【あなたはあなたのままでいい】
今年ももう終わりですね。どんな1年をお過ごしでしたでしょうか。
ずっと、『食べて応援』という言葉とその日本の雰囲気が嫌でした。
応援することは大賛同です。でもそれを日本全体で圧力のように推進し、異議を唱えるものなら攻撃を受けるような雰囲気がとても嫌でした。「避けている、食べないようにしている」と言うと、「国の基準で大丈夫なんだから、みんなが食べているから」と言われたり曇った顔をされたりするのが苦痛でした。
ここは民主主義で自由経済の国で、食べるものや買うものの選択は個人の自由にあるのに、私のこの生きづらさ・生きにくさ・生き苦しさはなんだろう、とずっと考えていました。
最近読んだ本『「空気」を読んでも従わない』(鴻上尚史・岩波ジュニア新書)に答えが書いてあり、とても気分が楽になりました。ちょっと要約して紹介します。中学生向け文庫で読みやすいのでぜひ読んで頂きたいです。
生きづらさは日本という国のなりたちに原因があります。長いあいだ日本は稲作が中心の農耕社会でした。
稲作は、用水路をつくったり田植えや収穫したりと集団での分業がとても多い作業です。隣の田畑が荒れていたり病気が入ったりすると自分の田畑も被害を受けます。必然と村全体で協力して支えあって生きてきました。
そして日本は一度も他民族からの侵略はありませんでした。代わりに日本を繰り返し襲ったのは、台風、大雨、日照り、震災などの天災でした。そして私たち日本人は『しょうがない』という言葉で現実をスルーしたり受け入れたりする民族になりました。
もし過去に一度でも他民族からの侵略があったなら、現代日本人も他の国と同じように『自分たちの権利や思想を奪う相手に対して戦う』行動をもっとしていることでしょう。しかし日本は近代まで侵略されずにきました。集団で協力しなければ生きていけない農耕社会で、次々と起こる天災に対し『どんなことが起ころうと身をまかし、今ある状態を受け入れ、文句を言わず従う』というのが日本人気質の土台となっていったのです。
欧米では、ちゃんと生きるためには『自尊意識』を育てないといけないと考えます。自分のことが嫌いな人や自分なんて価値がないと思う人は、人生を素敵に生きていけないからです。だから小学校1年生から「あなたはかけがえのないあなたです」と教育をします。対して日本の教育は「人に迷惑をかけない」同調圧力です。
でも人は人に迷惑をかけないで生きていくことはできないと僕は思います。だってあなたが頑張ってチームのレギュラーに昇進したら誰かが補欠に降格するでしょう。『人に迷惑をかけない生き方』ではなく、迷惑をかけたりかけられたりしながら『お互いさま』で助け合って『あなたと人が幸せになる』生き方を目指すのです。
どうです?放射能や農薬・添加物・GM問題だけでなく、消費税増税や、安部政権の嘘や改ざんや隠蔽にすら多くの人が「しょうがない」と受け入れてしまっている日本人の謎が解けたような、そんな感じがしませんか。
そして山本太郎さんの『生きにくさはあなたのせいじゃない。あなたのままで生きていていいんだ』の言葉が、いっそう深く深く心に響いてきます。
新しい年も、皆様の冷蔵庫と食卓が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から願っています。