳列までハラルでないものとの隔離が求められます。命を大切にするという宗教的な教えがあるので、日本の鶏や牛の肉でハラル認証を得るには非常に大変です。屠畜はムスリムの方が神の名において真摯に行うこととされており、屠畜方法も刃物によるものでないといけないからです。電気ショックによる屠畜で大量にさばいていく通常の屠畜方式は許されません。ですから日本でのハラル食材の生産製造・販売は本当に厳しいです。よって多くのハラル食材はマレーシアやタイ産だったりします(世界のムスリム人口の60%はアジア太平洋で占めています)。
嬉しいのは、ここまで厳しい食品なので原料ごとの原産地を問い合わせると即答で明確な返事が来ることです。二次原料までメーカーに根掘り葉掘り訊くかごしまんまとしては非常にやりやすいです(笑)。
かごしまんまでは色々なハラル食材を味見・検討中ですが、まずはマレーシア産の美味しいレトルトカリー類をみなさんにお披露目です。粗悪な植物性油脂やラード等を使っていないせいか、食後も胃が不思議ともたれないです。1食500円前後と決して安くはありませんが、本格的なカリー店の味そのものなので、ちょっとしたごちそうです。レトルトの概念を吹き飛ばしますよ~♪レストランで原材料や産地にモヤモヤしながら食べるよりはずっと安心で美味しくて手軽なOKフードになるのではないでしょうか。
このように、ハラル認証マーク食材は私達の普段の買物においてもOKフードな目安になりますからぜひ調べてみて下さいネ。ハラルを知ることでムスリムの方への理解も深まります。
私達は311以降、食に対してとてもネガティブになりがちですが、まだまだワクワクする食材は世界中に眠っていそうです。そう思うと気持ちがとっても明るくなりますネ。
ここなら安心して買い物ができる。スーパーに並ぶ食品よりもちょっと高くなるかもしれない、でもこれが本当の食品の味。そんなものをかごしまんまではずっと変わらず提供し続けていきたいと願います。
今日も皆様の冷蔵庫と食卓が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から願っています。

Edit by 山下 理江

平成28年2月2日

Feb 1. 2016 かごしまんまだより

【雪の影響】
記録的寒波により24日は九州各地に数十年ぶりの記録的な積雪がありました。
24日の午後、私と子供達は雪遊びですっかり冷えた身体をあたために温泉に行き、それから本屋さんに入ったのですが、すぐに15時半からホタルノヒカリが店内放送で流れ始めて本屋さんから追い出されました。多くのお店が早い時間に閉店し、バスやフェリーも運休になって高速道路も通行止めになりました。
ここ鹿屋市でも5cm~15cmほどの積雪でかなり寒くなり、葉物野菜が雪の下になってかなりダメになりました。多くの野菜に凍害が見られ、今週は野菜の高騰が確実です。
26日発送分はアクシデントの連続でてんてこまい。生産者さんから届いた多くの大根の先がちょっと凍っている。小松菜が足りない。ニンジンの表面にも凍害による模様が見られる。キャベツが凍害で枯れたような色になっている。春菊の茎が凍っている・・・。
なにより困ったのは物流でした。鹿児島でも南に位置する鹿屋市近郊は比較的道路状況がよかったのですが、山間部や北薩地方をはじめ、九州全体の道路が麻痺状態でした。まず霧島の山の中にある福山特殊農産さんの周辺道路は4tトラックの雪によるスリップ横転事故により通行止めで商品が届かず。熊本の丸美屋さん周辺の道路も通行不能でこれも商品届かず。福岡のめん食さんの麺類は到着が夕方になりました。発送作業をしながら、届かなかった商品のキャンセルそしてご注文内容・金額の変更作業をして、一日中ドタバタと緊張の連続でした。
宅配・通信販売は、物流や配送業者さんがあってこそ成立するものなのだなあ、と改めて実感しました。
普段なんとなく私達は【送料】にお金を払いたくないような気持ちがありますが、【運ぶ】というサービスこそ、
すごいことなんだなあと思います。各地に物流拠点があって、冷蔵設備があって、トラックやユニックがあって、早く正確に運ぶために多くの人が日夜働いている。【運ぶ】というサービスにはこれらの多くの経費がかかってきます。先日のスキーバス事故にも言えることですが、この【運ぶ】というサービスの安全を軽視して激安過酷競争に走ってはいけないな、と強く思った一日でした。

【ハラル認証やムスリムフレンドリー商品に注目】
ハラル認証は、主にムスリム(イスラム教徒)の方向けの食材につける認証マークですが、かごしまんまの食材が大好きな方にもハラル認証の食材は救世主です。なぜならハラル認証やムスリムフレンドリー商品は、「不要な添加物を使用しない」「遺伝子組み換え不使用」「放射性物質が検出されないこと」が基本となっているからです(認証団体によって若干違います)。厳しいところでは原料の産地や工場所在地が福島原発事故の影響があると思われる都道府県の食材は避けることも。日本での生産は本当に厳しいです。ですから多くの食材がマレーシアやタイ産だったりします。かごしまんま基準と似ていますね。色々なハラル食材の商品化を検討中ですが、まずはマレーシア産の美味しいレトルトカレーを近日中に商品UPしますね。1食500円弱と決して安くはありませんが、本格的なカリー店の味そのものでびっくりですよ~。
ハラル認証マーク食材は私達の普段の買物においてもOKフードな目安になりますからぜひ調べてみて下さいネ。

一般の商品よりも不格好なものばかり。しかし全て添加物嫌いの私と避難ママみきちゃんが厳しい目と舌で選んだものです。ここなら安心して買い物ができる。スーパーに並ぶ食品よりもちょっと高くなるかもしれない、でもこれが本当の食品の味。そんなものをかごしまんまでは今年も変わらず提供し続けていきたいと願います。
今日も皆様の冷蔵庫と食卓が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から願っています。

Edit by 山下 理江