平成30年1月16日

Jan 15. 2018 かごしまんまだより

【台北視察の感想】
新年は新しい気持ちになり、気持ちが引き締まっていいですね。
どうぞ今年もよろしくお願いします。
年初は台湾の台北視察に行って、味や食材のヒント等がないか色々食べたり買ったりしてきました。
台北は鹿児島から飛行機でおよそ2時間なので身近な海外です。戦時中、日本軍の統治下で日本人がインフラを整備したり台風対策をしたり政治的対立を治めたりした歴史もあって、かなり親日で訪問しやすい国です。近代化も日本とほぼ同じくらいの印象。人々はスマホを持ち歩き、地下鉄は全駅にホームドアがあり、高級車も普通の車もバイクもたくさん走っています。マックも吉野家も和民もスタバも普通にありました。
日本と似ている感じなのですが、活気が全く違いました。ものすごい活気があるのです。
資本系チェーン店がたくさんあるのに、人が群がるのは40年も50年も続いているような手作り主体の飲食店。人々は長蛇の列を作って、ご夫婦で切り盛りしているような小さな店の味を求めます。お店の人も真剣勝負でひとつひとつ皮をのばし、肉や野菜を刻み、鍋をかき混ぜて作っていっています。それを人々に見えるようにオープンキッチンでやっています。セントラルキッチンで作られた無味乾燥な冷凍食材やレトルトは使いません。ひたすら真剣に手作りしています。それが40年も50年も続いている、そんなお店がたくさんありました。
日本では数十年続く飲食店はあまり多くありません。その上さらに活気がある店、となると極々わずか。
昭和時代の活気に満ちた商店街は今やシャッター街となり、人々は資本系チェーン店やコンビニや大型ショッピングセンターに行って食事や買い物を済ませるのが日本の主流です。
でも台湾の人々は「美味しいものをちゃんと食べるぞ!」という強い意志があるかのごとく早朝から長蛇の列に並んで食べます。だから個人店がちゃんと生き残り、街には活気があふれている、そんな気がします。
対して現代日本では多くの人が「安く早く手軽に食べられればいい」となっているので、どんどん個人店や商店街はつぶれて消えていき、雇用の多くも資本系チェーンや大手企業ばかりになっていき、人々はマニュアル化された仕事をこなすだけになり、活気や個性が失われていっているように思えます。
しかし毎日・毎食の「どこでなにを食べるか買うか」という何気ない私たち自身の選択こそが重要で、これが街を形成し、雇用を形成していっているのです。このままこの「安く早く手軽に」という流れが進むと、日本はもっと活気がなくなり、殺伐とした雰囲気になるのではないかという危機感を持ちました。
私は、昭和時代のお店のほうがずっといいなと思います。「お姉ちゃん大きくなったねぇ」と声をかけてくれる八百屋さんが理想です。お客さんの一人一人の愚痴や事情を聴いてうなずいてくれる、そんなご近所の床屋さんがいいんです。常連だからとコロッケ1つおまけしてくれる肉屋さんが大好きなんです。そういうお店が、今や日本からどんどん消えつつあるのは本当に悲しいことです・・・。
でも負けませんよ!たとえ顔が見えなくとも、距離は遠くても、同じ空の下、かごしまんまを選んでくださる皆さんと、『ご近所のお店』の気持ちでやっていきたいです。あらためてそう強く思えた台湾視察でした。
今日も皆様の冷蔵庫と食卓が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から心から願っています。

Edit by 山下 理江