【秋になる、ということ】
まだまだ暑いですが、ちょっとずつ秋の気配を感じてきましたね。朝晩がだいぶ涼しくなりました。
人間が感じるように、この朝晩の気温差を他の生物もみな感じ取ります。するとどうなるか。多くの植物に赤い色素(アントシアニン)が生成され、緑の色素(クロロフィル)の生成が抑制されるようになります。というと真っ先に思い浮かぶのが紅葉ですね。実は同じ仕組みで野菜の多くも赤くなっていきます。ピーマンや唐辛子パプリカ等も熟していくと赤くなりますし、ゴーヤも熟すと中の種が赤くなり外側も黄色く熟してきます。実はこのゴーヤの赤い種は知る人ぞ知るごちそうだそうで、生でそのまま食べるとトロッとしていてほのかな甘みがあります。赤い種になったゴーヤはそれ自体の苦さもだいぶ取れていますので子供でも食べられるほど。オクラにも赤い色素が含まれていますので、秋に近づいてくるとヘタや表面がほんのり赤くなります。
「え~!そんなの知らなかった。見たことないよ~」と多くの方が思うかもしれません。スーパーなどのお店ではそういうのは売ってないからです。
スーパーでそういうのを売っていると、説明書きがないので消費者は敬遠して買いません。『緑色で見た目が綺麗なもの』から売れていくので、野菜の規格がどんどん厳しくなって、均一で綺麗な野菜しか店頭に並ばなくなります。
でも人間にも色々な顔や体型や色の個性があるように、野菜にも本来は色々な大きさや色や形があります。均一で綺麗な野菜こそ不自然なのです。自然の中で作られているのに、葉に穴が開いていなくて菌類と戦った跡がなくて皆同じ大きさと色っておかしいと思いませんか?その多くは農薬や化学肥料まみれなのです。
人間が年齢を重ねると老化していくように、野菜も季節が進むにつれて老化していきます。ピーマンやオクラは赤みがかり、ゴーヤは種が赤くなり外皮が薄い色や黄色がかってくる。ナスは外皮が固くなってくる。(冬野菜のキャベツや大根ニンジン等も旬の最初は柔らかく小さいですが、収穫後期になってくると固く大きなものになっていきます。)でも『見た目が綺麗なものが良い野菜』であるという認識が主流の日本では、規格に従って大量生産される野菜の多くは若いうちにしか収穫されず、寿命をまっとうできずに殺されていくのです。ですから現代日本では、多くの方が『収穫前期と後期とでは見た目も味も違ってくる』という事を知らないままなのです。
鹿児島という田舎ではこの『野菜の規格』というのを知らない昔ながらの生産者さんが多く存在しています。普通に減農薬・無農薬で栽培しています。野菜の寿命をまっとうするギリギリまで収穫します。ですから色々な大きさですし虫に食われて穴が開いていますし菌類にやられて黒ずんだりしているものもあって、秋を感じて赤く黄色くなってくるものもあります。でも安心して美味しく食べられる野菜です。
かごしまんまはこういう昔ながらの生産者さんから多くの野菜を仕入れています。
赤みがかったオクラやゴーヤの種が赤くなっていたら、「ああ、初秋なのだな・・・」と季節を感じてくださいネ。
穴が開いていたり黒いシミを見つけたりしたら、「ああ、虫や菌類と戦った跡なのだな、減農薬の証だな」と安心して食べてくださいネ。
今日も皆様の冷蔵庫と食卓が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から心から願っています。