【過去のパンデミックに学ぶ】
夏休みはいかがお過ごしですか。私は父のお墓参り(徒歩圏)に行ったり、近所のカフェで何回かコーヒーを飲んだりしたくらいです。連日35~38℃の猛暑日も重なり、なんだか息苦しいお盆でした。
おババ(私の母です)はもう何か月も温泉や老人会に行かず、娘(中2)の修学旅行もとうとう中止になり、息子(小4)はずっと家でマインクラフトというゲームに没頭して暇をやり過ごしています。皆悶々としています。
せっかくなので『感染爆発(見えざる敵=ウイルスに挑む)』(デイビット・ゲッツ著 金の星社)という児童書を親子で読んでみました。1918年のスペインインフルエンザについて当時の様子や現代までの流れが書かれ、コロナ禍に生きる私達にとって大変参考になる本です。まだ夏休みの読書感想文を書いてない皆さん、これは良書です。
ふりがながありやさしい文章で、小学校高学年くらいから読めて大人にも面白いです。
第一次世界大戦のさなか1918年3月4日に、アメリカの軍キャンプ地で最初のインフルエンザ患者が報告され、あっという間に世界中に広まり、感染爆発しました。さらにその夏には危険度が上がり、健康な若者が次々と亡くなりました。たった半年ほどで当時の地球上に住むほぼ全員がかかり、亡くなった数も2000万~4000万人と推測されています。日本でも公式に記録されているだけで国民の半数以上がかかり、38万人以上が亡くなりました。
当時も映画館や商店や学校や教会などが閉鎖され、医療従事者の多くも感染し、警察も消防もごみ収集も葬儀屋も人手不足になり、社会機能が麻痺しました。ところがその翌年1919年の夏前にはこのウイルスは忽然と消え去り終息します。多くの人が命を落とすほどの悪性になった原因やメカニズムの全容は、いまだ解明されておりません。
当時に比べ現代医療は1918年より格段に進歩しましたが、ひとりのひとを徹底的に治療することが主になり、極めて大勢の人々を同時に治療する方向へは進歩しておりません。様々な治療器具や薬があっても、一度に多くの患者が出れば、人材も物も不足します。ワクチンの開発もすぐにはできません。なのでパンデミックの兆候をできるだけ早く見つけて、世界中が全力で対策する努力をしています。そんななかで新型コロナウイルスが出現したのでした。
今、世界中がワクチン開発に全力をあげています。
しかしどんなに急いでワクチンを作っても、全ての国民がワクチンを打ち終えるには数か月かかります。
そこで最初に出荷される数千万人分のワクチンは、優先的に打つべき人に使われる必要があります。
ワクチンを優先的に打つべき人とはどんな人を指すでしょうか?
小4の息子に聞いてみると「子供やお年寄りや体の弱い人や病気の人」と答えました。
正解は「消防士や警察官、そして特に医療従事者など、社会の機能を維持するのに必要な人達です。彼らが感染して倒れていったら病人の保護ができなくなってしまいます。1918年のパンデミックではそれが大きな問題だったのです。」(アメリカ疾病対策センターのコックス博士談 本書118ページより引用)
このグループへの接種が終わったら、つぎはハイリスクグループです。感染したら特に命の危険がある人達のことで、持病のある人や高齢者です。新しく出現したインフルエンザウイルスが特定の人にかかりやすい傾向を見せた場合には、そういったひとたちも優先されます。この本にはそんな内容が書かれています。
つまりウイルスが消え去るか特効薬やワクチンが普及されるようになるまで、とにかく私達は感染予防に努めるしかなさそうです。マスクと手洗い、旬の野菜や良い食材をできるだけとり、十分な睡眠をとることが重要ですね。
明けない夜も降りやまない雨もありません。大丈夫。同じ空の下、今日も頑張ってまいりましょう。
2020年8月後半版
Edit by 山下 理江