【ブロッコリーを洗ったり茹でたりしたときに浮いてくるのは農薬ではない(キッパリ)】
SNS上で「ブロッコリーを水やお湯につけると油が浮いてくるが、これが農薬。」というような発言が流れてきました。「茎が超固いのは遺伝子組み換えだ」とも書かれていました。
SNSで怖いのは、こういう情報っぽいものが真偽の確認をされないまま人から人へ拡散されてしまうことです。
まず遺伝子組み換え作物は、日本ではまだ研究施設の中での実験栽培や決められた圃場での試験栽培でしか認められておりません。
仮に、既に日本で遺伝子組み換え種子がひっそり流通して作付けされているとしても「茎が固いのは遺伝子組み換えである」と断定はできません。収穫終期には多くの野菜がとう立ち(蕾を形成して固くなること)に向けて固くなるからです。
またブロッコリーを茹でて浮いてくる油分は、農薬ではありません!
種を自家採種して無農薬栽培した人のブロッコリーからも、おババ(私の母)農園の自然栽培のものからも、平岡農園さんの無農薬栽培からも、ブロッコリーは茹でると油分が浮いてきます。
ブロッコリーはアブラナ科の野菜です。アブラナ科の野菜はろう成分を生成し冬の乾燥や低温・日差し・病原菌などから自分を守っています。これをワックスブルームと言います。特にブロッコリーやキャベツはワックスブルームがよく出ます。油が採れる菜種もこのアブラナ科です。名前からもいかにも油が出そうな科ですね。
ブロッコリーを水に浸したり茹でたりすると浮いてくる油分の正体は、このワックスブルームです。植物が自分で生成したもので、危険性はありませんし農薬成分でもありません。
ところで野菜専用洗剤やマルチ系商材の宣伝文句に「農薬が浮かび上がって洗い落とせる」というのがあります。
減農薬に気を遣う多くの野菜生産者さんは収穫の2週間前までには農薬散布は止めます。農薬の摂取は人体に影響があるからです。また業界・行政からも農薬は最低でも収穫の24時間前までに散布するよう指導があります。
例えば私たちが24時間前に身体に塗布した化粧水を洗い流せるでしょうか?大半が皮膚に吸収されている、と考える方が自然です。野菜も同じです。大半が野菜自体に吸収されてしまっているのです。
農薬が都合よく野菜の表面だけについていて、しかも洗い落とせる魔法はありません。農薬は一度散布されたら野菜自体に染み込んでいき、洗ったり茹でたりしたくらいでは全て落とせません。
なるべく農薬を使わない生産者さんから野菜を摂取する方が合理的です。キャベツなどの無農薬栽培が難しい野菜は、外葉をちょっと剥いて捨ててから調理するのも効果的です。
人間以外の動物を見ても、昔の人の生活を考えても、野菜は水洗いで十分。
泥や虫がないきれいな野菜やカット野菜(←保健所の指導により必ず次亜塩素酸ナトリウム等で消毒されています)ばかり摂取して無菌状態に近い身体でいるよりも、無・減農薬栽培の泥付き虫の穴付きの皮ごとまるごと野菜を食べている方が、強くて抵抗力のある健康な身体を維持できるということは明白ですね。
今日も皆様の冷蔵庫と食卓が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から願っています。