【自然から離れるほど病気になる】
日本はとても衛生的で、国民皆保険制度・健康診断・予防接種などにより多くの国民は「日本の医療は最先端でスゴイ」と感じていると思います。しかし本当に医療は発達しているのでしょうか。それならばなぜ戦後様々な病気が増え続けているのでしょうか。別紙『死亡率によってみた死因順位1900年~2002年』の死因順位をみますと、1900年から1940年の『戦前』は、1~3位をだいたい肺炎及び気管疾患と結核と胃腸炎が占め、4位5位は脳血管疾患や老衰でした。しかし1950年以降は急激に脳血管疾患と悪性新生物(がんや肉腫のこと)と心疾患が増加して1960年からは常に1位から3位を占めるようになります。医療の向上により激減したのは結核と胃腸炎だけです。現在では2人にひとりががんになり、3人にひとりががんで亡くなります。自殺も常に10位以内に入っています。
死因ではありませんが、がん以上に爆発的に増加しているのがアレルギー疾患です。アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎、花粉症、喘息などの疾患のことです。これらのアレルギー性疾患の発症は、50年前までは約1000人にひとり、70年前までは約1万人にひとり程度でした。自己免疫性疾患、うつ病、自閉症も増加しています。
病気が増えた原因はいったいなんなのでしょうか。核実験や原子力発電所由来の放射能だけでは説明がつかないような気がするのです。戦後、私達が失ったもの、得たもの、変わったものがポイントのような気がしてなりません。得たものは、文化的・西洋的・衛生的な暮らし。そしてそれを支える電気や便利さ・化学的な薬や食品。失いつつあるものは、旬・てづくり・和食文化・ゆとり・睡眠・暑さと寒さ・運動・・・。そして衛生・清潔を求めすぎることで逆に抵抗力の低下を招いたり腸内細菌も減って免疫力も低下したりしているのではないかと思うのです。寄生虫や腸内細菌は自己の生存のために宿主の免疫系をコントロールしているという学説や、腸内の善玉菌は悪玉菌がある程度いないとうまく機能しないという学説もあります。
文化的になればなるほど、戦前では当たり前だった自然な生活から離れていっている私達日本人はいまや病気のデパートです。乳製品・肉類を中心とした洋食、電気・交通網の発達による夜更かしや重労働、満員電車によるストレス、合成洗剤、新建材によるシックハウス、食べ過ぎ、抗菌・除菌グッズ、化学繊維、テレビ、電子レンジ、高層住宅、農薬、添加物、遺伝子組み換え、電磁波、大気汚染そして放射能・・・。みんなみんな戦前にはあまりなかったものです。全てを排除することはできませんが、できるだけ『戦前の、和食中心の自然の生活に戻る』という工夫こそ、病気を遠ざける鍵のような気がしてなりません。
深夜のスーパーで、旬ではない野菜を買って皮をむいたり根の部分をカットしたりして洋風メニューを作って食べる。旬ではない野菜は無理をさせて栽培するので栄養価も低く旨味も低いので化学調味料などにたよって味付けする。それは『自然からは程遠い生活』です。旬の野菜は発育に無理がないため減農薬野菜が多く鮮度抜群で生命力に溢れ、栄養成分もその季節の私達の身体に必要なものが多く含まれています。旨味もすごいので、ただ味噌汁に入れて食べたりゆでたり炒めたりするだけのシンプル料理で美味しいです。無・減農薬ならば皮ごと根っこごと(時には虫ごと?)食べられるので腸内を活発にし、免疫力が上がり体調も良くなります。
自然な生活への第一歩。『和食中心にし、旬の新鮮な減農薬野菜をまるごと食べ続ける』ことを提唱いたします。
平成29年2月21日
Edit by 山下 理江