再掲【パン類が九州産小麦に変更になります】
めったに流さないメールマガジンにて先日お知らせしましたが、かごしまんまのパン類の主原料の小麦粉を12月2日発送分から九州産に切り替えます(現在はカナダ産)。
九州産小麦粉のパンは、かごしまんま設立当初からの悲願でした。しかし九州産小麦粉は他の小麦粉よりも高くてグルテンが少なめなため、普通はパン屋さんでは使用しません。少な目の水分でよく膨らむ海外産小麦粉が扱いやすく安価なので主流です。パン屋さんは地元でパン屋を経営しながら発送日にかごしまんまのパンを作ってくれています。地元の一般的なニーズは『手作りで美味しくて買い求めやすい価格帯のパン』です。一方、放射能や農薬や添加物をなるべく避けて安全なものを食べたい私達のニーズは『九州産でなるべく添加物のないもの』です。パン屋さんがかごしまんまのニーズに合わせると、地元の一般的なニーズに応えられず経営に影響してくるのは想像に難くありません。つまりかごしまんまのパン類の小麦粉を九州産にすると、パン屋さんは九州産小麦粉のパン類と普通の海外産小麦粉のパン類の両方を作らねばなりません。それに見合う注文量がなければ手間の負担と材料のロスがかかりパン屋さんの経営がたちゆきません。九州産小麦粉は水分を多くしないとよく混ざらない、グルテンが少ないせいか膨らみが弱めなので小麦粉の量を多く必要とする、という特徴があります。このため普通の海外産小麦粉のパンに比べて九州産小麦の場合は労力も原料費も上がります。その差、食パン1斤につき原価でおよそ100円でした。・・・高いですね・・・。本当にすみません・・・。大手のパンがスーパーの目玉商品として100円で買えてしまう世の中で、1斤400円を越える食パンはどうだろう?という迷いも正直あります。しかし、パン類は子供達が大好きなもの。特に安全に気を遣いたい。そう強く思う私自身がいました。思い切ってやってみようと思います。嬉しいことに、水分も小麦分量も増えるので味もグレードUPします。
海外産の小麦粉は、船便で数か月かけて海を渡って日本にやってきます。その間、虫やカビが発生しないように殺菌剤や防カビ剤や防虫剤等の薬をかけられたり混ぜられたりします。これをポストハーベストと言います。薬を使用しなければ、小麦粉は虫が発生します(井之上さんの無農薬栽培の小麦粉がそうで、よく虫が発生しています)。野菜や果物も同様で、海外産の農産物は輸送に時間がかかるため、殺菌剤や防カビ剤や防虫剤等の薬を使用してずっときれいなままを保ち商品価値が下がらないようにしています。一般的に農薬はなるべく収穫日から遠ざけて使用します。収穫日の〇〇日前までに使用、と記載があるのはこのためです。しかしポストハーベスト農薬は収穫後の施薬なので、毒性が高く残っている可能性があるのです。
国やメーカーは判を押したように『国が決めた基準値内だから大丈夫』と言います。しかしこの基準値も、単体での摂取の場合であって複合的な摂取量や子供・妊婦への影響やどのくらいの小麦摂取量が基準になっているのかも明確ではありません。この国の数々の公害等の歴史等に照らし合わせても、安心の基準は国にゆだねるのではなく自分自身で調べて判断していかねばならないと思います。
また、九州産小麦を消費することが国内の農業を応援する第1歩だと思います。
不自然に綺麗で虫やカビひとつない輸入農産物より、虫がいるような農産物の方が本当の安心安全です。
今回の改定ではまだ薄力粉を使用するパン類・ケーキ類は九州産小麦にすることができませんが、将来的に九州産にできるよう、無理ない範囲で一歩一歩やっていきます。これからもどうぞよろしくお願いします。
平成28年11月29日
Edit by 山下 理江