2021 October

2021年10月後半版

Oct 15. 2021 かごしまんまだより

【秋野菜シーズン到来】
南国鹿児島も10月17日の夕方からいきなり寒くなり始めました。
それまで半袖短パンだった鹿屋市民は、18日からいきなり一斉にトレーナー&長ズボン姿になりました。
いつも思うのですが、鹿児島では春と秋がちっともありません。
スプリングコートやトレンチコートはクローゼットの中で埃を被り続けています。
でも自然界ではちゃんと季節が廻っていて、秋野菜が顔を出し始めましたヨ。
待ちわびていたキャベツ。嬉しいほうれん草やチンゲン菜。色鮮やかなズッキーニ。久しぶりのルッコラ。瑞々しい新生姜。お弁当に活躍するインゲン。喉の様々な症状に良いとされるレンコン。
旬の野菜には、生き物にとってその時期に必要な栄養が溢れています。
だから旬の野菜を口に入ると、身体全体が喜ぶような「美味しいっ!!」「めちゃウマッ!!」と声が出てしまうのです。
旬の野菜にはチカラがあります。さあ今週も思いっきり旬を楽しんでくださいネ。

【嗚呼いと奥深しみかんの世界】
最近、どのみかんを食べても求める味とは違う気がします。
今日も様々なみかんを食べましたがなんだかしっくりきません。
千葉にいた時にはみかんといえば箱買いで、鮮やかな橙色で完熟していて甘いものしか食べたことがありませんでした。
ところが鹿児島に来てからは、みかんには収穫時期や品種の違いで『極早生』と『早生』と『中生』と『晩成』があって、全て同じ温州みかんだということを知りました。
9月初旬の出始めは、「これ食べられるのだろうか?」と疑問に思うほどの青々とした小さめの『極早生』。
この極早生みかんは、酸味と甘味がハーフ&ハーフで非常に爽やかな若い味です。
9月下旬から10月初旬には、皮の青い部分の面積が小さくなって黄色い面積が多い『早生みかん』。
酸味と甘味のバランスが、極早生よりも甘い方向にまとめられていて、人気のあるみかんです。
旬の終わりになると、大きめで濃い橙色で甘味が強い熟した『中世』や『晩成』になっていきます。
これが、千葉で食べていたみかんと一番近い味です。
どの野菜や果物も『旬の始まり』→『旬のピーク』→『旬の終わり』があって、見た目や味が移り変わっていくもの。
例えばオクラ。旬の始めは小さくて本数が少なく、旬のピークは太く長くて味が濃い。旬の終わりには固くなり、たまに噛み切れないスジが口の中に残ったりする。
わたしたち消費者はつい旬の移り変わりを忘れてしまいがちで、「スジがあるような食べられないオクラを入れるなんて!」と誤解してしまったりします。
しかし生産者さんは決して悪意で古いのや食べられないものを売っているわけではありません。旬とはそういうものなのです。
極早生の若い爽やかなみかんが大好きな私は、無意識にそういう味を探し求めているのだと、5〜6人位の生産者さんのみかんを食べまくってやっと気がつきました、「旬が移り変わっているからないんだな、そういえば」。
箱買いでみかんを食べていた頃には気づけなかったことでした。
皆様の冷蔵庫と食卓とおうち時間が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から願っています。

Edit by 山下 理江

2021年10月前半版 

Oct 1. 2021 かごしまんまだより

【奇跡の春ジャガ】
自然農法スペシャリストの井之上さんに「ちょっと一緒にジャガ芋の畑を見てくれんか?」と言われたので、ついて行ってみたところ、そこは見渡す限りのワイルドな大草原でした。
「また草原・・・ここを歩くのか、ダルいな」と尻込みする私。
ボウボウの草をかき分けて素手で土を掘る井之上さん。みるみるうちにジャガ芋がゴロゴロ出てきました。
りえし(びっくりして録画開始しながら)「えっ?ちょ?どういうことすか?!」
井之上さん「春のジャガ芋だけど腐ってない。春のまんまよ。」
りえし「えっ?でも茎とかどこ行っちゃったんですか?」
井之上さん「茎はもう枯れてるのよ、春のだから。今の時期ふつうは新しいのを植えて芽が出てくる時期なのよ。それがうちのはどーもない。ま、たまに腐ったり芽を出したりしているのもあるけれど。そういうのは子孫を残そうとしているのよ。」
りえし「・・・すごいな、ここにあるんだ。どう見ても草原にしか見えないっす!」
井之上さん「草ん中だからいいんだよ。そうでないとダメ。草が夏の暑さや日差しから守ってくれるんや」
りえし「草ん中だから逆にいいんだ・・・脚が草でかゆいっす!!」
井之上さん「そう、でもふつうは草ん中で腐っていく。でもうちのはどうもなってない。ずーっとほったらかしで(薬とかかけずに)やってきたから」
りえし「いやいや、それ『自然農法』と言いましょう」(キリッ)
井之上さん「なんぼでもとれる。持って帰って食べてごらん、どーもないから。美味しいよ。芽は掻いてね」
りえし、汚れるのが嫌でビニール袋を井之上さんに支給(←自分の手は汚さず、心が汚れている)。
りえし「え~!?でもこれカルチャーショックですよ・・・。一応マルチも敷いてあるし!w」
(※マルチとはマルチシートという黒いビニールのことで、雑草が生えてくるのを防止するもの。もはやこの草原には何の意味もなさない)
帰宅してキッチンでジャガ芋の土を落としてよく洗っていくと、異様な状態の皮が見えてきました。
ガマガエルのようなブツブツと数々のシミ。そしてなんだか老人の皮膚のように固い。
草の下の地中で、数々の細菌や微生物や虫等と夏のあいだじゅうずっと戦い続けて、そして自己治癒力で傷を治し続けた結果、ブツブツやシミができて固い皮になっていったのでしょう。ピチピチ生きている証です。
「これは・・・喰って大丈夫なシロモノだろうか?」正直そう思いました。
しかし皮をピーラーで剥いてみるとびっくり!まるで新ジャガのように瑞々しい肌がお目見えしました。
2kgほど茹でてキュウリと共にポテトサラダにしたら、子供たちが「激ウマ!激ウマ!」と叫びながらあっという間にペロリと平らげてしまいました。ホント美味しかったです。これから野菜セットにも入ります。
夏の過酷な環境下で、草原の下で腐らずに中身は守られて瑞々しく美味しいまま秋まで『天然貯蔵』されてきた春ジャガなんて、常識では考えられません。恐るべし井之上さん!
井之上さん「おそらくずっと薬や人工的なものを使わないでやってきたからよ。自然が一番だよ」
この話の動画を、かごしまんまツイッターとインスタグラムにもあげています。ぜひ観てくださいネ。

Edit by 山下 理江