2016 November

平成28年11月29日

Nov 28. 2016 かごしまんまだより

再掲【パン類が九州産小麦に変更になります】
めったに流さないメールマガジンにて先日お知らせしましたが、かごしまんまのパン類の主原料の小麦粉を12月2日発送分から九州産に切り替えます(現在はカナダ産)。
九州産小麦粉のパンは、かごしまんま設立当初からの悲願でした。しかし九州産小麦粉は他の小麦粉よりも高くてグルテンが少なめなため、普通はパン屋さんでは使用しません。少な目の水分でよく膨らむ海外産小麦粉が扱いやすく安価なので主流です。パン屋さんは地元でパン屋を経営しながら発送日にかごしまんまのパンを作ってくれています。地元の一般的なニーズは『手作りで美味しくて買い求めやすい価格帯のパン』です。一方、放射能や農薬や添加物をなるべく避けて安全なものを食べたい私達のニーズは『九州産でなるべく添加物のないもの』です。パン屋さんがかごしまんまのニーズに合わせると、地元の一般的なニーズに応えられず経営に影響してくるのは想像に難くありません。つまりかごしまんまのパン類の小麦粉を九州産にすると、パン屋さんは九州産小麦粉のパン類と普通の海外産小麦粉のパン類の両方を作らねばなりません。それに見合う注文量がなければ手間の負担と材料のロスがかかりパン屋さんの経営がたちゆきません。九州産小麦粉は水分を多くしないとよく混ざらない、グルテンが少ないせいか膨らみが弱めなので小麦粉の量を多く必要とする、という特徴があります。このため普通の海外産小麦粉のパンに比べて九州産小麦の場合は労力も原料費も上がります。その差、食パン1斤につき原価でおよそ100円でした。・・・高いですね・・・。本当にすみません・・・。大手のパンがスーパーの目玉商品として100円で買えてしまう世の中で、1斤400円を越える食パンはどうだろう?という迷いも正直あります。しかし、パン類は子供達が大好きなもの。特に安全に気を遣いたい。そう強く思う私自身がいました。思い切ってやってみようと思います。嬉しいことに、水分も小麦分量も増えるので味もグレードUPします。
海外産の小麦粉は、船便で数か月かけて海を渡って日本にやってきます。その間、虫やカビが発生しないように殺菌剤や防カビ剤や防虫剤等の薬をかけられたり混ぜられたりします。これをポストハーベストと言います。薬を使用しなければ、小麦粉は虫が発生します(井之上さんの無農薬栽培の小麦粉がそうで、よく虫が発生しています)。野菜や果物も同様で、海外産の農産物は輸送に時間がかかるため、殺菌剤や防カビ剤や防虫剤等の薬を使用してずっときれいなままを保ち商品価値が下がらないようにしています。一般的に農薬はなるべく収穫日から遠ざけて使用します。収穫日の〇〇日前までに使用、と記載があるのはこのためです。しかしポストハーベスト農薬は収穫後の施薬なので、毒性が高く残っている可能性があるのです。
国やメーカーは判を押したように『国が決めた基準値内だから大丈夫』と言います。しかしこの基準値も、単体での摂取の場合であって複合的な摂取量や子供・妊婦への影響やどのくらいの小麦摂取量が基準になっているのかも明確ではありません。この国の数々の公害等の歴史等に照らし合わせても、安心の基準は国にゆだねるのではなく自分自身で調べて判断していかねばならないと思います。
また、九州産小麦を消費することが国内の農業を応援する第1歩だと思います。
不自然に綺麗で虫やカビひとつない輸入農産物より、虫がいるような農産物の方が本当の安心安全です。
今回の改定ではまだ薄力粉を使用するパン類・ケーキ類は九州産小麦にすることができませんが、将来的に九州産にできるよう、無理ない範囲で一歩一歩やっていきます。これからもどうぞよろしくお願いします。

Edit by 山下 理江

平成28年11月15日

Nov 14. 2016 かごしまんまだより

【まだまだ野菜の高値は続いています】
先週のまんまだよりは野菜の異常すぎる高値が主題でした。地元の野菜直売所には、ほんの少しですが葉物野菜が出始めてピークを過ぎた感もありますが、まだまだ野菜の高値は続いています。やや大きめのキャベツが入ってきていますが、価格は例年の1.5倍。しかも11月は旬真っ盛りなはずなのに…(涙)。
あまりに野菜の高騰が続くので、これから多くの生産者さんがいっせいに出し始めて急激な下落が起こることも予想していたのですが、どうやら今後も厳しい状況が続く気配も出てきました。
といいますのも、今、タマネギの苗がどこにもないんです。タマネギは3月位に新玉ネギが出始めるので、今が苗を買って植え付ける時期なのですが、どこも売り切れ。タマネギは家庭菜園クラスであっても、本来なら300株は欲しいところ。それが今年は園芸店に開店前から並んでもひとり100株ずつしか買えないそうです。家庭菜園好きのおババ(我が母)が大変困っておりました。どうやら今年はタマネギの苗の生産地も多くが台風や天候不順でやられてしまって不足状態になっているようです。先日はそのことが新聞にも取り上げられていました。
・・・ということは、来年の新玉ネギの高騰は確定ですね・・・(大泣)。
今の日本の農業は本当に危機的な状況だと考えます。関東など都市部に人口が集中し、農業は田舎に任せられている現状。しかし田舎では過疎化が進んで若者は都市部へ流出し、生産者はどんどん高齢化しています。
先日、近所の生協へ買い物に行ったら卵のコーナーに張り紙がしてありました。『養鶏農家さんがひとり廃業されたため、卵の供給数が不足しています』と。
農業は自然や生き物と向き合う職業です。野菜一つを作るにしても、その畑の土壌の性質やその土地の気候など色々試行錯誤して、その畑に合った品質の野菜を安定してつくれるようになるまで10年かかるといいます。
畜産業も、良い卵や肉質にするために飼料や育て方を何年も何年も試行錯誤していきます。
梅や栗や柑橘類、梨、リンゴ、ブドウなどの果樹から収穫する作物はさらに大変です。植樹してから安定して収穫できるようになるまで10年以上かかり、収穫作業も果樹園の維持も本当に重労働です。そして収穫期以外のシーズンの収入がないので、副業をしなければ生活が成り立ちません。
そういう大変な苦労を重ねている中で、ひとたび野菜や鶏・豚・牛に病気が広まると全部ダメになることもあります。鳥インフルエンザ、口蹄疫、原発事故等がそうですね。手塩にかけて育てたものがいっぺんにダメになる。国からの補償もないに等しい。そりゃ、廃業していきますよね・・・。
そうしてひとりの農家さんが廃業したら、そのぶん供給不足になって徐々に値段が上がっていきます。
多くの人たちにその関心がないまま、日本の農業は着実に衰退への道を進んでいっています。
「野菜が高いから、安い冷凍野菜や輸入野菜を買おう」・・・そんな特集を組んだTV番組もあるようです。
消費者が付加価値を評価せず安くてきれいな野菜だけ求めていけば、自国の農業が絶えていき、農産物を輸入に頼るようになるのはそう遠い未来ではありません。そしてもし戦争や紛争や世界的な不作がおきたときには私達の食料供給は止まりかねない、という危険性がすぐそこまでTPPと共にやってきています。
野菜が不作で高い時の今こそ、全ての生産者さんへの思いやりを持つことがとても重要な気がします。
高くても、小さくても、少なくても、穴があっても、曲がっていても、色が悪くても、全体的に腐っていたり傷んでいたりしなければ買って応援し、悪い部分をカットして、大切に『大地の恵み』を頂こうではありませんか。

Edit by 山下 理江

平成28年11月8日

Nov 7. 2016 かごしまんまだより

【今秋の野菜状況は異常ですね・・・】
いつもだったら6~8玉入りのキャベツ段ボール箱に、今日(11/7)はキャベツがなんと21玉も入っていました。こんなに小さなキャベツが市場からはいってくるなんて初めてのことです。しかも小さくても未熟ではなくちゃんとしたキャベツです。つまり、いいものができずなかなか大きくならなかったから仕方なく収穫した、という感じです。そしてひと箱がとても高値!びっくりします。

今は鹿児島でもスーパーだけでなく温泉の生産者直売コーナーでも小さめの白菜が598円、キャベツが398円、レタスが298円という価格です。しかも数も圧倒的に少ないので店頭がさみしい感じです。
しかし生産者さんが決して悪意を持って価格を高くしたり出し渋ったり小さな野菜を出したりしているわけではありません。なぜなら野菜は収穫期になれば待ったなしで収穫せねばならず、鮮度も命。ストックなんて根菜類くらいしかできません。収穫したらすぐ市場に出さないと売り物にならないのです。収穫できないから出せない。収穫量がないなら価格を高くしないと、生産者さんの生活が成り立ちません。簡単に述べますと、いつもはキャベツ6000玉で生計を立てていたところ、不作で2000玉しか収穫できなかったとしたら、1玉あたりの価格を3倍にしないと生活がたちゆかなくなってしまいます。
台風16号が通過していった地域(主に九州)の野菜は壊滅状態。北海道や東北の野菜の一大供給地域も台風や洪水でやられてしまいました。被害を免れた地域もなぜか今秋は野菜の成長が悪くてなかなか大きく育たないのです。天候不良と言われていますが、今年はそんなに天候が悪かったようには思えないですが、たしか全国的に1月はたくさん雪が降って、ここ鹿屋市でも数十年ぶりに積雪がありました(1月24日)。
こんなに全国的にダメな年はなかなかないのではないでしょうか。
加えて農業従事者人口の減少。肉体的にキツく自然に左右され収入が安定しない農業。若者離れはとまりません。
日本の食料自給率は確実に下がっていっています。
例えばイチゴ。昔は専用のスプーンでたくさん潰して牛乳と砂糖をかけて食べませんでしたか?今のイチゴは高価でとてもそんなことできません。苺スプーンの存在を知らない人も多くなってきましたね。トマトも梨もぶどうも昔はこんなに高くありませんでした。需要に対して供給が低下しつつあることが主原因の一つだと思います。
こんな日本の状況で、TPPによって海外の安い野菜や米が大量に入ってきたら、多くの農家さんは辞めてしまうのではないかと危惧しています。(かごしまんまのお客さんは価値観が違いますが、)世間一般では『見た目がキレイで安い野菜』が売れるからです。海外から入ってくる野菜は例外なくみんな見た目がキレイです。なぜなら日本へ到着した時に品質が悪いようでは日本側に買い取ってもらえません。輸入野菜は消費者へ届くまでの日数がかかるので途中で品質が劣化しないように農薬が通常よりも多く使用されているとみていいでしょう。根菜類や米や小麦粉など比較的日持ちする農産物は、輸送コストが低い船便でやってくるためさらに日本へ到着するまでに時間がかかります。その間に虫が発生したり腐ったり品質が悪くなったりしないようにするにはやはり農薬が使用されます。遺伝子組み換え作物などももっと入ってきやすくなることでしょう。冷凍食材や加工品になっていない限り、輸入作物で無農薬や減農薬ものは非常に数少ないと思われます。
今秋の野菜の状況の異常ぶりは、そう遠くない未来の日本の農業・食糧の序曲のような気がしてならないのです。

Edit by 山下 理江

平成28年11月4日

Nov 2. 2016 かごしまんまだより

【冷凍食材についての進捗状況報告】
冷凍食材の商品化を目指して数か月前から取り組みを始めています。どういう冷凍食材があればいいのか、PB食材(かごしまんまオリジナル)と既存の市販食材の両方を商品化していくのがいいのか、またはどちらを商品化していくのがいいか、皆さんから色々なご意見・アイデアをたくさんお寄せくださり、本当にありがとうございました。PB食材の商品化を希望する声、PB食材と一般商品の両方を取扱い、なるべく買いやすい価格設定にして欲しい、でも無理しないで、との声が多かったです。感謝と有難い思いでいっぱいです。
冷凍庫設備の融資もおりて設置工事も10月末にできました。
目標は年末の発送までにスタートすることです。
検討の結果、まず一般食材から商品化を始めたいと思います。PB食材は商品化までに時間がかかるからです。
お弁当食材の商品化を夢見たことがきっかけでしたが、まずは年末年始や休日の食材の商品化から実現しそうです。骨付き鶏肉とか丸鶏とか鶏ガラとか炒飯やコーンやミックスベジタブルやカットマンゴーなど。
どれも比較的買いやすい価格帯でご提供できそうですが、餌のGM有無や農薬や添加物などをこだわりとおすことは非常に難しいこともわかりました。ここ鹿児島は、それら食の安全に対しての意識がなかなか難しいものがある土地柄。理由の一つにおそらく九州の醤油独特の甘みがあります。九州の甘い醤油のほとんど全てにはサッカリンや甘草・ステビアなどの人工甘味料が入ります。また、さつま揚げ等の加工食品には人工アミノ酸(グルタミン酸ナトリウム・代表的商品名は味の素)を入れる傾向があります。そして畜産業界が不景気と飼料・燃料高騰で非常に厳しく、こだわりの飼料にする余裕が全然ありません。業界事情にかごしまんま基準を合わせることは本当に厳しいなあ、と改めて実感しています。スーパーで何も買えなくて大きくため息をつく・・・。商品開発でもいつもそれを繰り返しています。
完璧な食材はなかなか見つかりませんが、かごしまんまができる現状で一番いい食材を商品化していきます。必ずどの商品も原材料表示を詳しく記載します。それを判断材料にして購入するかしないかを各自ご判断してご注文ください。
また、PB食材の研究開発も続けていきます。ただ、かごしまんま脱脂粉乳(スキムミルク)を商品化してみてわかることは、PB商品はどうしても売価が高くなる、ということが課題です。
脱脂粉乳も九州産が全くないのでオリジナル商品化しましたが、メーカーから届いた25kg袋を詰め替えしていくだけのものなのにパッケージ代や機材・人件費を入れていくと市販品の倍の価格になってしまいました。
何度もメーカーにリクエストしましたが、生クリームも脱脂粉乳も一般消費者向けの小分けタイプの商品化は実現しません。かごしまんま脱脂粉乳はいつも賞味期限の関係で廃棄処分にするものも多い赤字商品です。なんだか悔しいしバカらしいなあ、と感じます。私達はただ、九州産で安心安全な食材が欲しいだけなのに、なぜこんなにも無力で苦しいのでしょうね・・・。
でもめげずに頑張っていきますよ~!だってかごしまんまはみんなの冷蔵庫を幸せで一杯にする食の砦です。
周囲に理解されなくて、子供のおやつや給食に悩んで、茶話会のケーキやお茶に悩んで、PTA主催の焼きそばやおにぎりに悩んで、修学旅行や運動会や遠足で悩んで、入院先の食事に悩んで、会社のおつきあいや親戚との集まりに日々悩んでいる皆さんの食の砦ですからね。希望を捨てずに同じ空の下、共に頑張っていきましょう。

Edit by 山下 理江