2019 August

2019年8月27日

Aug 26. 2019 かごしまんまだより

【ニンニクもミョウガも生姜も野菜です!】(スミマセン、先週の再掲記事です)
そりゃわかってますよ、皆さんが野菜セットに欲しいのはキャベツやほうれん草や大根やニンジンや玉ねぎだってことも。でも今はないんです、そういうレギュラー野菜(だいたいが冬野菜である)がどこにも。
もちろん鹿児島のスーパーだってキャベツもニンジンも大根も全てあります。しかしどれも産地は北海道や青森や群馬や長野。夏真っ盛りの南九州では、キャベツや大根やほうれん草などの冬野菜の栽培は不可能なのです。
もし野菜セットにそれらを入れるとしたら、解決方法は産地偽装か遺伝子組み換えしかありません。
でもかごしまんまの野菜セットは、減農薬の鹿児島野菜中心の九州野菜セットなんです(涙)
(他の同様な地場産中心の九州野菜セット通販は、地場産野菜の種類がそろわない夏はキノコ類や果物を入れるところもあります。そして夏はやはり段ボール箱が小さくなってしまうとか。皆さんやはり苦労していますね)
地域の生産者さんが持ち寄る、鹿児島・宮崎の農産物直売所のラインナップの現状は以下のとおり。
芋、芋、芋。ゴーヤ、ゴーヤ、ゴーヤ。オクラ、オクラ。きゅうり、ナス、とうがん、芋がら、かぼちゃ、みょうが、にんにく、ヘチマ、みょうが。たまに少量のツルムラサキやモロヘイヤ。とてもディープな夏野菜ばかりですね~。特にとうがんや芋がら。とても首都圏のママさんたちが普段使いできるタマではございません。
出荷するものがないのか、干し大根や干し野菜も棚に並んでいます。それしかないんです。それが自然なのです。
どうしても野菜セットの11種類揃わない場合は、やむなく他県産の野菜を入れますが、地場産の自然な旬野菜の方が農薬も少なく栄養も豊富なので、なるべく地場産野菜を入れるようにしています(※市場野菜やスーパーにある野菜はたいてい大量生産で、見た目重視・長持ち重視なので農薬が多く使用されている確率が高い)。
なので今の時期の野菜セットには、地場産減農薬栽培のニンニクやミョウガが入ったりします。
また、吉田自然農園さんは全く農薬を使用しない自然栽培なのでできるものが限られる上、災害にも弱いため、生姜でも青シソでも収穫できるときには優先的にセットに入れるようにして、その生産を支えています。
常夏の鹿児島では収穫できる野菜がどうしても限られています。
しかしそういう旬の野菜を食べ続けることが、結局は安全で自然のリズムにかなっています。
ゴーヤチャンプルーにニンニクをたっぷり入れてガツガツ食べる。そうめんにミョウガを刻んで食欲を刺激させる。夏野菜の生きた成分は、サプリよりもずっと身体の調子を整え夏バテを解消するお手伝いをしてくれます。
産地を限定して野菜を食べることは不自由なこともありますが、どうぞそんな不自由をも楽しんで旬野菜を食べるメリットを感じて頂ければ幸いです。
大型で重量のあるキャベツや大根やニンジンが入る冬よりもずっとずっと軽くて小さい夏野菜セットですが、生産者さんと一緒に一生懸命11品揃えていきますので、なにとぞご理解くださいますようお願い申し上げます。
余談ですが、ここ鹿屋市では真夏に小松菜や水菜をつくれるのはぐるめ畑さんと上村農園さんだけです。ビニールハウスに寒冷紗や扇風機を入れ、灼熱のビニールの中での収穫。台風のたびにビニールをハウスからはがして、圃場内の小松菜や水菜をやむなく全滅させ、なお、再び苗を植えて立ち上がる。想像を絶する苦労があります。
鹿児島・宮崎全体でみても、真夏に葉物を作れる生産者さんはかなり少ないです。しかも減農薬栽培は数えるほど。難しい上にリスクが大きいからです。そんな生産者さんのおかげで、今週も小松菜や水菜があります。
今日も皆様の冷蔵庫と食卓が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から願っています。

Edit by 山下 理江

2019年8月6日

Aug 5. 2019 かごしまんまだより

【果物が年々高くなってきた理由】
「果物って高いですね(涙)」そんなつぶやきをツイッターでみかけて返信したところ、意外に多くの反響があり、びっくりしました。日々生産者さんに接している私にとっては当たり前のことが、一般の方には知られていなかったことなんだと改めて思いました。今回はこれについて書きますね。。
多くの果物は、収穫期が1年に1度しかないのに、雑草取りや剪定、受粉作業、温度管理など1年を通して常に手間がかかります。背が高い木の手入れやビニールハウスのビニルの管理などは、はしごを使っての肉体労働がたくさんです。ミカンやリンゴの木などは山の斜面に植えていることが多く、平地の作業よりも体力が必要です。キツイ・キタナイ・キケンの3K職業なので、後継者がどんどんいなくなって、生産者さんの平均年齢が年々上がり、高齢化が顕著な業界です。
それなのに台風や長雨などの天災や病気などで全部パアになってしまって、断腸の思いで廃業を選択していく生産者さんが後を絶ちません。
供給者が少なくなれば、需要と供給のバランスにより市場ではじわりじわりと果物の単価が上がっていきます。
しかも年々燃料代や電気代や肥料代が上昇しています。電気代や燃料費は毎月かかっていくのに、収入は収穫期のみ。四季折々の豊かな気候の日本では台風や災害はしょっちゅう。ひとたびそのような天災や病気に見舞われれば、その年の収入はゼロ。そんなバクチな職業が、果物生産者さんなのです
本来、農業というのは、国や自治体の補助や補償がなければとてもやっていけるものではありません。諸外国では第一産業は手厚く保護されているところが多いです。特に果物は収穫期が限定されてつぶしがききません。
例えば前村果樹園さんのパッションフルーツ。ビニールハウス栽培で、7月初旬~8月上旬が収穫期です。
収穫期が終了するとすぐ8月中旬には全ての木を伐採して引っこ抜いて更地にします。そしてすぐに苗木(3月に挿し木して別のところで育てていたもの)を植えてハウス内で育てていきます。台風に弱いビニールハウスは、台風が来るたびにビニルを剥がして張り替えます。これは大変な重労働です。
ハウス内は10℃以下になるとセンサーが働いて暖房がつきます。12月~2月はずっと常に暖房が稼働している状態で、燃料費がすごいことになります。そうやって南国フルーツのパッションフルーツは私たちの手に届きます。前村果樹園さんは、パッションフルーツのほかにもミカンやデコポン・タンカンなどの柑橘類もやってらっしゃるので年間を通して収穫物があるほうです。
しかし山下ぶどう園さんは、ビニールハウス栽培のブドウだけの生産者。ブドウの収穫期は7月下旬~8月お盆前までのみ。あとはずっとブドウの手入れで1年が過ぎていきます。「ブドウのみでやらないと、いいぶどうができないよ」と山下さんは言います。数年前には台風でハウスがやられ全部のブドウが落ちてしまったことも。
手塩にかけたものが全部ダメになって、収入がゼロになってしまったらそりゃ多くの人は辞めちゃいますよね。
前村果樹園さんは3世代の家族経営で若いご夫婦もいますが、山下さんのところは高齢です。金柑でおなじみの丸山農園さんのところも高齢です。いつ廃業になるかわかりません。
このままでは、日本の果物の未来は暗いです。わたしたちには何ができるのでしょうか。
今日も皆様の冷蔵庫と食卓が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から願っています。

Edit by 山下 理江

2019年7月30日

Aug 5. 2019 かごしまんまだより

【産地リレー】
昨日まで長崎県産だったのに、今日は青森県産だった・・・。とうとう魔の産地リレーが始まりました。
『産地リレー』とは、スーパーなどの野菜や果物の産地が変わること。
朝顔が冬には咲かないように、チューリップが夏に咲かないように、野菜や果物も必ず季節(旬)があります。
産地を気にしないでいると、スーパーの店頭には1年じゅうキャベツや大根やオクラやリンゴがあるように思えます。しかし産地表示を見続けていると、季節によって産地が変化しているのがわかります。
例えば夏野菜のオクラ。夏である今は鹿児島県産など国産が主流ですが、冬から春にかけてはタイ等の外国産しかありません。
冬野菜のキャベツや大根は、こちら鹿児島では今は九州産を見つけても手のひらサイズの小さなものやひょろっこくて細いものがほとんど。暑いので冬野菜は育たないか育っても生育不良気味な感じなのです。今スーパーにある大きくて太いものは群馬県産や青森県産です。ニンジンもそうなりつつあります。
最近、ニュージーランド産のリンゴがスーパーでちらほら見かけるのは、日本と季節が正反対の南半球ではリンゴが旬だから。逆に今の日本産のリンゴは旬ではなく1年くらい前に収穫した貯蔵品です。
苺のショートケーキもケーキ屋さんに行けば1年じゅうありますが、イチゴの旬は1月から4月です。今の時期の苺は外国から空輸したものです。甘くて美味しいイチゴはもともと無農薬での栽培が非常に困難です。しかもケーキ用のイチゴは見た目重視。海を越えてはるか遠くまでキレイなまま配送するためにどんな『工夫』がされているのでしょうか。私たち消費者は知ることができません。
今の時期に悩ましいのが玉ねぎ。スーパーの札には『佐賀・北海道産』と2つの産地表示が。トウモロコシ売り場も『長崎県・茨城県産』でした。梅雨明けして夏本番になってきた証です。
スーパーで九州産の冬野菜が完全になくなるのももう間近。
私たちの身体のリズムも、季節に合わせて変化しています。旬の野菜や果物は、人間や動物の季節のリズムに合わせて必要な栄養分を与えてくれます。春野菜はデトックス効果が高いものが多く、夏野菜は夏バテ防止・解消効果が高いものが多く、秋冬はエネルギーを蓄積したり体温を上げたりする効果が高いものが多いです。
つまり、旬ではない野菜や果物を食べることは身体のリズムにあまり合っていません。
魔の産地リレーが始まるこの時期はよく「キャベツや大根はないでしょうか」と問い合わせをいただきます。
ないんです!あってもひょろっちくて小さくてとても提供できるようなモノじゃないんです(涙)。
夏はゴーヤとオクラとキュウリとナスとゴボウが鹿児島では主要な野菜になってきます。あと『とうがん』とか『トイモガラ(ずいき)』などという野菜もあるにはあるのですが、独特過ぎて首都圏の皆様にはとてもオススメできません・・・。冬のように大きな野菜がなく種類も豊富でなくて、本当にすみません・・・。
(でもこれら夏野菜を食べ続けることで、夏バテや疲労を必ずや軽減してくれるはず!ガンバッテタベテ!)

今日も皆様の冷蔵庫と食卓が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から願っています。

Edit by 山下 理江