【未検査米】
未検査、という文字から何を連想しますでしょうか。
未検査米について何も知識がないと、放射能や農薬の検査をしていない米なのではないか・・・?と思うのではないでしょうか。いいえ違います。
実はかごしまんまの取り扱うお米はほとんど未検査米です。ええっ!?と思われるでしょうか。
国の制度からご説明しますね。
コメは①産年②産地③銘柄の『3点セット』を袋に表示して売られていますが、この表示はJAS法によって農産物検査を受けないとできないことになっています。この検査を受けていない米は『未検査米』といわれ、JAS法により品種・銘柄や産地・産年をうたえないのです(平成23年からは米トレーサビリティ法により未検査米でも産地はうたえることになりました)。米穀は基本的には自由流通で、農産物検査法には「検査を受けることができる」と書いてあるので、受けなくてもいい任意検査です。しかし受けないと『3点セット』が表示できないので、市場に流通しているコメはほとんど農産物検査を受けているのです。
ではコメの農産物検査とはどういうものでしょうか。
検査に提出するための米の袋は国の指定業者がつくる指定袋で、種籾(タネのこと)もJA委託の種籾生産組合が農薬や化学肥料を適切に使い栽培した種籾でないと検査を受けられません。自家採取した種は「購入種子に比べ管理制度が低く、混入の可能性がある」からダメだそうです。無農薬栽培の生産者さんは、薬漬けのF1種を避けるために自分で栽培している作物から種を採って無農薬栽培を続けていくことが多いのですが、検査では認められません。指定業者の種で栽培した米を指定業者の袋に入れていかないと検査できないのです。
気になる検査の内容は、なんと『目視で判定』です。
水分含有量ときれいな粒がどのくらいあるかを目で判定して等級をつけるだけです。具体的には、整粒割合が高く『(虫や病気等の)被害粒・死米・着色粒・異種穀粒及び異物混入』が15%以下の玄米が1等級、20%以下が2等級、30%以下が3等級になります。
農薬の使用状況や放射能なんて問われません。安全性や味についての検査項目はありません。ですから検査米の多くは必然的に農薬を多用し、かつ高価な色彩選別機を使用する精米を使用するのが実情です。
かごしまんまのお米には時おり黒い斑点がついた米粒が混ざっていますが、これは稲穂の実がまだ若くて柔らかいときにカメムシが米の汁を吸った傷跡です。斑点米を食べても無害ですし味も変わりません(米の検査規格の見直しを求める会の実験で検証済)。しかし検査時にはこの斑点米が等級を落とすため、検査に出す米生産者はカメムシ退治の農薬を多用します。そしてその多くがネオニコチノイドで、カメムシだけでなく田んぼの生き物を無差別に殺し、生態系を破壊していきます。ネオニコチノイドは農産物に浸透して残留する性質があるので当然私たち人間にも少なからず影響を及ぼしていくでしょう。
このように生産者にのみ不利益になり、それが消費者の利益にもつながらず、一部の人にのみ利益になる現在の農産物規格規定は、公平であるとも必要性があるともいえないものです(秋田県議会・岩手県議会による農水省への意見書の一文を引用)。有機JAS農産物の仕組みと同じですね。本当のことを消費者に知らせないまま「検査しないものは『未検査米』とうたえ!」という意図的な圧力も感じます。・・・シタガウモンカ!(独り言)
斑点米がある『未検査米』は、イメージとは逆に本当の意味で安心な良いお米であると判断していいのです。
今日も皆様の冷蔵庫と食卓が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から心から願っています。
平成29年8月22日
Edit by 山下 理江