2022年2月後半版

Feb 15. 2022 かごしまんまだより

【原材料の秘密その③ 食品表示法】
食品表示法の改正により、原材料表示が変わりつつあります。
色々ありますが大きなポイントは3つ。

重量割合上位1位の原材料の原産国または製造地を表示
『人工』『合成』『化学』『天然』の文字を削除
原材料の『/』以降を添加物とする

主原材料はどこの国でつくられたものかがわかるようになりますが、日本で作られたものは全て『国産』や『国内製造』となります。都道府県表示もOKですが、『国産』表示が主流になります。
そして添加物の欄は原材料とは別に『/』以降に表示され、人工的化学的なもの由来なのか天然なもの由来なのか分かりにくくなります。
また、商品に『〇〇無添加』や『〇〇不使用』の表示もガイドラインの策定が進められています。
これは『人工』や『合成』や『化学』という言葉が、無添加表示のためだけに使用されているからだそうです。

さあ、商品選択サバイバル時代の幕開けです。
消費者にとって表示してほしいものが、法律の改正によって表示してはいけないことになってまいりました。
『人工』や『合成』『化学』『天然』『無添加』『不使用』というワードを、国家が法によって抹殺しようとしています。
まだインターネット上の販売画面には食品表示基準の規制は及びません。
しかし消費者庁は『食品のインターネット販売における情報提供の在り方懇親会』を10回ほどやっています。同様の規制がされるのも時間の問題です。
なので、かごしまんまも今までのように詳しすぎる原材料表示ができなくなると予想されます。
消費者側に添加物や遺伝子組み換えやその表示に対しての知識がないと、身体に悪いものが入っているかどうかを見抜けなくなる世界にどんどんなっていきます。法のチカラで、みんな良さげな商品になってしまうのです。

これまでかごしまんまだよりでは、3回にわたり『原材料の秘密』シリーズで特集してまいりました。
今後、かごしまんまも法規制に従って原材料表示をしなければならなくなりますが、どうかみなさま、この『原材料の秘密』を記憶にとどめてください。
原材料表示が変わっても、かごしまんまはこれからも添加物や遺伝子組み換えや農薬などがなるべくない食材を選んで商品にしていきます(お菓子や総菜・おせち等の一部商品はご了承ください)。

どう嘆いてもこの国の流れは変わりません。消費者の私達自身がもっと知識をつけて賢く変わっていかねばなりません。がんばってまいりましょう。
皆様の冷蔵庫と食卓とおうち時間が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から願っています。

Edit by 山下 理江

2022年2月前半版

Feb 1. 2022 かごしまんまだより

【原材料の秘密その② アミノ酸と甘味料】
今後、原材料表記を簡潔化するにあたり、皆さんにぜひ知って頂きたいことを、かごしまんまだよりに書く第2弾です。
10年間、色々な商品規格書を見てきて経験的に知り得た事実です。

原材料欄でよく目にする『アミノ酸』。これはいったい何でしょうか。
生物学でいうアミノ酸は、タンパク質を構成する物質です。アミノ酸を補給するサプリやドリンクもあります。
しかし食品の原材料欄にあるアミノ酸は、いわゆる『味の素』といわれるL-グルタミン酸ナトリウムと5‘-リボヌクレオチドニナトリウムの配合物の『うま味調味料』です。
これはもともと『化学調味料』とも言われてきましたが、「サトウキビ等の自然由来のものを発酵させてつくるので、化学合成的な添加物ではない」とうま味調味料協会(味の素社等が運営している)が主張し、近年では『うま味調味料』という言葉を推進してきました。
うま味調味料は、インターネットで検索しても危険なのか危険ではないのか結局よくわかりません。『安心・危険ではない』を説明するサイトの多くは製造メーカー側だったりします。
しかしながら商品の原材料表記欄に『うま味調味料』や『化学調味料』と表記せず、一般人には栄養素と混同しやすい『アミノ酸』という表記をするところに姑息さを強く感じます。
個人的には、この『うま味調味料』がたくさん使われている食品や外食屋さんの味は、いつまでも舌に残って不快感があります。そう感じる人は少なくありません。またこのうま味調味料やアジシオを普段使いする人は、本物の出汁や本物の調味料の味が物足りなくなったりわからなくなったりする傾向があります。
なるべくなら無化学調味料の食材を選択したいと思いますが、メーカー側の理由として、品質の安定化や低価格で提供するための必要手段であることも多いので、非常に難しいところでもあります。
かごしまんま商品を見比べても、うまみ調味料使用の加工肉類と無添加の加工肉類とでは、価格も量も倍以上違います。
ご予算やご利用シーン等によって使い分け頂ければ、と思います。

甘味料について。甘味料は種類が膨大です。
しかし前回のまんまだよりに記載したように、基本的には粗糖や黒糖以外はあまり身体に良いものではありません。
上白糖や三温糖・グラニュー糖などは加工助剤を使用しています。果糖ブドウ糖液糖や人工甘味料の原料には遺伝子組み換え由来原料や化学的なものが含まれています。キシリトールやトレハロースなどの健康っぽいイメージの甘味料も実は遺伝子組み換え由来原料からできています。ステビアや甘草は自然由来原料であるといわれますが、これらが入っているものを食べるとやはり口の中や舌にいつまでも残るような感じがありますね。なるべく摂取しないほうがいい、と思いますが、これらも糖度や品質の安定そして低価格や低カロリーで提供するために使用されることが多いです。
かごしまんま商品も、やむなくアミノ酸や甘味料が入るものがあります。
かごしまんまの商品化において、死守しているラインは『サッカリンを使用しているものは商品化しない』です。加えて甘草やステビアも極力避けます。これら3種の甘味料は味覚を狂わせます。・・・実は、鹿児島の甘い醤油にはこの3種全てが入っています。これがほんと悩みの種で、鹿児島のソウルフードの多くを商品化できない原因であります。

Edit by 山下 理江

2022年1月後半版

Jan 15. 2022 かごしまんまだより

【原材料の秘密その①】
今後、原材料表記を簡潔化するにあたり、皆さんにぜひ知って頂きたいことを、今回のかごしまんまだよりに書きます。
10年間、色々な商品規格書を見てきて経験的に知り得た事実です。
『商品規格書』とは、その商品について詳細が書かれている説明書のようなもので、通常は製造者側が小売側に提出するもので、一般消費者の目には触れません。そこには原材料情報、栄養成分、製造工程、製造工場所在地、アレルゲン情報等が詳細に記されています。
原材料情報には1次原料のみならず2次原料・3次原料そして加工助剤の、加工国と由来原料やその原産国、食品添加物、遺伝子組み換え、アレルギー物質が記載されています。
しかし商品に記載されている原材料欄で消費者が目にするのは、1次原料のみで、かなり簡素化されたものです。
2次原料以下の遺伝子組み換えや添加物情報は全く分かりません。なので2次原料以下の原料に、遺伝子組み換え原料や添加物が入っていることが非常に多いです。
特に遺伝子組み換え原料。日本は遺伝子組み換え作物の有数な消費大国で、世界1位とか3位とか言われるほどです。
『遺伝子組み換え原料を使用している主な食材』(↓暗記しておこう!)
・植物油・業務用醤油・果糖ぶどう糖液糖・コーンスターチ・醸造アルコール・トレハロース等の添加物
例えばポテトチップス。原材料欄を見ると『馬鈴薯(遺伝子組み換えでない)、植物油、食塩』とあります。わざわざ馬鈴薯に(遺伝子組み換えでない)と記載されているから大丈夫じゃね?とイメージしがちですが、植物油はほぼ遺伝子組み換え由来原料です。食品表示法では『油や醤油は加工工程で分解されるから表示義務はない』 ということになっています。
遺伝子組み換え作物は、超強力な枯葉剤(ラウンドアップ等)等の農薬が大量にかかっている可能性が大です。
また、食塩や砂糖は加工助剤をわんさか使用して作られる代表選手です。
加工助剤においても、製造過程で化学変化したり除去されたりして消失するとされ、こちらも表示義務はありません。
なのでもしこれらも避けたい場合は加工助剤を使っている食品を暗記しておくといいと思います。
『加工助剤を使用している主な食材』
・食塩→自然塩(平釜炊きや天日干し)以外の精製塩  ・砂糖類→粗糖以外のもの
・植物油(菜種油・ごま油・米油・パーム油等)→圧搾搾りではないもの全て  ・コーンスターチ  ・重曹  ・クエン酸
例えばマシュマロ。原材料欄には主原材料がコーンスターチとありますが、それが遺伝子組み換え由来原料かどうかほとんどの製品において書いてありません。なので我が家では産地製造地問わずマシュマロはめったに食べません。
もしもマシュマロの原材料欄に『コーンスターチ(遺伝子組み換えである・亜硫酸水等の加工助剤を使用)』と詳しく記載されていたらどうでしょう?おそらく食べなくなる人が続出して売れなくなるのではないでしょうか。
今、我が国の法律は食品表示をもっと簡素化しようという方向に動いています。[合成]や[人工]の用語も削除されます。売れなくなるような表示はどんどん削除されていく傾向にあります。そんなご時世に抗って日本一詳しい原材料表記を目指していましたが、売上げ激減には対抗できませんでした・・・。会社存続のため、少し簡素化することをお許しください。
かごしまんま10年の信頼と期待を裏切らないよう、今後も『りえし的安全基準』の基礎はブレないようにしてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
皆様の冷蔵庫と食卓とおうち時間が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から願っています。

Edit by 山下 理江

2022年1月前半版

Jan 1. 2022 かごしまんまだより

【今年もどうぞよろしくお願いします】
年末のかごしまんまだよりについて、たくさんの応援メッセージを頂きました。
新しい挑戦に賛同してくださり、本当に本当にありがとうございます。この厳しいご時世を生き抜く励みになります。

新しい年を迎えたのに、なんだか世の中が暗い感じですね。
年末年始は、ここ鹿屋の街からイルミネーションや門松やしめ縄飾りが激減していました。
例年なら街の中心部はもっと華やかな飾り付けがされているところを、今冬は閑散とした寂しさがありました。
コロナによって特に飲み屋街が壊滅的被害を受けているようで、クリスマスも大晦日も繁華街から華やかさが消えてシャッター街と化していました。
飲食店だけではなく、書店、花屋、洋服店、呉服店、靴屋、酒屋、、、、あらゆる小さなお店が閉店に追い込まれる速度が上がっています。
本当に救済策が必要なところにはなかなか届かず、政権はいらない政策(布マスク、GoToキャンペーン、クーポン、、、、)で一部の企業にだけ利権を吸い取らせてばかりです。
このままだと大半の個人経営者や零細企業が息絶えてしまいます。
すると多様性が失われ、大手企業の提供するモノしか私達は手に入れることができなくなります。そして大手企業が独占化していきます。すると値上げや改悪にも対抗手段がなく受け入れるしかできなくなります。
(パソコンのWindowsのバージョン改定が大きな例ですね。いつまでもWindows98のままでいいと思ってしまうくらいです)

かごしまんまも先月は12月としては過去最低の売上でした。
だからこそ未来を見据えて頑張らねば、と決意しています。

それでもやはり、新しい気持ちで商品探ししているつもりが原材料表示に『りんご』とか『椎茸』とか『昆布』とか『イカ』とか『国産』とかを見ると、「九州産じゃないだろうなー」とゲンナリしてしまいます。
10年間も食材ジプシーをしてきたのでもう染みついてしまってますね。
九州産の安全なもの探しを続けてきて振り返ってみると、野菜は旬のものだけ、食材は素朴なものだけ選ぶようになり、舌も敏感になり、いつのまにか医者いらずになりました。生きづらいけれど、この生き方を選んでよかったな、と思います。

だからきっと、これからの10年もかごしまんまの根っこは変わりません。食の闘いはまだまだ続きます。

そしてこんなご時世だからこそ、開けるときにウキウキ明るい気分になるような、食べる時に幸せいっぱいになるような、そんなおうちごはんをお届けできるよう、かごしまんまスタッフ一同、頑張ってまいります。
3月くらいに、ホームページやロゴ関係が新しいものに変わります。どうぞよろしくお願いします。

皆様の冷蔵庫と食卓とおうち時間が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から願っています。

Edit by 山下 理江

2021年12月後半版

Dec 15. 2021 かごしまんまだより

【これまでの10年とこれからの10年を見据えて】
今年も本当にありがとうございました。
かごしまんまは12月26日で10周年を迎えます。
この10年間で、世の中の安心安全の基準や意識などが色々変化していきました。
原材料や添加物など全てにこだわって、商品化できるものが見つからなかったり、見つかっても日常使いできる価格ではなくなってしまったりしました。
ここ数年間は、消費税や送料や資材やガソリンの度重なる値上げで経営が苦しくなりつつありました。
そのためお金がかかる放射能検査はなかなかできなくなっていきました。
世の中の景気も悪くなり、吉開の蒲鉾などの良い商品がどんどん消えていきました。
コロナ禍になり、巣ごもり需要でいったんは需要が高まりましたが、世の中全体が苦しくなっていく中でかごしまんまも売り上げ減の波にのまれてもがき続ける年でした。
気がつけば、ご新規のお客さんがなかなか増えなくて会社の経営状況が悪くなっていました。
そこで10年を機に、根っこのベースは変えずに、でももっと多くの方々にご利用して頂けるよう、会社運営を健全にできるよう、かごしまんまをバージョンアップすることにしました。
具体的には、添加物や産地基準を少し弱くしていきます。主原料の産地は変わらず九州産や南半球産という基準です。
皆さんにとってこの決断は少しがっかりされることと思います。しかし、決して改悪ではありません。
今までの商品へのポリシーも守りつつ、なるべく安心安全な基準を守りつつ、でも鹿児島や九州の良き生産者さんの良き食べ物も楽しんでいければ、というスタンスです。
この10年、私の中での基準(以下りえし基準)で色々な食材を探し続けましたが、放射能防御や添加物回避というのは非常に困難で限定的で、皆さんと同じようにいつもジプシーでいつも孤独でした。
そこで原材料全てにあてはめていたりえし基準を、これからは主原料だけにフォーカスしようと思います。
これだけでかなり肩の力が軽くなり、多くのものが商品化できます。
例えばつゆや白だし。今までこれの商品化は叶いませんでした。昆布、椎茸、かつお節エキス、清酒、アミノ酸、人工甘味料など、私の中で色々ひっかかり商品化できませんでした。しかし昆布や椎茸が入ってないつゆは皆無です。
鹿児島には美味しい水と良い原料で丁寧に作られた人気のめんつゆがたくさんあります。最近では人工甘味料不使用のものも出てきました。これからはぜひご紹介させてください。
また、鹿児島には手作りの美味しいものがたくさんあるのですが、りえし基準に照らし合わせてご紹介できなかったものがたくさんあります。例えば欧州産オリーブオイルやチーズが入った加工品。りえし基準では欧州はまだチェルノブイリ事故の影響があると思われるので、欧州産原料が少しでも入っている加工品は商品化しませんでした。
こういうものが少し入っているけど『美味しくてとても良いもの』が鹿児島はじめ九州にはたくさんあります。こういったものもこれからは商品化していこうと思います。
あとお菓子については、添加物全ての産地表記を追うのをやめようと思います。一般的なお菓子にはどうしても添加物が入っています。膨大過ぎてとても追えないのです。
原材料高騰で、九州産の米や小麦を使っているお菓子はなかなか貴重になってきました。
主原料が九州産のお菓子は、これからは添加物にはある程度目をつぶって商品UPしていきます。
というのもご報告が遅れてしまいましたが、『九州産もち米100%使用 匠のおかき』が急に製造終了になってしまったのです。・・・ショックでした。ちょっと良いものは価格競争に負けてどんどんなくなっていきます。無添加で本当に良いもの(例えば素焼きおかき等)は一般的には物足りなくて売れずにフードロスとなってしまいます。
そこで決断しました。九州産米使用のおかき製造を守りたい。だから多少の添加物には目をつむろう!
年明けから新しい九州産米使用のお菓子を商品アップしますね。楽しみにしていてください。
今まで通り、各商品ページには商品記載の原材料表記を載せますので、それで各自ご判断いただければと思います。
ただ、加工助剤やGM有無などかごしまんま独自で記載していた内容は今後は簡素化していきます。ちょっと悔しい思いもありますが、それ以上にかごしまんまをより良くよりワクワクするようなお店にしていくよう頑張ってまいります。
どうぞご理解のほどよろしくお願いします。

【ロゴとホームページデザインを新しくします】
もっと楽しくもっとワクワクするお店になれるよう、ロゴとホームページデザインを新しくします。
ホームページはまだ時間かかりますが、ロゴは段ボールなどから徐々に変わっていきます。
その関係もあり、今年はカレンダーを作成しませんでした。楽しみにされていた方、申し訳ございません。
新しいロゴとホームページは、数々のロゴデザインを担当している前原宅次郎氏プロデュースです。
乞うご期待!

かごしまんまは2011年の原発事故後、私と同じ思いや悩みを抱える方々に安心な野菜や食材をお届けしたいと始めた会社です。
放射能や添加物や農薬の心配がない食べ物をご提供したい、という想いで10年やってまいりました。
これからの10年も変わらずこの想いを胸にやってまいります。
野菜の種類が少なく厳しくなる夏も、逆に野菜が巨大化野生化する冬も、変わらずずっとお付き合いくださって、本当にありがとうございます。スタッフ一同心より感謝申し上げます。
そして、
皆様の冷蔵庫と食卓とおうち時間が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から願っています。
という創業の想いを常に忘れず、顔が見えない通販だからこそ顔が見えるようなご対応を大切にやってまいります。
どうぞ、どうぞ今後ともよろしくお願い申し上げます。

【年末年始のお知らせ】
12月29日~1月5日まで年末年始休業とさせて頂きます。
年内最終出荷日は12月28日(締切は12月21日)、年始初出荷は1月7日(締切は12月31日)です。
よろしくお願いします。

Edit by 山下 理江

2021年12月前半版

Dec 1. 2021 かごしまんまだより

【霜が降りると夏野菜も虫もトカゲも退場です】
ここ鹿屋では11月28日に霜が降りました。
霜が降りると、ズッキーニやパパイヤやナス等の夏野菜が畑から強制退場させられます。
かごしまんまツイッターやインスタでも動画をUPしているのでぜひご覧になって欲しいのですが、夏野菜の多くは霜が降りると葉っぱが溶けてしまったり枯れてしまったりします。
すると光合成ができなくなってあっという間に全滅していきます。
虫やトカゲなどの変温動物も寒さに弱く、霜が降りると自然の神様は残酷なほど平等に命を奪っていきます。
葉の陰に隠れてなんとか生き延びているカマキリが、 最後の力を振り絞って木の枝に卵を産んでいるのを見ると、命の輝きや尊さを実感します。
「1つくらいなんとかなりませんか?」というリクエストもよく頂くのですが、霜が降りた後でも市場や店頭に出ている夏野菜はあんまり品質が良くないことが多いです。
なぜなら霜が降る前に収穫しておいた古いものか、霜が降りた後の瀕死状態の株からもぎ取ったものが多いから。共に生命力があまりなくて、柔らかくなっていたり萎びていたりします。
なので、かごしまんまでは霜が降りたら夏野菜は全て『在庫切れ』にします。
ハウス栽培できる夏野菜は、ハウス内を石油や電気で暖かくできるので1年じゅう購入できるようになりましたが、これら燃料代が年々高騰し続けているので、野菜単価も上がりつつあります。難しいですね~

【チカラある野菜の見分け方】
野菜の目利きをずっとやっていると、新鮮かそうでないかのポイントはいくつかあって、必ずそこを押さえて仕入れるようにしています。お店で青果を選ぶ時の参考になれば幸いです。
重要ポイントその①→→→旬かどうか(旬のものが成長に一番負担がないから、チカラある野菜になります)
重要ポイントその②→→→カット断面やヘタが青々としているか(鮮度が一番わかりやすい箇所です)
重要ポイントその③→→→セロテープやシールがあれば、剥がれやすいかどうか(粘着面がはがれにくいのは古い証)
重要ポイントその④→→→水曜日やお正月・お盆は市場が休みなので、お店に野菜は入荷しない(古い野菜しかない)

【年末年始のお知らせ】
12月29日~1月5日まで年末年始休業とさせて頂きます。
年内最終出荷日は12月28日(締切は12月21日)、年始は1月7日(締切は12月31日)です。
よろしくお願いします。

皆様の冷蔵庫と食卓とおうち時間が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から願っています。

Edit by 山下 理江

2021年11月後半版

Nov 15. 2021 かごしまんまだより

【下杉木農園さんのピーマン美味し!】
10月から下杉木農園さんのピーマンを取扱開始しました。
下杉木農園さんは来年には有機JAS取得予定で、農薬や化学肥料に頼らないピーマン栽培をしています。
ピーマンのハウス内には、ピーマン害虫の天敵やその餌となる植物も育成していて、小さな生態系を形成しています。
土壌成分も分析して硝酸態窒素を削減させているので、驚くほどエグみや苦みが少なく、甘くて肉厚なピーマンです。
出荷日前日に収穫したものなので鮮度も抜群。
他にはないプリップリで肉厚で美味しいピーマンが楽しめます。ぜひご賞味ください。

【サツマイモ基腐病(もとぐされびょう)】
さつまいもでんぷん、ピンチです。
全国的に大きな被害をもたらしているサツマイモ基腐病により『さつまいもでんぷん』の製造が休止となりました。
再開の見通しは立っていません。メーカー在庫分はまだありますが、早くて年内には在庫切れになる見通しです。
ご愛用されている方は、お早めにストックをお求めください。

【みかんが気に入らない】
いや美味しいんですよ、じゅうぶんに。しかし最近はどのみかんを食べても気に入らなくて。
酸味と甘味が半々で小さめなのが好みなのですが、近頃ないんですよ。みんな大きくてやわらかくて甘い。
今日も様々な生産者さんのを食べました。
千葉にいた時にはみかんといえば箱買いで、選択肢も『LかMかSか』『静岡か愛媛か』だったように思います。
鹿児島に住んでみて、みかんには極早生と早生と晩成があって、さらにはスペシャルみかんもあることを知りました。
青くて小さいみかんが売られていることに衝撃を受け、そしてそれが『極早生』という品種で美味しいことも初めて知りました。鹿児島ではだいたい500g~1kgの袋で販売されるのが主流で、箱買いはあまりないです。
生産者さんによっても味が全然違って、Aさんのは毎年美味しいし、Bさんのは毎年良くない、というのも正直あります。土壌の質や場所にも影響されるのでしょう。色々な生産者さんのみかんが店頭に並ぶので味比べができます。
年によっても出来が違って、梅などと同様に表年(おもてどし)と裏年(うらどし)があります。表年は実のなりが良くて(収穫量が多く)美味しく、裏年は実のなりが不作です。
そして季節の移り変わりとともにみかんにも旬の始まりがあり、ピークがあってやがて終わりを迎えることも知りました。
旬の始まりには青くて小さめで酸味が強くて固く、旬の終わりには濃い橙色で大きく甘みが強くて柔らかくなります。
「ああそうか、最近のみかんが気に入らなくなってきたのは、旬が進んできたからなのか」
「もうすぐ旬が終わりですよ~」と、みかんが味や色や大きさで教えてくれていたのでした。
箱買いでみかんを食べていた頃には気づかなかったことでした。

皆様の冷蔵庫と食卓とおうち時間が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から願っています。

Edit by 山下 理江

2021年11月前半版

Nov 1. 2021 かごしまんまだより

【値上げは連鎖】
消費税、健康保険税、電気料金、水道料金、銀行の手数料や切手代、配送料金、原油価格、輸入小麦の政府売渡価格、食用油、輸入飼料・・・色々なものがここ数年の間にどんどん値上がりしています。

輸入小麦や食用油そして輸入飼料などが値上げしている原因のひとつは、海上運賃の長期的な高騰です。
コロナ禍で飛行機や船舶の往来が激減した上に、新規コンテナ生産量が激減して世界的なコンテナ不足となり、海上運賃はコロナ前の数倍に高騰しています。
またとうもろこしをはじめとする飼料の世界的な高騰で、代替飼料として小麦需要が高まってしまい、小麦価格自体も高騰し、ついに政府は輸入小麦の売渡価格の19%値上げを決めました。
輸入飼料が上がれば、酪農家には大打撃です。生産者にとって経費の大半は飼料に費やされています。牛乳や肉類・卵の値上げは避けられないでしょう。
特に牛乳は、大手乳業側との交渉で買取価格が決められており、生産者側からは自由に価格を決められません。
生き物の世話なので早朝から深夜まで作業があり、休日もありません。酪農家戸数は20年前の4割にまで減少しています。
輸入小麦が上がると、パンやお菓子や麺類が値上がりします。
食用油が上がると、油を使う加工品の全てに影響があります。
電気料金や原油価格が上がると、ハウスを温める燃料が必要な青果(ピーマンやイチゴ、マンゴー等)が値上がりします。
多くの果物は、収穫までとても手がかかる上に収穫期も限定的です。近年は全国各地で台風や長雨による壊滅的な被害がありました。一から木を育てるには数年かかることもあり、就労者の高齢化と後継者不足による生産者の廃業はとまりません。

いまや非正規雇用労働者は全体の半分を占めるようになり、多くの国民の平均所得は上がらず、しかも平均所得以下が60%以上を占めるようになってしまいました。
するとどうなるでしょう。消費者の可処分所得が減るので、多くの企業の売り上げが減少します。
「消費税が上がると中小企業が苦しむ」と今回の選挙でよく言われました。これは、ある企業の年間売り上げが前年度よりも落ち込んだり変わらなかったりした場合、減収した上に増えた消費税を国に納めねばならないためさらに苦しくなるからです。
そのうえ国は自分の懐を痛めることなく最低賃金を上げ続け、多くの中小企業や個人経営者を苦しめています。
人件費や物流費・資材費の上昇によって経営が苦しくなると、企業努力だけでは商品価格を維持できなくなるので、企業は商品の値上げに踏み切ります。
こうして全ての商品がじわりじわりと値上がりしたり、1袋に入っている量が少なくなってきたりしているのです。
このように値上げはどんどん連鎖していきます。
政治がなんとかしなければ、人々の可処分所得は下がる一方で、中小企業や個人経営者の廃業も増えることでしょう。
コロナ禍で日本中が疲弊している今こそ、まずは消費税など税制を見直す時だと思います。
新しい国会がまた始まりますが、さて日本の未来はどうなっていくのでしょうか。

皆様の冷蔵庫と食卓とおうち時間が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から願っています。

Edit by 山下 理江

2021年10月後半版

Oct 15. 2021 かごしまんまだより

【秋野菜シーズン到来】
南国鹿児島も10月17日の夕方からいきなり寒くなり始めました。
それまで半袖短パンだった鹿屋市民は、18日からいきなり一斉にトレーナー&長ズボン姿になりました。
いつも思うのですが、鹿児島では春と秋がちっともありません。
スプリングコートやトレンチコートはクローゼットの中で埃を被り続けています。
でも自然界ではちゃんと季節が廻っていて、秋野菜が顔を出し始めましたヨ。
待ちわびていたキャベツ。嬉しいほうれん草やチンゲン菜。色鮮やかなズッキーニ。久しぶりのルッコラ。瑞々しい新生姜。お弁当に活躍するインゲン。喉の様々な症状に良いとされるレンコン。
旬の野菜には、生き物にとってその時期に必要な栄養が溢れています。
だから旬の野菜を口に入ると、身体全体が喜ぶような「美味しいっ!!」「めちゃウマッ!!」と声が出てしまうのです。
旬の野菜にはチカラがあります。さあ今週も思いっきり旬を楽しんでくださいネ。

【嗚呼いと奥深しみかんの世界】
最近、どのみかんを食べても求める味とは違う気がします。
今日も様々なみかんを食べましたがなんだかしっくりきません。
千葉にいた時にはみかんといえば箱買いで、鮮やかな橙色で完熟していて甘いものしか食べたことがありませんでした。
ところが鹿児島に来てからは、みかんには収穫時期や品種の違いで『極早生』と『早生』と『中生』と『晩成』があって、全て同じ温州みかんだということを知りました。
9月初旬の出始めは、「これ食べられるのだろうか?」と疑問に思うほどの青々とした小さめの『極早生』。
この極早生みかんは、酸味と甘味がハーフ&ハーフで非常に爽やかな若い味です。
9月下旬から10月初旬には、皮の青い部分の面積が小さくなって黄色い面積が多い『早生みかん』。
酸味と甘味のバランスが、極早生よりも甘い方向にまとめられていて、人気のあるみかんです。
旬の終わりになると、大きめで濃い橙色で甘味が強い熟した『中世』や『晩成』になっていきます。
これが、千葉で食べていたみかんと一番近い味です。
どの野菜や果物も『旬の始まり』→『旬のピーク』→『旬の終わり』があって、見た目や味が移り変わっていくもの。
例えばオクラ。旬の始めは小さくて本数が少なく、旬のピークは太く長くて味が濃い。旬の終わりには固くなり、たまに噛み切れないスジが口の中に残ったりする。
わたしたち消費者はつい旬の移り変わりを忘れてしまいがちで、「スジがあるような食べられないオクラを入れるなんて!」と誤解してしまったりします。
しかし生産者さんは決して悪意で古いのや食べられないものを売っているわけではありません。旬とはそういうものなのです。
極早生の若い爽やかなみかんが大好きな私は、無意識にそういう味を探し求めているのだと、5〜6人位の生産者さんのみかんを食べまくってやっと気がつきました、「旬が移り変わっているからないんだな、そういえば」。
箱買いでみかんを食べていた頃には気づけなかったことでした。
皆様の冷蔵庫と食卓とおうち時間が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から願っています。

Edit by 山下 理江

2021年10月前半版 

Oct 1. 2021 かごしまんまだより

【奇跡の春ジャガ】
自然農法スペシャリストの井之上さんに「ちょっと一緒にジャガ芋の畑を見てくれんか?」と言われたので、ついて行ってみたところ、そこは見渡す限りのワイルドな大草原でした。
「また草原・・・ここを歩くのか、ダルいな」と尻込みする私。
ボウボウの草をかき分けて素手で土を掘る井之上さん。みるみるうちにジャガ芋がゴロゴロ出てきました。
りえし(びっくりして録画開始しながら)「えっ?ちょ?どういうことすか?!」
井之上さん「春のジャガ芋だけど腐ってない。春のまんまよ。」
りえし「えっ?でも茎とかどこ行っちゃったんですか?」
井之上さん「茎はもう枯れてるのよ、春のだから。今の時期ふつうは新しいのを植えて芽が出てくる時期なのよ。それがうちのはどーもない。ま、たまに腐ったり芽を出したりしているのもあるけれど。そういうのは子孫を残そうとしているのよ。」
りえし「・・・すごいな、ここにあるんだ。どう見ても草原にしか見えないっす!」
井之上さん「草ん中だからいいんだよ。そうでないとダメ。草が夏の暑さや日差しから守ってくれるんや」
りえし「草ん中だから逆にいいんだ・・・脚が草でかゆいっす!!」
井之上さん「そう、でもふつうは草ん中で腐っていく。でもうちのはどうもなってない。ずーっとほったらかしで(薬とかかけずに)やってきたから」
りえし「いやいや、それ『自然農法』と言いましょう」(キリッ)
井之上さん「なんぼでもとれる。持って帰って食べてごらん、どーもないから。美味しいよ。芽は掻いてね」
りえし、汚れるのが嫌でビニール袋を井之上さんに支給(←自分の手は汚さず、心が汚れている)。
りえし「え~!?でもこれカルチャーショックですよ・・・。一応マルチも敷いてあるし!w」
(※マルチとはマルチシートという黒いビニールのことで、雑草が生えてくるのを防止するもの。もはやこの草原には何の意味もなさない)
帰宅してキッチンでジャガ芋の土を落としてよく洗っていくと、異様な状態の皮が見えてきました。
ガマガエルのようなブツブツと数々のシミ。そしてなんだか老人の皮膚のように固い。
草の下の地中で、数々の細菌や微生物や虫等と夏のあいだじゅうずっと戦い続けて、そして自己治癒力で傷を治し続けた結果、ブツブツやシミができて固い皮になっていったのでしょう。ピチピチ生きている証です。
「これは・・・喰って大丈夫なシロモノだろうか?」正直そう思いました。
しかし皮をピーラーで剥いてみるとびっくり!まるで新ジャガのように瑞々しい肌がお目見えしました。
2kgほど茹でてキュウリと共にポテトサラダにしたら、子供たちが「激ウマ!激ウマ!」と叫びながらあっという間にペロリと平らげてしまいました。ホント美味しかったです。これから野菜セットにも入ります。
夏の過酷な環境下で、草原の下で腐らずに中身は守られて瑞々しく美味しいまま秋まで『天然貯蔵』されてきた春ジャガなんて、常識では考えられません。恐るべし井之上さん!
井之上さん「おそらくずっと薬や人工的なものを使わないでやってきたからよ。自然が一番だよ」
この話の動画を、かごしまんまツイッターとインスタグラムにもあげています。ぜひ観てくださいネ。

Edit by 山下 理江