【食品ロスと賞味期限・家庭編】
「食品ロス」とは、本来は食べられる状態であるにもかかわらず食品が廃棄されることです。
日本国内における年間の食品廃棄量は、食料消費全体の3割にあたる約2,800万トン。このうち、売れ残りや期限を超えた食品、食べ残しなど、本来食べられたはずのいわゆる「食品ロス」は約632万トンです(2013年度、農林水産省調べ)。これは東京都民が1年間に食べる量とほぼ同じだそうで、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料援助量(平成26年で年間約320万トン)を大きく上回る量です。
食品ロスの半分は、食品メーカー・小売店・飲食店から出る不良品・賞味期限切れ・賞味期限間近のもの・売れ残り・食べ残しですが、もう半分を占めるのは家庭からです。
家庭から食品ロスが出る主な原因の一つには『賞味期限』表示に関する廃棄があります。賞味期限が近づいたり1日でも切れていたりすると、実際に腐敗しているかどうかにかかわらず捨ててしまう経験はないでしょうか。
実は、期限には「賞味期限」と「消費期限」の2種類があり、この違いを知るだけでロスは大きく減らせます。
「消費期限」とは、「食品を摂取する際の安全性の判断に資する期限」(食品表示法)または「定められた方法により保存した場合において、腐敗、変敗、その他の品質の劣化に伴い、安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限を示す年月日」(農林水産省『加工食品の表示に関するQ&A』)のことです。これは、お弁当やサンドウィッチ、おにぎり、お惣菜、生菓子、生麺、生肉など日持ちが4、5日しかしない食品に表示されます。「消費期限」が表示されたものは、日付を過ぎると急激に品質が劣化する恐れがあるので日付を守って食べましょう。
しかし「消費しなければならない」消費期限と違って、賞味期限は「おいしさの目安」です。
農林水産省Q&Aによると「賞味期限」とは、「未開封の状態で、定められた方法で保存した場合、期待されるすべての品質の保持が十分可能であると認められる期限を示す年月日」のことです。「当該期限を過ぎた場合であっても、必ずしもすぐに食べられなくなるわけではないので、それぞれの食品が食べられるかどうかについては、消費者が個別に判断する必要がある」とあります。そして農林水産省ガイドラインの推奨により賞味期限の多くは、本来のおいしく食べられる期間よりも約2~3割以上短めに設定されていることが多いです。
つまり購入してから多少日にちが過ぎていても食べることが可能なのです。「賞味期限」は「おいしさの目安」ですから、においを嗅ぐ、目で見る、味見をする、などの五感を使って問題なければ食べて大丈夫なのです。
また、昔から日本で保存食として親しまれてきたものは、賞味期限を多少過ぎたものでも食べられることが多いです。例えば梅干しや乾物、醤油などの調味料類、納豆や醤油麹などの発酵食品です。これらも多少期限が過ぎていても大丈夫です。ただ、塩分やうま味成分(アミノ酸)が結晶化してザラザラな触感が出てきます。
逆になるべく添加物や薬剤が使われていないものは、賞味期限前でも品質が変化することがあります。
特にこの梅雨の時期のかごしまんまのパン類。賞味期限前でもカビが発生していることがあります。これは添加物がない食品の宿命です。本来、パンは常温保存が一番おいしいのですが、梅雨時期や夏の高温多湿下はカビの活動も活発化しますので、なるべく早めに食べてしまうか、賞味期限内でも冷凍保存をお勧めします(冷蔵保存はパンが固くなるのでお勧めしません)。
賞味期限に頼らず、五感を駆使して食材と向き合うこと。それが食品ロスの削減への一歩です。
今日も皆様の冷蔵庫と食卓が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から心から願っています。
株式会社かごしまんま
平成30年6月19日
Edit by 山下 理江