平成29年3月28日

Mar 27. 2017 かごしまんまだより

【送料は無料ではない】
3月はヤマト運輸さんのニュースがありました。大手通販からの利益がない大量受注、送料値上げの難しさ、人材不足、サービス残業、時間指定の問題(留守・時間に厳しい受取者・効率性の悪さ)等、配送業界が抱える様々な問題が露呈しました。色々な意見があるとは思いますが、私は、これは日本人全体の「送料に対する低い価値観」の問題だと考えます。大手通販はじめ、ほとんどの通販や宅配がうたう『送料無料』や『〇〇円以上送料無料』の文字。送料に対価を払うのはもったいないという意識。これが問題の根源の象徴ではないかと思うのです。かくいう弊社も野菜セットや水の価格を送料込にして『送料無料』にしてあります。これがいけないのです。
送料って、本当に無料でしょうか?違います。ヤマト運輸さんも佐川急便さんもボランティアではありません。ここで、『配送』にどういうお金がかかるかシュミレーションしてみましょう。仮に、1台のトラックに人員1人で200個のかごしまんま段ボールを2日かけて運ぶとします。必要経費として、交通費(ガソリン代・高速代)5万円、人件費4万円、車両・会社維持費5万円かかるとします。この合計14万円を200個のかごしまんま段ボールで割ると1箱当たりおよそ700円かかるわけです。これは原価ですからこれに営業費や広告費などの雑費をのせて利益ものせると1箱あたりの段ボールの送料はどうしても1000円程度かかるわけです。1000円って簡単に無料になるでしょうか?いや、なりません。じゃあどうして多くの通販では『送料無料』となるのでしょう。それは、はじめから商品価格に送料分を含んだ設定なのです。無料ではなく結局は消費者が負担しているのです。
例えば20Lの水(段ボールに入って宅配業者が運ぶタイプ)。鹿屋市は水の大手販売会社の所在地で、直売所がありますがそこでの価格は840円です。それはお水を買った本人が自宅まで運ぶからです。全国どこを探しても20Lの水を千円以下で送料無料(または送料込)にしている通販はありません。送料が加算され水の本体価格が1840円とかになって『送料無料!』表示にしているだけです。
『〇〇円以上送料無料』の仕組みも同様です。販売側は消費者が〇〇円以上購入した場合の送料1000円分と利益の両方をのせて商品価格を設定しています。でないと業者は赤字で潰れてしまいます。これは〇〇円以上買わなくて送料負担する人にも同じ価格での商品を販売することになりますから不公平です。そして実際には業者側には利益を圧迫し作業の負担がかかるだけですし、少数買って送料を別に支払うお客さんにも負担がかかっているのであまりいいシステムだとは思えないのです。ですからかごしまんまでは『〇〇円以上送料無料』のシステムにはしておりません。車両や人材を使って『ものを運ぶ』という会社があってお仕事があって対価が発生しています。送料は無料ではなく必ずかかるものなのです。販売者も消費者も、いや、日本全体が配送というサービスの対価をきちんと認めて、『無料』ではなく必ず料金を明確化すること。そうなれば、慢性的な人材不足やサービス残業の解消のためにやがてくるであろう値上げにも柔軟に対応できると思います(できれば疲弊の原因であるアマ○ンさんに一番値上げを負担してもらいたいものです)。でももう送料無料の流れをとめることはなかなか無理でしょうね~・・・。しかしまずはかごしまんまも近いうちにHPを修正し、『送料無料』という言葉をなくそうと思います。そして『〇〇円以上送料無料』にしなくても皆さんが満足して頂けるよう、かごしまんまでしか買えないもの、品質の良さ、対応の丁寧さで頑張っていきたいといつも思っています。
送料は運送屋さんの対価です。『無料』ではなく、できれば『選べるサービス』としての地位を確立していけたら、日本の運送業や通販がもっと活気づき、元気になっていくのではないでしょうか。

Edit by 山下 理江