【今秋の野菜状況は異常ですね・・・】
いつもだったら6~8玉入りのキャベツ段ボール箱に、今日(11/7)はキャベツがなんと21玉も入っていました。こんなに小さなキャベツが市場からはいってくるなんて初めてのことです。しかも小さくても未熟ではなくちゃんとしたキャベツです。つまり、いいものができずなかなか大きくならなかったから仕方なく収穫した、という感じです。そしてひと箱がとても高値!びっくりします。
今は鹿児島でもスーパーだけでなく温泉の生産者直売コーナーでも小さめの白菜が598円、キャベツが398円、レタスが298円という価格です。しかも数も圧倒的に少ないので店頭がさみしい感じです。
しかし生産者さんが決して悪意を持って価格を高くしたり出し渋ったり小さな野菜を出したりしているわけではありません。なぜなら野菜は収穫期になれば待ったなしで収穫せねばならず、鮮度も命。ストックなんて根菜類くらいしかできません。収穫したらすぐ市場に出さないと売り物にならないのです。収穫できないから出せない。収穫量がないなら価格を高くしないと、生産者さんの生活が成り立ちません。簡単に述べますと、いつもはキャベツ6000玉で生計を立てていたところ、不作で2000玉しか収穫できなかったとしたら、1玉あたりの価格を3倍にしないと生活がたちゆかなくなってしまいます。
台風16号が通過していった地域(主に九州)の野菜は壊滅状態。北海道や東北の野菜の一大供給地域も台風や洪水でやられてしまいました。被害を免れた地域もなぜか今秋は野菜の成長が悪くてなかなか大きく育たないのです。天候不良と言われていますが、今年はそんなに天候が悪かったようには思えないですが、たしか全国的に1月はたくさん雪が降って、ここ鹿屋市でも数十年ぶりに積雪がありました(1月24日)。
こんなに全国的にダメな年はなかなかないのではないでしょうか。
加えて農業従事者人口の減少。肉体的にキツく自然に左右され収入が安定しない農業。若者離れはとまりません。
日本の食料自給率は確実に下がっていっています。
例えばイチゴ。昔は専用のスプーンでたくさん潰して牛乳と砂糖をかけて食べませんでしたか?今のイチゴは高価でとてもそんなことできません。苺スプーンの存在を知らない人も多くなってきましたね。トマトも梨もぶどうも昔はこんなに高くありませんでした。需要に対して供給が低下しつつあることが主原因の一つだと思います。
こんな日本の状況で、TPPによって海外の安い野菜や米が大量に入ってきたら、多くの農家さんは辞めてしまうのではないかと危惧しています。(かごしまんまのお客さんは価値観が違いますが、)世間一般では『見た目がキレイで安い野菜』が売れるからです。海外から入ってくる野菜は例外なくみんな見た目がキレイです。なぜなら日本へ到着した時に品質が悪いようでは日本側に買い取ってもらえません。輸入野菜は消費者へ届くまでの日数がかかるので途中で品質が劣化しないように農薬が通常よりも多く使用されているとみていいでしょう。根菜類や米や小麦粉など比較的日持ちする農産物は、輸送コストが低い船便でやってくるためさらに日本へ到着するまでに時間がかかります。その間に虫が発生したり腐ったり品質が悪くなったりしないようにするにはやはり農薬が使用されます。遺伝子組み換え作物などももっと入ってきやすくなることでしょう。冷凍食材や加工品になっていない限り、輸入作物で無農薬や減農薬ものは非常に数少ないと思われます。
今秋の野菜の状況の異常ぶりは、そう遠くない未来の日本の農業・食糧の序曲のような気がしてならないのです。