2016 October

平成28年10月28日

Oct 27. 2016 かごしまんまだより

台風16号が九州中に被害をもたらした影響が続き、今の鹿児島のスーパーでは、キュウリが1本120円、キャベツが300円、白菜が半分や1/4で500円、レタスもワンコインの500円です。ほうれん草や小松菜などの葉物は姿を消し、買い物に来た主婦がため息をついてうろうろしています。
台風が多くのビニールハウスや畑の作物を破壊していったからです。でもかごしまんまの野菜セットが(もやしやみかんやカイワレが入るにしても)続けていけているのは、ひとえに生産者さんと野菜セットを買い続けて下さっている消費者の皆さんのおかげです。
例えば今回の深ネギは、平岡農園さんが台風の前に深ネギを葉の半分位まで土中に埋めて守りました。完成しているネギ畑に入り、ネギを守るように土を50cm近く被せていく。これはすごい重労働な作業です。また、平岡さんは台風シーズン前にインゲン畑の周囲にエンバ(飼料用麦の一種)を植えて台風からインゲンを守りました。
そういう野菜はもちろんこういう今の時期には本当はかごしまんまに野菜を卸すよりも市場に出した方がずっと高値で売れます。それでもかごしまんまに卸してくださるのは年間を通してずっと一定価格で買い続けているからです。例えば今は野菜の高値が続いていても、台風後はずっと穏やかな天気でそこそこ雨も降っているのであと1~2週間もすれば野菜がワッと出てきます。1度に野菜がたくさん出てきたら今度は値が大暴落し始めます。そういう値が下がった時でもかごしまんまは一定価格で買い取ります。こういうのを契約栽培農家さんといいます。契約栽培は、不安定な農産物価格を安定させてまとまった売り上げになるので、生産者さんにとっても大きなメリットです。ですから、値が高騰した時も暴落した時も一定価格でまとまった量を買い続けることは、とても重要です。
それと共にもう1つ、市場の価値観ではなく契約栽培には『減農薬栽培を推奨する価値観』が非常に重要になっていきます。それは、かごしまんまのために作ってくれた野菜なので、変な形でも、大きさがまちまちであっても、虫の穴があっても虫がいても、旬の始まりであっても終わりであっても(補足:旬の始まりは野菜が小さく柔らかい・旬の終わりは野菜が大きく固い)、腐っていたり傷んでいたりしているものでなければ常に買い取るということです。そうすることで、相手が困っているときはお互い助け合う信頼関係が構築されていきます。それが実現できるのも、ひとえに定期便の方や定期的に野菜セットを買い続けて下さる消費者の皆さんのおかげです。本当に本当にありがとうございます。

【レンコンにつきまして】
レンコンがしばらく続いておりますが、単独での商品化へのお問い合わせをよく頂きます。すみません、レンコンの単品商品化は実現がかなり難しいです。といいますのは、レンコンはその名のとおり蓮の根で、粘土質の水田でないと育ちません。火山灰でできたシラス台地の鹿児島ではまず無理で、九州でも佐賀県など産地はごく限られてきます。レンコンはソーセージのようにつながった状態で箱に4~5kg入って市場からの仕入れとなります。注文が少なくても最低でもこの1箱を取らねばならず、また、箱ごとの仕入れになってくるのでロスが多いため、単品商品としては現在は取り扱うことができません。美味しくて気管支系統や胃腸、美肌にも良いとされているレンコン。秋の今だけ野菜セットに入っています。どうぞ今週もお楽しみくださいませ。
今日も皆様の冷蔵庫と食卓が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から願っています。

Edit by 山下 理江

平成28年10月18日

Oct 17. 2016 かごしまんまだより

【目を育てる】
舌を育てる話、鼻を育てる話ときましたので今回のテーマは『食材を選ぶ目』です。
すみません、今回はいつもより増して暑苦しく長い文章になってしまいました。

『ホントの良い野菜・果実の選び方』
普通はシャキシャキしているかとか色形が良いかとかが野菜を選ぶ基準だと思いますが、ホントの安心安全を求めるなら視点はちょっと違ってきます(複雑になってしまうのでここでは産地の話はないと仮定しますね)。
まずスーパー等の大型店舗では買わないようにします。できれば道の駅や生産者直売所のようなところで購入します。なぜならスーパー等の大量仕入れ店舗の野菜の多くは市場からで、重視されるのは『規格と価格』だからです。形と色と大きさの基準が細かく決められており、規格外の野菜は市場では良い値がつきません。虫の穴があったり形が変だったり曲がっていたり大きかったり小さかったりする野菜はB品C品として安くたたかれてしまいます。『農薬や化学肥料の使用頻度』は全くといっていいほど問われません(もちろん放射能は1ミクロンも気にされていません)。
おのずと市場へ野菜を卸す生産者さんは、市場のニーズに合わせてキレイで均一な品質の安い野菜を作るようになっていきます(←つまり農薬や化学肥料を大量使用)。
ホントの安心野菜の選び方はこうです。
葉物は大量に虫の穴があったり虫がいたり、キュウリやオクラは曲がっていたりシミやキズの跡があったりするといいです。虫の穴が開いていたり虫がいたりすることは減農薬の証ですし、野菜が曲がるのは虫や菌類からの傷を治すときに身をよじるからで、これも減農薬の証です。梅やミカン・金柑等の木になる果実も、土の中にいる大根やニンジンも、表皮にシミやキズの跡がたくさんあるものがいいです。
自然の中で育つのに、安全な無菌環境・虫排除なんて無理な話です。殺菌剤などの農薬を散布されて表面の菌類や虫が殺され寄せ付けられないでいるからキレイな見た目の野菜や果実になるのです。
レンコンは泥付で汚い色をしているのが漂白液や酢などの添加をしていない証です。米や小麦粉や小豆も虫が混入しているようなものはむしろ安心安全で減農薬の証であったりします(気持ち悪いですけれどね)。
つまり、野菜・果物は見た目が悪くて虫がいたりするくらいの方が減農薬栽培で安心できるものなのだ、ということです。その上で、鮮度が高いものを選ぶといいと思います。
輸入モノでキレイな野菜や果実も薬漬けの危険がかなり高いです。何日もかけて農場からはるばる日本へ『キレイな状態のまま』やってくることはとても不自然です。日本のイチゴの旬は冬。夏でもケーキ屋さんのショートケーキにキレイなイチゴが載っているのはとてもとても不自然なことなのです。

『騙されない食品表示の見方』
『原材料』の中でよく見る、果糖ぶどう糖液糖・植物油・醤油・アミノ酸・乳化剤・シュガーレス(またはカロリーオフ)という表示は安心そうな雰囲気を醸し出していますが、実は違います。
実は日本はGM作物の消費量が世界第1位と言われています。しかしながら私達は『遺伝子組み換え(GM)でない』という表示を目にすることは多いですが、『遺伝子組み換えである』という表示を見ることはまずありません。ではいったいGMはどこへ行っているのでしょうか?例えばジュース類や缶コーヒー等に含まれる果糖ぶどう糖液糖。この原料のトウモロコシのほとんどはアメリカのGMです。植物油の原料になる大豆や菜種も表示義務がないのでほとんどGMです。醤油の原料の大豆も表示義務がないので加工食品に使われる業務用醤油のほとんどはGM。畜産業の安い輸入飼料もGMです。
GM作物は遺伝子を人工的操作する点でも怖いですが、他の植物が死滅するような強い農薬をかけても枯れない点が非常に怖いです。つまりGMとはかなり農薬まみれな作物なのです。だからなるべく避けたいものであるはずなのに、なぜか日本では『遺伝子組み換えでない』というアピール表示はたくさん見るのに、実際にGMが原料の食材は国の方針で巧妙に表示義務がないものになって私達の口に入ってきています。
例えばポテトチップスの食品表示に『馬鈴薯(遺伝子組み換えでない)、植物油、醤油、アミノ酸』とあります。芋がGMでなくて安心しても、実は植物油と醤油はGMでアミノ酸は化学調味料というふうに、消費者側に知識がないとどんどん身体に悪いものを取りこんでいってしまうような食品表示が日本の食品の実態です。
『アミノ酸』という表示はなんだか栄養素的なイメージを消費者に抱かせますが、実はこれはグルタミン酸ナトリウムで味の素の主成分である人工的な旨味調味料です。
お菓子やパンや缶コーヒーやマーガリン等、挙げたらきりがないくらい多くの食品に入っている『乳化剤』は、『乳』という字からソフトなイメージや乳製品を連想しがちですが違います。油と水のような混ざりにくい2つの物質の表面の性質を変えて混ざりやすくする添加物で、『界面活性剤』と呼ばれる人工的な化学物質です。
チョコレート等に入っている『レシチン』(大豆由来と記載されている)も乳化剤で、しかもこの大豆のほとんどはアメリカ産、つまりGMです。
ね?私達はGMや人工的物質をたくさん食べているでしょう?
『シュガーレス』や『カロリーオフ』の表示も女性には優しい食材・飲料と思われがちですが違います。アスパルテームやステビアという人工甘味料が入っていることがほとんど。これら人工甘味料の危険性はネットで検索すればたくさん出てきます。そして健康を守るべきお医者さんで処方される小児用の甘いお薬には、砂糖ではなくほとんどこの人口甘味料が入っているのです。
・・・だんだん腹が立ってきましたね。このくらいでやめましょう(笑)。

かごしまんまの商品もこれらの添加物が入っているものがあります。完全に除去した完璧な食材だけを商品にしていきますと、全てが高額になって日常食材ではなくなってしまいますし、そもそもそういう完璧な食材は皆無ですし放射能も含め食品の安全基準は人それぞれです。
そこでかごしまんまは商品の原材料表示を一番重要に考え、実際の商品に記載されているメーカー表示よりも詳しく記載するようにしています。食品表示の詳しさ選手権があったら日本一を取ろうと思っています。
どうぞ食品表示をよく見て、食べる・食べない・たまにならOK・ダンナにならOK・遠足のときだけOK・・・等とジャッジしながら選んでください。
この不思議な国、日本は、推測するに放射能も農薬も添加物もGMもどうやら世界で最も消費されているようです。この国で生き抜くには、普段から『なるべく避ける』ように自分の目を育て、食品表示をよく見て、その中で、まあこれなら許せるかな、という食材をそれぞれの判断と基準で選択しなければいけないようです。
戦後から今日までかけて70年かけて日本のがん罹患率は5倍になってきています。
戦前の、魚と野菜と漬物とご飯と味噌汁の食生活から、私達はいったいどう変わっていっているのか。
舌と鼻と目を育てて、放射能だけではなくあらゆる方向から考え、取捨選択して防御していかねばならないなあ、と切に感じます。その負担を、少しでも軽くして食が楽しくなるようにこれからもかごしまんまを頑張りますね。
今日も皆様の冷蔵庫と食卓が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から心から願っています。

Edit by 山下 理江

平成28年10月14日

Oct 13. 2016 かごしまんまだより

【ニオイは愛しい】
養鶏場や養豚場はものすごいニオイと騒音の為、都市部では住民運動で移転や廃業を余儀なくされたという話がたくさんあります。また、住宅地に隣接する畑ではニオイの強い堆肥(糞尿)や米ぬかや油粕などの有機肥料を使用すると苦情の嵐になることもあります。
実際、私も千葉にいた頃は養鶏場や養豚場の周辺のニオイが強烈で嫌でした。
でもここ鹿児島、特にここ大隅半島は畜産王国。農業王国。いつも何かしらニオっています。畑に撒いた堆肥。その堆肥で育ったさつま芋から焼酎ができ、その焼酎かすを牛や豚が食べたり畑に撒かれたりして牛や豚や野菜が育ちます。菜の花が咲き誇り、菜種油が採れると、その油粕を畑に撒いて野菜の栄養になります。
このように有機肥料が大量にあって地域で循環しているので、大隅半島は自然と減化学肥料・減農薬栽培になっています。(都道府県毎の慣行栽培を調べると、鹿児島や宮崎は他の都道府県に比べて化学肥料・農薬使用量が少ないことがわかります。作物にもよりますが使用量が多いのは北海道などの大型農業地です。)
住んでいる人達も多くが農業に携わっているのでニオイが当たり前の生活です。
ニオイの少ない化学肥料を使うと1期目はいいのですが、土の成分や生物のバランスが崩れていくので2期目以降の野菜の出来が悪くなったり連作障害などが出やすくなったりします。自然の中で出てくる有機肥料は自然に還りますが、人工的につくった化学肥料は自然に還らず畑のバランスを壊したまま悪循環にはまっていきます。窒素を多く含む化学肥料は、野菜も硝酸態窒素などの苦みやエグミ成分を多く含むようになります。農薬の多用は微生物や虫に耐性がつくのでさらに強い農薬を使うようになっていきます。
ところで私達が飼うペットも私たち人間も必ず臭い糞尿を排出しますね。夏は水分を多くとって食欲が低下し、冬は体脂肪を身体に備えて太りますね。
同じように、開放畜舎で飼う豚や牛や鶏も夏にはたくさん水を飲んで食欲が低下し、冬には食欲が増して脂肪をたくさん身体に蓄えます。ですから肉質や乳成分も季節によって変化します。冬に『やごろう豚』や『黒豚』がびっくりするほど脂身ばっかりになったり、夏に『ごちそう卵』が水っぽくなったりするのもそのせいです。
閉鎖型畜舎で周囲にニオイを出さず、温度も湿度も光も1年中一定にしてあまり動けないようにして、満員電車のように密集して大量飼育しているのに抗生物質や薬剤の投与を多用して病気にならないようにした品質が均一な肉や卵は本当に安心安全でしょうか。
畜産業や農業に魔法はありません。
私達が添加物や化学調味料や人工甘味料を多く含むものを食べたり日光に当たらないと体調を悪くしたりしていくように、人工的化学的なものを多用した野菜や鶏さん豚さん牛さんも決していい方向にはいきません。
昔ながらの自然循環からできていく有機肥料、季節や光を感じる自然な飼育方法が一番なのです。
今日もかごしまんまの事務所周辺に漂う香ばしいニオイに愛おしさを感じながら、大きな空の羊雲に向かって「ニオイ万歳!」と両手を上げて深呼吸します。(ただしこれもまた放射能防御と一緒で、ニオイ万歳!なんて言うと日本ではまた生きにくくなるんですけどね~。ここ鹿屋市でもニオイ問題は時々議題にあがります)
今日も皆様の冷蔵庫と食卓が安心と幸せで一杯になりますように。鹿児島の農業・畜産業がずっとニオっていますように。同じ空の下、心から心から願っています。

Edit by 山下 理江

平成28年10月4日

Oct 4. 2016 かごしまんまだより

【舌を育てる】
子供は、最初は野菜や香辛料が苦手でも少しづつ食べる練習をして慣れていきます。大人になってから食べられるようになったもの、大人になってから美味しいと思うようになったものって結構あると思います。
これは舌が、初めての強い刺激のものには苦手信号を脳に送るのですが、少量ずつ何回か食べることによってその刺激に慣れていき、少しずつその食材の旨味や深みを理解していき、「なんかこの味がわかるようになった♪」「なんか美味しいと感じるようになった♪」となっていくからです。
ですから、子供のうちからピーマンやゴーヤやシソ、キビナゴなどをほんの一口ずつでもいいので繰り返し食べることが大切です。大人になってからも同様で、例えばゴーヤが苦手であってもほんの一口ずつでもいいので繰り返し食べていくことが「なんかゴーヤが美味しく感じるようになった♪」の第一歩なのです。ポイントは毎回少しずつ食べる量を増やしていくこと。特に夏に食べるゴーヤは、夏の身体が必要としているミネラルや栄養がたくさん含まれているので、腸がそれを学習し脳に伝えます。繰り返し食べることで腸と脳と舌が連動して「ゴーヤを食べるとなんか身体が回復する!だから夏はゴーヤ、食べたい!」という記憶を刻むようになります。
シシャモやキビナゴについても同様で、最初はその苦みの刺激に舌が拒否反応を起こします。でも少しずつ繰り返し食べていくことで、腸と脳と舌が連動して「なんか栄養があるし、しかも旨み成分もあるぞ~」と認識できるようになります。舌が育っていくのです。
実は、人工的に作られた食品添加物や水道水に対しても同じです。
戦後の現代社会では(特に日本では)多くの人は食品添加物の味に慣れてしまっていて、腸も脳も我慢している状態で、舌に「危険だよ~」という信号を送ることを諦めています。でも半年ほど、添加物を極力避ける食生活を送ってみて下さい。サッカリン、ステビア、甘草、亜硝酸ナトリウム、着色料、アミノ酸・・・。添加物は数えきれないほどありますが、なるべく避けてみてください。※『アミノ酸』は栄養素のような名称ですが、これは人工的に作られた化学調味料(グルタミン酸ナトリウム・味の素など)のことです。
外食や弁当やお惣菜を買うのをやめていくと私達の舌には変化が起こってきます。舌が化学調味料や添加物の味がわかってそれを拒否するようになります。外食で化学調味料を使っているか否かが舌でわかるようになります。スーパーのお惣菜が美味しくなくなります。野菜もスーパーの野菜より生産者直売コーナーの野菜や減農薬野菜の方が美味しく感じるようになります。水も同じです。良い水を飲んでいると塩素が強くわかるようになります。
これは私の周りの人に実験してもらってほとんどの人が実感しています。騙されたと思って半年の間、添加物デトックスをしてみて下さい。半年後、自分の舌が驚くほど添加物に拒否反応を起こすことがわかります。
特に調味料に気を付けていれば、手作り食生活を半年続けるだけで腸も脳も復活して、添加物や人工甘味料が口に入った時には舌に「添加物があるよ、嫌だよ、美味しくないよ~」ってちゃんと教えてくれます。さらに続けていくと添加物入り食材を食べると口内炎ができることも。腸と脳と舌はお互いに連動していて、舌を育てると私達にきちんと健康と危険を教えてくれるのです。戦後、癌が急激に増えた理由の一つに、この食品添加物が大きく関係しているのではないかと私は推察しています。
舌を大切に育てて、旬に必要な栄養素や旨みや危険を敏感にわかるようになると、料理もぐっと楽しくなります。
(ただし放射能防御と一緒で、添加物や人工甘味料がわかると日本ではまた生きにくくなるんですけどね~笑)
今日も皆様の冷蔵庫と食卓が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から心から願っています。

Edit by 山下 理江