平成28年2月23日

Feb 22. 2016 かごしまんまだより

【違う考えを認める】
買い物に出かけたある日。お店で野菜を見た子供が「こういう綺麗な野菜は農薬がいっぱいかかっているからダメなんでしょう?」と言うことがあります。また、駄菓子を見て「こういうお菓子はいっぱい悪いものが入っているからダメなんでしょう?」。時にはそういう生産者さんを「どうして体に悪いのが入っているものをつくるのだろう?」と悪者のように思ってしまうこともあるようです。
これ、非常に重要で大きなテーマだと思うのです。難しいかもしれませんが、今回はぜひお子さんにも読んでいただきたいです。
添加物や農薬を避ける食生活をしていますと、多かれ少なかれ周囲から特異な視線を浴びたりもしますね。とても嫌な気持ちになりますし、「こういう考えもあるって認めてくれてもいいじゃん」とも思います。
でも同様に、農薬や添加物を普通に使う生産者さんに対しても「そういう考えもあるのだ」と認めることは人間としてとても大切なのではないかと思うのです。
そもそも農薬や添加物は必要か?はい、必要です。生産者さんは畑をころころ取り替えられません。ある畑に病原菌や害虫が大発生したら別の畑へというわけにはいかず、その畑をなんとかしないといけません。農薬を使わないと野菜が全滅してしまうこともあります。野菜が全滅したらその畑の生産者さんの収入源はなくなります。食材の添加物も同じです。品質を長持ちさせたり、均一な味にしたり、見た目を良くしたり、菌や虫が発生しないようにするために必要だから添加物を使います。農薬や添加物を使わないでたくさんの野菜や食材をつくっても、虫やカビにやられて売り物にならないのでは収入にならないのです。
もしも皆さんのお父さんやお母さんのお給料が半分減ったり全部もらえなかったりしたらどうですか?大変ですよね?
一般のスーパーやお店というのは大量の野菜や食材を必要とします。そして安くて見た目が良くて長く店頭に置く、というニーズがあります。これを叶えるには生産者さんはどうしても農薬や添加物を使用しないとできません。反対に、かごしまんまで扱うような野菜や食材は大量生産できません。手間暇がものすごくかかるからです。野菜の虫は人の手で1匹1匹取っていっていますから取りきれなくて見た目も良くありません。食材も手作りが多くて安価ではなく便利なパッケージでもありません。添加物が少ないので賞味期限がとても短いです。
理由はもうお分かりですよね。農薬や添加物をなるべく使用しない、ということはそういうことなのです。
ですから発送の1週間前にご注文を締切り、生産者さんに余裕をもって必要数を作ってもらうようにしています。
かごしまんまのような野菜や食材は首都圏の全ての人々の食をまかなえるでしょうか。給食やファミレスの食材として成り立つでしょうか。答えはNOです。
どの職業もどの生産物もニーズがあってそして対価を得られてこそ成り立っています。
農薬や添加物を使用する生産者さんも決して「悪」ではなく、日本の食を背負う大切な生産者さんです。そしてどの野菜も食材も一生懸命作ったものです。かごしまんまの食材が「良い」とか「偉い」とかそういう優劣はありません。『違う考え』で作られた野菜や食材です。311以降、周囲に理解されないことが多くてつらい思いをしている私達だからこそ、そこのところはしっかりと子供達に伝えていきたいですね。そういう『違う他者を認める』という根っこがあればこそ、給食やおやつを頑張れるし、マスクも頑張れるし、また『違うお友達』に対しても認めることのできる心優しい人間になれるのではないでしょうか。

今日も皆様の冷蔵庫と食卓が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から願っています。

Edit by 山下 理江