2016 December

平成28年12月27日

Dec 27. 2016 かごしまんまだより

【設立5周年を振り返って】
今月の26日で、かごしまんまは登記から丸5年目を迎えます。そこでちょっと今回は私のプライベートを含め5年間を振り返らせてください(すみません!)。
私は生まれも育ちも千葉で、結婚して家族4人で普通に暮らしていました。2011年3月の原発事故以来ずっと買い物や子供達の行事や給食に悩み続けていたさなか、両親(定年退職を機に数年前に鹿児島へUターン移住していた)から連絡がありました。父に膵癌が発覚し転移もしているということでした。余命数か月。背中を押されるように、大好きだった千葉の家と夫から離れて鹿児島の両親の家に母子移住しました。夫のボーナスから借りたなけなしの50万円を資本金に株式会社かごしまんまの登記をしたのが2011年12月26日。1か月後、銀行から融資がおりて『かごしまんま』が始動しました。それまでずっと建築業界にいて、食品業界は初めてで知識もなにもない状態からのスタートでした。注文や送料の仕組みづくりや農家さんや生産者さん探しに日々追われ、最初の野菜セットの発送ができたのは2012年3月中旬で、忘れもしません、5セットでした。その5セットの発送を「よかったね。これで安心してもらえるね」と見送ったあと、父は自力で歩くことができなくなり間もなく亡くなりました。4月9日のことでした。最初の発送を父に見せることができてホッとしたのを覚えています。
父が喜ぶような気がして、葬式当日も休まず野菜セットの発送をしてから葬式に出ました。移住する前から応援してくれていたパンドォルのヒデさんが、私のツイッターで知ったのか葬式会場に駆けつけてくれたのを見た時には涙が止まりませんでした。
発送日の1週間前に注文を締め切って注文分だけ生産者さんに発注するシステムにした事で、お客さんには待って頂くことになりましたが、生産者さんが余裕を持って商品を用意できるので超新鮮なものを届けられるようにしたと同時に、在庫を持たないので赤字が出ないというメリットがあります。また、送料を無理して会社負担にせず、ポイント制も消極的にしたので、それらで利益を圧迫しないため少ない資金の中でも運営できました。
そういう時代に逆行した通販サイトであるにもかかわらず、ツイッターの中で多くの方が応援してくださり、注文してくれたお客さんも次々に喜びや応援のツイートやブログを書いてくれたりしたおかげでだんだんとお客さんが増えてスタッフの人数も今では私を入れて5人になりました。
何もかも初めてで手探りで始まった『かごしまんま』。最初の頃はノウハウもなくてミスが多く、たくさんの方に迷惑をおかけしたり、このまんまだよりで業務や新商品のご相談も何度もしてきました。お客の皆さんからアドバイス頂いたり応援し続けて頂いて、顔が見えなくとも人と人との交流のありがたさに感謝の5年間でした。
生活環境も激変していきました。父が亡くなってオババと子供達と一緒に住むことに無理が出始め、自立して母子で貸家に住むようになりました。人生観の変化で、残念ながら大好きだった夫とも一昨年離婚しました。
でもそんな中でも5年間『かごしまんま』をやってこられたのはただただ皆さんのおかげです。つらい時でもツイッターやお客様の声やメッセージを読むたびに元気になれました。お客さんの悩みやつらさもたくさん共有しました。ご注文時のメッセージと納品書のメッセージとのやりとりやメールは文通のようになっていますね。お客さんと売り手側というボーダーを越えて、顔は見えないけれど同じ気持ちで生きている同志としてお互いに支え合って5年間やってこられたのだなあ、と思います。心から、心から感謝です。皆さんの5年間はいかがでしたか?かごしまんまからの段ボールは小さな幸せをお届けできていたでしょうか?これからも同じ思いの皆さんがいるかぎり、決してあきらめず前向きに希望を持ってやっていきますね。心から、 ありがとうございます 

Edit by 山下 理江

平成28年12月13日

Dec 12. 2016 かごしまんまだより

【今年も気がつけば師走ですね】
今年の目標は2つで、1つ目は鹿児島の美味しい料理酒(黒酒)の商品化です。皆さんが鹿児島の黒酒を年末年始に煮しめに使ったりお屠蘇にしたりできたらとっても喜ばれるのではないかな~、とずーっと考えていました。そして6月から準備を始めましたが、酒類の販売は税金が関係してくるので提出書類が多く、事務所の土地建物の登記簿謄本も必要でしたので謄本を取り寄せてみると、なんと事務所が登記簿上『農地』で所有者が故人(父)のまま、かつ父が使用していた頃は農地で納屋だったので表示登記もされていなかったことが判明。そこからが長かったのです。まず所有者を相続の手続きをして変更するのに1か月。建物の表示登記をするのに1か月。農業委員会に農地転用の申請をするのに1か月。宅地転用後もオババが畑用灌漑用水を使用する為にちょっと農地を残すことになって土地の分筆をするのに1か月。5か月くらいかかって事務所の土地建物の登記簿謄本がまっとうなものになって、それから一般酒類販売の許可申請を先日やっと提出できました。既に順調ではないのですが、これから順調にいけば3月位に商品化が出来そうな気がします。
2つ目の目標は、冷凍食材の商品化です。餃子、焼売、ニュージーランド産のコーンやミックスベジタブル、タコ焼き用のタコぶつ切り、アイス、さつま揚げ用のすりみなど色々商品のめどは立ってきましたが、まだできていないものも多くて・・・。
・・・両方の目標とも年末年始には間に合いませんでしたね、すみません!
今年もおせち用に商品化できたのは例年とほぼ変わらず。放射能と添加物を考慮すると、なかなかOKなものは見つかりませんでした。加工品は本当に悩ましいです。お問い合わせするも「うちは国の基準値以下の安全なものしか扱っていませんので安全です」とか「国産です、としか言えません」というお言葉のメーカーも多く、気持ちが凹んでしまうこともしばしば。いや~、私達ってホントマイノリティですね~。原発事故からあと3ヶ月で6年。世の中、なんにも気にしていない方々が大半ですもの。ますます生きにくくなっていくような気もしています。周囲との温度差で、苦しく思うこともたくさんありましたね。でもこの生き方をするようになって、シンプルな食材で自分で手作りするようになり、どんどん美味しいものがわかるようになって、ますます『おうちごはん』の幸せがわかるようになってきた、という方も多いのではないでしょうか。
旬の野菜を食べ続ける生活のおかげで、お医者さんに行く回数が減ったというお声もたくさん頂きました。今年の夏もよく私達はゴーヤを食べ続けましたね。うちの子供達はゴーヤに慣れたおかげで、いつのまにかピーマンや春菊なんぞは屁の河童、という感じで食べられるようになっていました。慣れってすごいです。
今年もたくさんの嬉しいメッセージやツイートをありがとうございました。皆さんのこの応援や喜びのお声のおかげで、今年も頑張れました。
チェルノブイリの現在を見ても、ハンセン病や水俣病等の歴史を紐解いても、やはり放射能被害の可能性や国の対応というものに私は不安や疑問を感じずにはいられません。同じ思いの皆さんがいるかぎり、決してあきらめず前向きに希望を持ってやっていきますね。来年も皆さんがかごしまんまでお買い物をするたびに、かごしまんまの野菜や食材を食べるたびに、「安心だなあ。楽しいなあ。幸せだなあ。」って思って頂けるよう、やっていきますね。同じ空の下、見えない手をつないで共に頑張っていきましょう。
って、あれ?もう締めくくりの言葉っぽくなっちゃいましたね。気が早くてすみません!

Edit by 山下 理江

平成28年12月6日

Dec 6. 2016 かごしまんまだより

【再商品化した吉田自然農園さんの乾燥ローリエから学ぶこと】
公園に落ちている枯れ葉のような葉っぱが、小さなジッパー袋に入って今回お届けした商品と一緒に段ボールの中にいたと思います。これが無農薬の乾燥ローリエです。今回ご注文の方全員におまけとしてお入れさせて頂きました。落ち葉のようにシミが酷くてびっくりされたのではないでしょうか。市販されている一般的なローリエはシミひとつないので、私も吉田自然農園さんからこのローリエをもらった日は衝撃を受けました。全然違いますからね。
吉田自然農園さんは、去年このローリエを商品化してくれましたがその後ストップしました。私は「月桂樹の葉にも収穫時期があるのだろう」程度にしか考えなかったので、特に吉田さんに商品中止の理由を聞くことはしませんでした。そして今年もシチューやカレーが恋しい帰結になってきてお客さんから「吉田自然農園さんの乾燥ローリエが欲しい」というリクエストの声が出てきたので吉田さんに聞いてみてはじめて、中止の理由を知ることができました。
吉田さんが乾燥ローリエをやめた理由、それは自然農法で作る乾燥ローリエは、市販のシミひとつないキレイな乾燥ローリエとは見た目がかけはなれて違ってしまうことによるものでした。
吉田さんによると、「本格的な乾燥ローリエは、月桂樹の若芽や新葉を使うのではなく、木に1年以上ついている葉を使うので、自然農法の場合はどうしても葉が1年の間に色々な自然状況にもまれてシミやキズだらけになってしまう。それで乾燥ローリエを作るので、シミやキズが少ないものを選んでいたらとてもできない。
でもこれらシミやキズがあっても香りや効能に一切問題はなく、カビではないので安心して普通に乾燥ローレルとして使えるのだけれど、都会の人たちはわからないでしょう・・・。だから供給を中止したの」
ということでした。
たしかに調べてみると、木に1年以上ついた葉を使うのが本格的な乾燥ローリエでした。自然栽培でしかも日本の四季を乗り越えたらシミのない葉は無理な話ですね。
このことを知って、市販のシミひとつないキレイなローリエは一体どのくらい農薬をかけられているのだろうという思いになりました。
それで私は吉田自然農園さんに申し出ました。「吉田さん、もう一度この乾燥ローリエを商品化してください。今度は無選別で、このシミだらけ・キズだらけのまま商品化しましょう。きちんと商品説明しますから。きちんと解説すれば、逆にこのシミやキズが商品の安全性を証明する付加価値ではないでしょうか」

キレイな野菜・キレイな果物が『良いもの』という価値観は、私たち日本人の間にいつのまにか生まれ、しみついていったのでしょう?キレイな野菜=虫や菌が食べられない野菜=農薬がかかった野菜であることがほとんどです。キレイで無農薬・減農薬の野菜は手間暇がかかったり資材や機材の費用がかかったりしますので大量生産も安価にもそうそうできることではありません。
今回みなさんのおうちに鹿児島からはるばるやってきた乾燥ローリエ君をじっと見つめて、どうぞご家族で色々想像したり考えたりしてみてください。そしてぜひ安心なこのローリエ君であったかいカレーやシチューをつくってみてくださいネ。

Edit by 山下 理江