【夏の間は冬野菜はありません】
3連休は子供を連れて今年初の海水浴に行きました。千葉の海に慣れている私は「夏でも海水は冷たいもの」という感覚ですが、さすが南国、鹿児島の海は違います。午前中でも海の中があったかいんです。そしてキレイ。いい時間を過ごせました。日差しはギラギラして痛いくらいの今日この頃です。
夏に「キャベツや白菜はありませんか?」というリクエストを頂くことがあります。スーパーに行けば一年中キャベツや白菜がありますから、こういうリクエストが絶対ムリ~ッ!な事だとなかなか消費者にはわからない部分ですね。しかしすべての植物は四季によって支配されて生きています。桜の花が夏に咲かないように、野菜も四季に支配され、旬というものがあります。かごしまんまの野菜は鹿児島を主力とした九州産に限定しているので、夏にはキャベツや白菜が入ることは滅多にありません。たまに入ることがあるのは、旬をずらして「(高値を)一発当てよう!」というバクチ的な栽培を好む農家さんが成功した時か、霧島や高千穂などの高冷地栽培のものがたまたま市場に入ってきたかのどちらか。そういうものは減農薬栽培ではないことが多いです。なぜならこの自然あふれる南国九州で、キャベツや白菜を虫さんや菌類さんやその他の生物たちが狙わないはずがありません。なので農薬を多用しないと見た目のいい野菜になりません。またそういう冬野菜はもともと夏の暑さに順応していませんので、大半が南国の日差しに負けて溶けて枯れていってしまいます。ですから夏場にキャベツや白菜はムリ~ッ!なのです。キャベツや白菜を減農薬で栽培できるのは、虫や菌類が少ない季節です。野菜には旬があり、おおまかに冬野菜と夏野菜とに分類されて、キャベツや白菜は冬野菜。そういう理由でこの時期のスーパーに売っている冬野菜は、多くが減農薬ではなくそして東北や北海道などの寒冷地や高冷地のものなのです。
上村農園さんとぐるめ畑さんが夏でも葉物野菜をつくれるのは高額な設備投資をしているから。ビニールハウスに寒冷紗という遮光資材をつけたり、スプリンクラー等の散水設備を配置したりしています。収穫も本当に大変で、灼熱のビニールハウスの中で扇風機をかけながら皆さん汗だくになりながらやって、経費と手間をかけて葉物をつくり続けてくださっています(なので夏の葉物は価格が高くなるのです)。誰もができることではありません。
生産者さんの考え方やスタンスも十人十色です。平岡農園さんは夏の間は野菜を出荷しない、と決めて秋冬野菜の準備に徹します。吉田自然農園さんは夏の日差しや虫にやられない珍しい野菜をつくります。
水幸農園さんと井之上ファームさんは無理せず夏野菜を露地栽培で元気につくります。特に井之上さんの畑はすごい。先日もカボチャ畑を見せていただきましたが、あれはとても畑に見えません。主をなくした耕作放棄地かと思うほどの背の高い草原の中にかきわけて入る井之上さん。姿は見えなくなり声だけになって「おお!でっかいのがなっちょる」と言いながらカボチャを持ってきてくれた時、初めて私は「ここカボチャ畑だったんだ!」と気づきました。
それでもかごしまんまを設立したばかりの頃は、無謀にも無農薬無化学肥料の露地栽培で白菜や小松菜等の冬野菜を夏に出していたことがあります。新馬場さん(現在は引退)というおばあちゃんが、かごしまんまのリクエストに基づいて野菜を作ってくださっていました。覚えているでしょうか。あの虫の穴だらけで巨大な小松菜やほうれん草を。かごしまんまの発送に合わせて週2回しか収穫しないため、あっという間に野菜が巨大に育ってしまうんですね。初夏に白菜を作ってもらった時には本当に申し訳ないことをしました。虫だらけ穴だらけのために外葉を剥きすぎて収穫した白菜が小さく細く真っ白になっていました。その白菜をカゴいっぱいに用意してくれているのを見て、どれだけ大変だったことだろうと胸が痛みました。そんな白菜をダメとはとても言えず、買い取って野菜セットに入れましたが、多くのお客さんからクレームが来ました。今でも思い出すと胃がキリキリするような出来事です。。。
平成29年7月19日
Edit by 山下 理江