【まだまだ野菜の高値は続いています】
先週のまんまだよりは野菜の異常すぎる高値が主題でした。地元の野菜直売所には、ほんの少しですが葉物野菜が出始めてピークを過ぎた感もありますが、まだまだ野菜の高値は続いています。やや大きめのキャベツが入ってきていますが、価格は例年の1.5倍。しかも11月は旬真っ盛りなはずなのに…(涙)。
あまりに野菜の高騰が続くので、これから多くの生産者さんがいっせいに出し始めて急激な下落が起こることも予想していたのですが、どうやら今後も厳しい状況が続く気配も出てきました。
といいますのも、今、タマネギの苗がどこにもないんです。タマネギは3月位に新玉ネギが出始めるので、今が苗を買って植え付ける時期なのですが、どこも売り切れ。タマネギは家庭菜園クラスであっても、本来なら300株は欲しいところ。それが今年は園芸店に開店前から並んでもひとり100株ずつしか買えないそうです。家庭菜園好きのおババ(我が母)が大変困っておりました。どうやら今年はタマネギの苗の生産地も多くが台風や天候不順でやられてしまって不足状態になっているようです。先日はそのことが新聞にも取り上げられていました。
・・・ということは、来年の新玉ネギの高騰は確定ですね・・・(大泣)。
今の日本の農業は本当に危機的な状況だと考えます。関東など都市部に人口が集中し、農業は田舎に任せられている現状。しかし田舎では過疎化が進んで若者は都市部へ流出し、生産者はどんどん高齢化しています。
先日、近所の生協へ買い物に行ったら卵のコーナーに張り紙がしてありました。『養鶏農家さんがひとり廃業されたため、卵の供給数が不足しています』と。
農業は自然や生き物と向き合う職業です。野菜一つを作るにしても、その畑の土壌の性質やその土地の気候など色々試行錯誤して、その畑に合った品質の野菜を安定してつくれるようになるまで10年かかるといいます。
畜産業も、良い卵や肉質にするために飼料や育て方を何年も何年も試行錯誤していきます。
梅や栗や柑橘類、梨、リンゴ、ブドウなどの果樹から収穫する作物はさらに大変です。植樹してから安定して収穫できるようになるまで10年以上かかり、収穫作業も果樹園の維持も本当に重労働です。そして収穫期以外のシーズンの収入がないので、副業をしなければ生活が成り立ちません。
そういう大変な苦労を重ねている中で、ひとたび野菜や鶏・豚・牛に病気が広まると全部ダメになることもあります。鳥インフルエンザ、口蹄疫、原発事故等がそうですね。手塩にかけて育てたものがいっぺんにダメになる。国からの補償もないに等しい。そりゃ、廃業していきますよね・・・。
そうしてひとりの農家さんが廃業したら、そのぶん供給不足になって徐々に値段が上がっていきます。
多くの人たちにその関心がないまま、日本の農業は着実に衰退への道を進んでいっています。
「野菜が高いから、安い冷凍野菜や輸入野菜を買おう」・・・そんな特集を組んだTV番組もあるようです。
消費者が付加価値を評価せず安くてきれいな野菜だけ求めていけば、自国の農業が絶えていき、農産物を輸入に頼るようになるのはそう遠い未来ではありません。そしてもし戦争や紛争や世界的な不作がおきたときには私達の食料供給は止まりかねない、という危険性がすぐそこまでTPPと共にやってきています。
野菜が不作で高い時の今こそ、全ての生産者さんへの思いやりを持つことがとても重要な気がします。
高くても、小さくても、少なくても、穴があっても、曲がっていても、色が悪くても、全体的に腐っていたり傷んでいたりしなければ買って応援し、悪い部分をカットして、大切に『大地の恵み』を頂こうではありませんか。
平成28年11月15日
Edit by 山下 理江