2021 May

2021年5月後半版

May 15. 2021 かごしまんまだより

【味蕾を育てる その②『うま味』を開発する】
『美味しい』という感覚はどういう仕組みなのかを①でご紹介しました。
舌の味蕾が栄養を感じ取ったとき脳から分泌される幸せ物質が『美味しい』という感覚です。
逆に酸味や苦味は腐敗物や毒物であることが多いので、それを避けるよう脳に初期設定されています。
しかし経験を積むことで「酸っぱくても腐敗していないし胃腸に良い」「苦くても毒ではなく栄養豊富である」と味蕾を通じて脳が学習していくので、ピクルスやゴーヤがいつのまにか食べられるようになるのです。
ビールやブラックコーヒーが、だんだん飲めるようになるのも同様の原理。リラックスしたりシャキッとしたりする成分を学習していき『美味しい』になるのだと思われます。
点滴から栄養を摂っても『美味しい!幸せ!』とはならないことから、味蕾と脳はどうやら連動しているようです。舌の味蕾って本当に大切ですね。
味蕾と脳が学習すればいいので、極微量を何回か経験することで『マズイ』から『美味しい』に変化します。
この原理を利用して国内外の昔からある素朴な調味料に慣れていくと、野菜同様に『美味しい!』のバリエーションが広がってより一層豊かで『幸せ!』な食生活になります。
なぜなら味蕾の基本感覚の1つである『うま味』が開発されるから。調味料は『うま味』のかたまり。
自然のうま味には身体に良い成分が含まれます。新たな『うま味』を開発するごとに『美味しい!幸せ!』が増えていきます。やってみると想像以上にこれはすごいんですよ~。
おススメの調味料はナンプラー(ヌクマム・魚醤)、オイスターソース、豆豉(トウチ)、八丁味噌、黒酒、塩麹、醬油麴、豆板醤、甜麺醤、コチュジャン、五香粉(ウーシャンフェン)、チリソース、キムチです。原材料の少ない素朴なものを選ぶのがポイント。原材料が少なければ、産地や素性も追いやすいです。
人工的な添加物が入っているものはNG。『調味料(アミノ酸等)』もこれは本名が『グルタミン酸ナトリウム』という化学調味料です。なるべくこれらを避けて選びましょう。なぜNGなのかは次回のかごしまんまだよりに書きますね。
これら昔からある素朴な調味料は、火入れをすることでさらにうま味が出るものばかり。いつもの煮物にちょっぴりナンプラーを垂らしたり、肉野菜炒めにオイスターソースや豆豉をちょっぴり混ぜたり、そんな感じのスタートでいいんです。ちょっとずつ、自由に、味蕾開発を楽しみましょう!
日を追うごとにそれらのうま味がもたらす美味しさの幸せを実感できるようになります。だしの素、コンソメ、ブイヨン、めんつゆなどの人工的なうま味調味料は全く不要になりますヨ~。
ナンプラーを隠し味に入れた肉じゃが、オイスターソースや豆豉や八丁味噌を加えた肉野菜炒め、塩麹や醤油麹を混ぜ込んだハンバーグ、いつもの角煮に五香粉を忍ばせる・・・等々。
極微量を料理に紛れ込ませていくだけでOK。日々少しずつ味蕾に経験させていくことで、大人も子供も『美味しい』がどんどん開発されていきます。そうやって色々な味覚を育てることで、本物の美味しさとともに、たいていの旅行先や海外でもその土地の食にすぐ慣れたり楽しんだりすることができるようになります。
今はコロナ真っ只中ですが、夜明けは必ずやってきます。そのときまで旅行は楽しみにとっておいて、味蕾を開発し、おうちで食の世界旅行を楽しんで『美味しい!幸せ!』がたくさん増えますように。
皆様の冷蔵庫と食卓とおうち時間が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から願っています。

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コロナに絶対かかりたくない最大の理由に、味覚障害
日常からストイックに、なるべく添加物がふくまれない旬のものを食べるようにする
お茶やコーヒーなどの香り・苦み・酸味・甘みが細分化された趣味を大切にしている
新しいもの・苦手なものに対して心がけていること→毎回ほんのひとくちだけ食べる
化学調味料、ブイヨン、コンソメは使用しない。だしパックや顆粒状だしもなるべく使わない。
昆布・干し椎茸・あご・かつおぶし・いりこ・あご(粉末でも可)・乾燥野菜・干しえびなどなるべく単体を使う
国内外の素朴な調味料を積極的に取り入れる→ナンプラー(ヌクマム・魚醤)オイスターソース、豆豉(トウチ)、八丁味噌、地酒、豆板醤、甜麺醤、コチュジャン、五香粉(ウーシャンフェン)、香辛料、セウジョッ(アミの塩辛)、
自然のサイクルに合わせて、そのときの旬野菜を食べるほうが断然栄養価も高くて美味しいですし、おススメですヨ。旬の野菜のチカラが、私たち含め動物の元気の源になります。
さあ、初夏に向かう野菜たちをどうぞおもいっきり楽しんでくださいネ。

Edit by 山下 理江

2021年5月前半版

May 7. 2021 かごしまんまだより

【味蕾を育てる その①】
『美味しい』という感覚はどういう仕組みなのか。
『食べること』は私達ヒトを含めて動物の生きるために必要な行動であり本能です。
動物は必要な栄養を摂取すると『美味しい』と感じ、脳からβエンドルフィンやドーパミンなど様々な幸せ物質が分泌されます。おいしいものを食べると幸福な気持ちになるのは幸せホルモンが分泌されるからです。
『美味しい』とは、舌にある『味蕾』というセンサーが受けた味覚情報を脳に伝達して感じる感覚のことです。
ヒトの場合、味蕾センサーを通して感じる味覚は甘味・酸味・塩味・苦味・うま味の5つの基本味です(辛味や渋味などは味蕾を経由せず神経細胞に直接作用し、痛覚に近い感覚で受容されます)。
ヒトにとって必要な栄養は糖・アミノ酸・脂質で、それらの甘味やうま味は私達の脳に『美味しい』とインプットされています。
反対に、腐敗物や毒物など動物にとって有害な成分の多くは酸味や苦味を呈するので、これらを本能的に避けるように脳にインプットされています。
味蕾の数は大人になるごとに減っていき、赤ちゃんには大人の1.3倍もの味蕾があります。
なので赤ちゃんや小さな子供は本能的な味覚が優先されるうえ、大人よりも味蕾数が多いため、味を敏感に感じ取ってしまい、漬物(酸味や発酵臭)やピーマン(苦味)などを嫌う傾向があるのです。
しかし何度か食べるという経験を積むうちに「苦くても毒ではなく栄養豊富である」「酸っぱくても腐敗していないし胃腸に良い」ということを味蕾から脳を通して学習していきます。

味覚は、英語などの語学と同じです。幼少の頃から触れて多くの体験があればあるほど堪能になっていきます。
日本人が醤油や味噌や納豆を好きなのは、赤ちゃんの頃からこれらを食べているから。
台湾人が八角やパクチーを好きなのも同じ。ハーフの人が2か国語に堪能で色々な料理を食べられるのも同じ。
推測されるのは、味蕾と脳が多くの経験を積めばいいので、本人にはわからないようにペースト状にしたり極微量にしたりして何回も経験させることが『不味い、ニガテ』から『美味しい、スキ』につながるということ。

さあ、これからやってくる夏野菜は苦いものや酸っぱいものが多いですよ~。
常連さんなら知っている、ゴーヤ祭り(地獄?)。
数年前までは「ゴーヤは苦くて食べられません涙!」と泣いていた方もたくさんいましたが、今では皆さん「暑いときにゴーヤを食べないと疲れが取れなくて!」と仰るまでになりました。
そうなんです、昔から鹿児島や沖縄など南国では夏バテ防止にガツガツとゴーヤが食べられてきました。
栄養学的にもゴーヤの苦味成分であるモモルデシンには、疲労回復や血圧・血糖値を下げる働き・肝機能を高める効果があることが知られ、日焼けからの回復に必要なビタミンC等、夏に必要な栄養素がたっぷりなんです。
経験を積んだ味蕾と脳が、こんなすごい効能のゴーヤを『美味しい!』と認識しないはずがありません。
極微量を料理に紛れ込ませていくだけでOK。日々少しずつ味蕾に経験させ『美味しい』になれますように。
皆様の冷蔵庫と食卓とおうち時間が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から願っています。

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コロナに絶対かかりたくない最大の理由に、味覚障害
日常からストイックに、なるべく添加物がふくまれない旬のものを食べるようにする
お茶やコーヒーなどの香り・苦み・酸味・甘みが細分化された趣味を大切にしている
新しいもの・苦手なものに対して心がけていること→毎回ほんのひとくちだけ食べる
化学調味料、ブイヨン、コンソメは使用しない。だしパックや顆粒状だしもなるべく使わない。
昆布・干し椎茸・あご・かつおぶし・いりこ・あご(粉末でも可)・乾燥野菜・干しえびなどなるべく単体を使う
国内外の素朴な調味料を積極的に取り入れる→ナンプラー(ヌクマム・魚醤)オイスターソース、豆豉(トウチ)、八丁味噌、地酒、豆板醤、甜麺醤、コチュジャン、五香粉(ウーシャンフェン)、香辛料、セウジョッ(アミの塩辛)、
自然のサイクルに合わせて、そのときの旬野菜を食べるほうが断然栄養価も高くて美味しいですし、おススメですヨ。旬の野菜のチカラが、私たち含め動物の元気の源になります。
さあ、初夏に向かう野菜たちをどうぞおもいっきり楽しんでくださいネ。

Edit by 山下 理江