【不自然な生育や栽培は薬の使用を促進し環境を汚染する】
チリ産の養殖の鮭は地元の人が食べない、という情報が先日ツイッター上でよく見られました。「チリ産も食べられなくなった」という声も多く見られましたがちょっと違うぞ、と思ったのでこれを今回のテーマにしました。チリ産の養殖だけが危険、というのではありません。『養殖』という生産供給自体が非常に不自然で有害なのです。利益と効率を追求する『産業』が、『養殖』という生産方法を選択した時から悪循環は始まります。
どうして『養殖』という生産方法が有害であるかというと、まず生育密度。自然界では自由に泳ぎ回る鮭が、養殖では利益と効率を追求するため数十メートルのいけすに数十万匹以上の超過密な環境で生育されます。人間が満員電車や保育園等の密集する場所では風邪や流行性胃腸炎などの感染症になりやすいように、過密状況下では鮭も感染症にかかりやすく一気に全滅することもあります。また密集して生育させるため、酸素濃度の低下や汚物による汚染で海中の環境が変わり有毒プランクトンの異常発生(赤潮)等が起こります。
そこで抗生物質や殺虫剤等の薬剤を使用します。生物は薬物耐性ができるのでどんどん強く大量に薬剤が使用されていきます。その薬剤は鮭だけに効くのではなく、同じ海中の周囲の生物全てに影響を及ぼしていきます。
そして餌。1匹の鮭には数キロの餌が必要です。大量に必要な餌こそ『産業』にとってコスト削減の要です。自然界の鮭の餌は小さな魚ですが、コストを追求するために餌のペレット(餌を食べやすく固めたもの)は小さな魚だけでなく養殖中に大量死した鮭や畜産業から出た廃棄物なども混ぜられ、本来食べるはずのないものを鮭が食べ続けて成長することになります。
養殖の鮭はこのように密集させられ薬剤を投与され粗悪な餌を与えられて生育するので奇形や大量死が多いです。奇形や大量死した鮭は市場に直接は回らないですが餌や廃棄処分その他に回るため、結局は私達の健康や環境破壊につながります。
ゆえに養殖の鮭は不自然で有害なのです。極論を述べますと『産業』が利益と安さを求める限り、鮭だけでなく『養殖』の魚はどんな地域であっても(日本も)同様であり、できれば避けるべき食材であると考えます。
これは畜産業でも農業でもあてはまることです。密集されて真っ暗な環境で生育されるブロイラーの鶏。子豚を1頭も踏み潰さないように寝転がされた授乳体勢のまま固定された母豚。雑草も虫もいない畑。受粉しなくても結実するF1種や、特定の農薬に強い耐性を持つ遺伝子組み換え作物。全て養殖鮭と同じ悪循環の中にあります。
全ては人間が利益と安さを追求する結果です。この結果かどうかは不明ですが、いまや自然環境はどんどん破壊されつつあり、ミツバチは減り、癌や自閉症などの病気や疾患が戦後わたしたち人間に急速に増えつつあります。できるだけ避けるべきものなのです。でもそれは現代社会では非常に難しいことです。
かごしまんまの野菜も畜産物もこの流れに完全には逆らうことができません。完璧な自然農法や無添加のものだけを求め続けることは、コストも時間もかかり過ぎて多くの人には不可能です。しかし一般的な私達が続けられる金額の範囲内で、できるだけ安全と安心を得られるよう、生産者側にも無理がないよう(←これ大切)、かごしまんまは今日も願いと祈りを込めて段ボールに野菜と食材を詰めていきます。
今日も皆様の冷蔵庫と食卓が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から心から願っています。
(追伸:新システム完成が予定よりずれ込んで遅くなりそうです。新システム移行が7月になりそうな予感です。)
平成28年6月10日
Edit by 山下 理江