2017 February

平成29年2月21日

Feb 20. 2017 かごしまんまだより

【自然から離れるほど病気になる】
日本はとても衛生的で、国民皆保険制度・健康診断・予防接種などにより多くの国民は「日本の医療は最先端でスゴイ」と感じていると思います。しかし本当に医療は発達しているのでしょうか。それならばなぜ戦後様々な病気が増え続けているのでしょうか。別紙『死亡率によってみた死因順位1900年~2002年』の死因順位をみますと、1900年から1940年の『戦前』は、1~3位をだいたい肺炎及び気管疾患と結核と胃腸炎が占め、4位5位は脳血管疾患や老衰でした。しかし1950年以降は急激に脳血管疾患と悪性新生物(がんや肉腫のこと)と心疾患が増加して1960年からは常に1位から3位を占めるようになります。医療の向上により激減したのは結核と胃腸炎だけです。現在では2人にひとりががんになり、3人にひとりががんで亡くなります。自殺も常に10位以内に入っています。
死因ではありませんが、がん以上に爆発的に増加しているのがアレルギー疾患です。アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎、花粉症、喘息などの疾患のことです。これらのアレルギー性疾患の発症は、50年前までは約1000人にひとり、70年前までは約1万人にひとり程度でした。自己免疫性疾患、うつ病、自閉症も増加しています。
病気が増えた原因はいったいなんなのでしょうか。核実験や原子力発電所由来の放射能だけでは説明がつかないような気がするのです。戦後、私達が失ったもの、得たもの、変わったものがポイントのような気がしてなりません。得たものは、文化的・西洋的・衛生的な暮らし。そしてそれを支える電気や便利さ・化学的な薬や食品。失いつつあるものは、旬・てづくり・和食文化・ゆとり・睡眠・暑さと寒さ・運動・・・。そして衛生・清潔を求めすぎることで逆に抵抗力の低下を招いたり腸内細菌も減って免疫力も低下したりしているのではないかと思うのです。寄生虫や腸内細菌は自己の生存のために宿主の免疫系をコントロールしているという学説や、腸内の善玉菌は悪玉菌がある程度いないとうまく機能しないという学説もあります。
文化的になればなるほど、戦前では当たり前だった自然な生活から離れていっている私達日本人はいまや病気のデパートです。乳製品・肉類を中心とした洋食、電気・交通網の発達による夜更かしや重労働、満員電車によるストレス、合成洗剤、新建材によるシックハウス、食べ過ぎ、抗菌・除菌グッズ、化学繊維、テレビ、電子レンジ、高層住宅、農薬、添加物、遺伝子組み換え、電磁波、大気汚染そして放射能・・・。みんなみんな戦前にはあまりなかったものです。全てを排除することはできませんが、できるだけ『戦前の、和食中心の自然の生活に戻る』という工夫こそ、病気を遠ざける鍵のような気がしてなりません。
深夜のスーパーで、旬ではない野菜を買って皮をむいたり根の部分をカットしたりして洋風メニューを作って食べる。旬ではない野菜は無理をさせて栽培するので栄養価も低く旨味も低いので化学調味料などにたよって味付けする。それは『自然からは程遠い生活』です。旬の野菜は発育に無理がないため減農薬野菜が多く鮮度抜群で生命力に溢れ、栄養成分もその季節の私達の身体に必要なものが多く含まれています。旨味もすごいので、ただ味噌汁に入れて食べたりゆでたり炒めたりするだけのシンプル料理で美味しいです。無・減農薬ならば皮ごと根っこごと(時には虫ごと?)食べられるので腸内を活発にし、免疫力が上がり体調も良くなります。
自然な生活への第一歩。『和食中心にし、旬の新鮮な減農薬野菜をまるごと食べ続ける』ことを提唱いたします。

Edit by 山下 理江

平成29年2月17日

Feb 16. 2017 かごしまんまだより

【旬の収穫物は神様からのギフトです】
先週は全国的に降雪でびっくりしました。菜の花がちらほら咲いているここ鹿屋市も雪がちらつきました。
とっても寒かったですね。みなさん体調、崩したりしていませんでしょうか。
母なる地球がつくりあげた大自然の恵みは本当によくできていて、この時期は喉に良いと言われる金柑や、体を温めて免疫機能を上げる新しょうがの収穫期です。旬に収穫される野菜や果物は、その季節の人間の身体が欲しがる栄養や成分が含まれるものが多いのは本当にスゴイ事です。神様からのギフトですね。
というわけで、今週のオマケは金柑です。この金柑は皮ごとまるかじりできます。皮まるごと食べて口の中で種とヘタだけ取ってください。爽やかな香りと甘さと酸味が、風邪やインフルエンザを吹き飛ばしてくれます。また、金柑は金運をもたらすとして昔からおせち料理にも使われる縁起物です。ぜひ受験のお供としてお弁当のデザートに持たせてあげてください。合格します!!笑。金柑の収穫期は来週いっぱいくらいで終了なのでご注文はまた来年のおたのしみとして、どうぞ旬の味を楽しんでくださいネ。
野菜セットに入っている新しょうがも、この時期の体調維持や免疫力UPに大活躍の野菜です。すりおろしてあったかい飲み物や汁物に混ぜると本当にポッカポカ。身体を芯から温めますよ。農薬使用は鹿児島県慣行栽培比8割減(つまりほとんど使用していません。8割減の場合、だいたいが植え付け時に1回程度です)です。どうぞ皮ごと召し上がって下さい。
先日、小さな新ジャガで福島の郷土料理『芋かんぷら』を作って食べました。これは皮ごと揚げ焼きして甘い味噌に絡めて食べるのですが、皮の美味しさったら!絶品でした。人間の舌は、欲しい栄養を「美味しい!」と知覚します。根菜類の皮って実は栄養や旨味のかたまりです。普段は皮をピーラーで剥いてしまうところですが、減農薬のものはよく洗ってぜひ皮ごと食べてみてください。美味しいなあ!って思いますよ~。かごしまんまの野菜セットの野菜はほとんどが減農薬・無農薬栽培です。ぜひ皮ごとまるごと召し上がって下さい。
ほとんどの皆さんは、かごしまんまのご利用は放射能防御がきっかけだと思います。実は私自身もかごしまんまを立ち上げたのは放射能防御です。しかし鹿児島に来て旬の野菜しか食べなくなり、色々な本を読んだり生産者さんから知識を教えてもらったりしてからは、人間の真の健康維持に必要なのは、放射能防御だけでなく『なるべく自然の状態で生きること』だと実感するようになりました。ここ数年の病気の増加や体調不良の増加は放射能だけに結び付けている方が多いですね(逆に放射能の影響を全く無視する方の考えも賛同できません)。しかしながら戦後爆発的に増加傾向にある癌やアレルギーや免疫疾患系の増加は放射能だけでは説明できないような気がするのです。このお話は来週のまんまだよりで詳しく掘り下げますが、簡単に言いますと『昔の自然な生活に戻る』ことが健康を取り戻す鍵のような気がするのです。例えば食生活では『旬そしてなるべく減農薬の野菜を丸ごと食べ続ける』ことです。戦後は公衆衛生の向上や過剰な除菌殺菌のおかげで人間の腸内に必要な常在菌まで激減しました。旬に関係なく大都会の需要を満たすため、タネから農薬漬けのキレイな野菜が多くなり、なんでも皮をむいて食べるようになりました。でも旬の野菜をまるごと食べるとなんだか身体が喜ぶのを感じるのはなぜだろう?と調べてみると、旬の野菜の栄養や成分が、その季節の人間の身体に必要な成分と一致することが多いのです。旬ではない大量生産の野菜や果物は農薬が多用されることが多いです。それを食べ続けるより不自由さを感じながらも旬の減・無農薬野菜を食べ続ける方が医者いらずになっていくのは自明の理です。

Edit by 山下 理江

平成29年2月7日

Feb 6. 2017 かごしまんまだより

【タネについて】
先週はニワトリさんの不自然で悲惨な一生を書きました。今週は野菜の不自然さについて書きたいと思います。
農業汚染については肥料・農薬・飼料がよく話題に上がりますが、実はタネにも様々な心配があります。
「汚染された肥料や飼料が九州にも来ているのではないか」という声をインターネットの中でたくさん見てきました。たしかにホームセンターなどで5kgや10kgの少量単位での肥料等は遠方の製造地のものも見かけます。しかし鹿児島は畜産県なので、地元産の肥料や堆肥の方が遠方のものより輸送費の分だけ割安です。そして生産者さんはホームセンターではなく100kgや1t単位を業者から仕入れます。価格の関係から地元産のものを使う生産者が多いと私は推測しています。
しかし農薬やタネに関しては残念ながら全国に流通しているものがここ鹿児島でも主流に使われています。
農薬やタネはその特徴から製造会社が少なく、各地にあるという事情ではありません。『鹿児島の野菜は鹿児島の農薬やタネから』というふうにはいきません。特にタネは軽量で体積も小さいので、流通面から見てもかなり優秀です。全国に流通しているものがここ鹿児島でも普通に使われています。
お時間がある時にぜひご近所のホームセンターのタネのコーナーに行ってみて下さい。色々なタネの袋がありますが裏面を見ると、『産地』と『施薬』状況がわかります。これを見ていくとため息がたくさん出ますよ・・・・。
避けていた産地がたくさんあります。そして『施薬』!タネにも既に農薬がかかっている場合が多いです。
「このことを生産者さんに言って、汚染を食い止めるようなんとかならないものか」と思うこととお察しします。しかし数多くのタネの袋の裏面を見ても産地が鹿児島であるものはほとんどありません。それぞれの袋に書いてあるのはアメリカ、アルゼン、チン、オーストラリア、栃木、埼玉、兵庫・・・あらゆる国と日本の地名です。
平成26年9月12日のかごしまんまだより(HPのブログかごしまんまだよりをぜひ参照してください!)でも書きましたが、多くの野菜のタネはF1(別名:交配種)です。F1種子の方が均一の大きさ・形・味になるからです。でも、F1種子は人為的に違う品種同士を交配してつくるもので、人工的に雄しべに異常をつくって雄性不稔(人間でいうところの不妊症・無精子症)にしてミツバチが受粉しても自然受精できないようにしてあるタネです(ミツバチが激減したのはこのF1の異常な花粉を食べたせいではないかという説もあります)。
野菜も植物で生き物なので、本来は我々人間と同じように太った人もいれば痩せた人、背の高い人・低い人、肌の色が黒い人・白い人など色々な個性を持って育ちます。でもそれでは市場では売れませんし見た目の悪いものは値段が付きません。均一な大きさ・色・形が市場しいては消費者に喜ばれる結果、野菜のタネもF1という不自然なものになってしまいました。不自然なのでタネの会社は少なく、日本では大手2社の独壇場です。ですから「タネから九州産を!」というのはまず無理な話です。F1種でない、本来の在来種でのタネで自然農法を実践しているのが吉田自然農園さんですが、吉田さんの野菜が野菜セットに入ってくるのがごくたまにであることからもわかるように、在来種の野菜作りでの安定生産は本当に至難の業。完璧な汚染対策を、というのは現実には不可能に近いと思います。でも諦めず、悲観せず、できることをできるだけ。続けていくのが大切だと思います。
先週のニワトリさんの悲惨で目を背けたくなるような運命の話に引き続いて、野菜のタネの世界も不自然な現実。でも!それでも!知っておくべきことだと思います。そしてニワトリさんや農産物や生産者さんに敬意を持ちながら、今日もごはんもおかずも残さずに感謝の気持ちで全部頂きましょう。

Edit by 山下 理江

平成29年1月31日

Feb 6. 2017 かごしまんまだより

【ニワトリさんについて】
井之上ファームさんのところへ行くと、井之上さんにくっついて歩くかわいいニワトリたちの姿が見られます。井之上さんとともに畑に行き、雑草を食べたりくちばしで土の中をほじってミミズや虫を食べつつ糞を落としたりしていきます。その姿に「ニワトリさんは小さなファーマーだなあ」と思ってニワトリさんについて色々調べると、ニワトリさんが農業にとって、そして我々人間にとって実に偉大な存在であり、そして現実は多くのニワトリさんの一生が悲惨なものであるということがわかります。
井之上さんのように農業をしながらニワトリを飼うのは、除草も害虫駆除もしてくれるし卵も産んでくれるし鶏糞も肥料になるので一石二鳥どころか一石五鳥や六鳥にもなるかな~、なんで多くの農家さんは飼わないのだろう?と淡い期待と浅はかな想像をしておりました。
しかし実際に飼うとなると本当に大変。まず丈夫な鶏小屋を作らないと野犬やイタチなどの野生動物にニワトリさんがやられます。次にニワトリさんの餌代。畑の草やミミズや虫だけでは足りません。農業を採算ベースに乗せるにはニワトリさんの餌代などの飼育費用がそれに見合うかどうかがポイントですが、生産者さんの広大な畑に必要な大量のニワトリさんを飼うと餌代が利益に見合わないし飼育施設も大がかりになるのでなかなか難しい。ニワトリさんの世話をする時間も多く取られます。同じような理由で合鴨農法もなかなかむずかしいようです。循環農法って消費者には魅力的に映りますが、実際に普及しないのはものすごく大変でコストがかかり一般の農作物より価格が高めになって売りにくいからです。
次にニワトリさんは、1羽の雄を頂点にした群れを作り秩序だった社会生活を好む生き物なので、雄をあまり多く飼えません。採卵性を考えても雌をたくさんほしいところ。じゃあ、雄は?・・・多くの雄はヒヨコの時の雌雄判別時に殺処分されるそうです。特に採卵鶏やブロイラーの雄のヒヨコの殺処分は、生きたまま破砕機にかけられたりガス窒息させられたりビニール袋にゴミのように積み上げられていって圧死していくという悲惨なものです。雌に生まれたニワトリさんも養鶏場ではつらい運命です。本来、ニワトリさんの寿命は10~15年くらい。しかしニワトリさんは成長すればするほど肉質が固くなってしまうため、肉用のニワトリさんは生後50日ほどで出荷されて肉になります。採卵用のニワトリさんも採卵率が落ちる生後1年~2年で廃鶏処分にされ、ドッグフード等の色々な原料になっていきます。
ちなみに1歳以上になったニワトリさんは、肉の中のアミノ酸量が多く含まれるので旨味がとてもあって美味しい肉ですが、ものすごく固くて噛みにくいため、市場にはほとんど出回りません。地方の居酒屋さんで知る人ぞ知る人気メニューであったりします。焼くととってもとってもいい鶏脂が出ますし、美味しいので私はとっても大好きなのですが、5mm程度の小間切れにしてかつ20回以上噛まないと飲みこめないほど固いので日常的に食べるのはやはり難しいですね・・・。
どんな仕事においても採算性を重視し、利益を出さなければ自分の給料が出ません。そして消費者が望む価格でなければ売れない厳しいご時世です。ニワトリさんや合鴨さんを使った循環農法・自然農法の農作物がいいとわかっていてもなかなかできませんし、養鶏場のニワトリさんの運命は雌雄ともに悲惨で目を背けたくなるようなものですが、でも!それでも!知っておくべきことだと思います。そしてニワトリさんや農産物や生産者さんに敬意を持ちながら、ごはんもおかずも残さずに感謝の気持ちで全部頂きたいですね。

Edit by 山下 理江