平成29年11月14日

Nov 13. 2017 かごしまんまだより

【野菜セットにおける『市場仕入れ』とは】
かごしまんまの野菜セットは、契約農家さん数件の野菜と市場仕入れ品で構成されています。
今回はこの『市場仕入れ』野菜がどういうものか書きますね。
市場仕入れは、紅はるか芋の生産者さんでもある大丸農産さんがしてくださっています。市場の状況を見極めながら、市場に顔を出す生産者さんに根回しをしたり、発送日の4日前に市場に他県野菜(レンコン等)の予約を入れたりします。
大丸農産さんが出入りしている市場は、志布志市にある『南九州青果』という小さな市場です。地元の生産者の農産物が主です。しかし日本では放射能を気にしない人がほとんどですので、産地を気にせず1年中キャベツやタマネギやニンジンやリンゴの需要があるわけです。よってその時期に地元にないものは市場側が全国から仕入れています。例えばバナナやりんご。これは鹿児島にはほとんどありませんので1年じゅう輸入や青森です。そして南九州ではキャベツや大根・ニンジンなどの冬野菜を夏に作ることはできないので、夏のあいだは他県仕入れです。他県野菜の産地は決まっていて、大半が北海道、群馬、長野です。徳島や兵庫、など近畿地方や中部のキャベツや大根が志布志の市場に来ることはまずありません。
推測ですが、全国流通を確立できるのは資金力がある生産者さんに絞られるので、産地が固定するのではないかと思います。広大な畑を持って大量生産をして広大な敷地の選別場と保管場と巨大なトラックを持って自社流通網をつくるか、専門業者と契約しないと全国流通できません。そしていったん自社流通網を確立させたり専門業者と契約したら、年間を通して動いていかなければ採算が取れなくなったり人材確保が難しくなります。ですから全国流通する野菜は産地や生産者さんがだいたい決まってくるのです。
多くの生産者さんはそんなことはできません。宅配業者さんや配送業者さんに少量配送を頼んでいたら野菜が高くなってしまいます。流通経費を減らすために、生産物を持ち込むのは自分の軽トラで運べる範囲の市場や産直等に決まってきてしまいます。
志布志の市場は、天井がとても高い鉄骨の屋根と柱と事務所があるだけのだだっ広い場所ですが、地元の生産者さんが野菜を持ち込む区域と、他県仕入れ青果が置かれる区域は、明確にわかれています。なぜなら全国から来る青果は、輸送に適するよう綺麗に箱詰めされてフォークリフトで運ばれ積み上げられており、あきらかに地場産野菜とは雰囲気が違うからです。
地場産野菜は、各農家さんが軽トラに載せてくるので、例えばキャベツなどはビショビショに濡れたまま大きさもバラバラでどさっとバナナ箱や野菜コンテナに入っている感じです。葉物などは、大きさがバラバラで箱からはみ出しているので積み上げられずにおいてあったりもします。そして地場産野菜はその日の入荷量によって価格が変動し、殺気立った雰囲気でセリが行われています。入荷する生産者さんをつかまえて直接農薬状況も聞けたりします。全国からの仕入れ野菜は、仕入金額や量がだいたい決まっているので殺気立ったせりはありません。箱に農薬状況が書かれているわけではないので農薬状況は不明です(でも形も色も大きさもきれいな大量生産野菜が減農薬なわけがありません<そんなのは無理な話です)。
大丸農産さんは、発送日前日の早朝にこの市場で地場産野菜を目利きして仕入してくれています。セリだけではなく事前に生産者さんと直に取引するものも多いので、農薬状況が把握できます。これが『市場仕入れ』です。

今日も皆様の冷蔵庫と食卓が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から心から願っています。

Edit by 山下 理江