平成27年2月10日

Feb 12. 2015 かごしまんまだより

【オーストラリアスパゲッティ秘話】
放射能の事をいろいろ調べていくと、チェルノブイリ由来の放射能がまだ北半球を汚染し続けていて、ヨーロッパのナッツ類やベリー系のジャムや小麦粉やパスタも数値が出ていることが分かってきます。「もうパスタも我慢しなきゃいけないのか・・・」と絶望していたところにオーストラリア産スパゲッティをSGNフーズ合同会社さんがお取引してくれ、安心して子供達にパスタを食べさせてあげられるようになりました。
今回はそのSGNフーズ合同会社さん(以下、字数の関係でSGNさんと記載します)の事を書きますね。
SGNさんとお電話でじっくりお互いの事を話す機会があり、実はSGNさんも私と同じ千葉県のご出身でしかもかなり近所であったことが判明し、盛り上がってしまいました。
SGNさんは311の次の日には様々な情報から判断して、千葉からご夫婦と息子さんと娘さんの一家全員で岐阜に避難したそうです。すごいですね。ご主人の前職は大手日用品メーカー国際事業担当、奥様は医薬品関係の研究開発職だったそうで、311を境に全てをリセットし、まさか食品を扱う会社をつくることになろうとはそれまでの人生で夢にも思わなかったそうです。しかし食の安全について色々な論文や文献・資料を読んでいくうちに、南半球のオーストラリアやニュージーランドの安全な食料を日本の子供達に食べてもらいたいと強く思うようになり、ご苦労にご苦労を重ねてご家族で力を合わせて今日まで安全な食の供給に走り続けていらっしゃいます。
なかでも最初に苦労されたことは、相手方のニュージーランドの会社に「日本の皆様にぜひ」と説得するのに1年半かかったことでした。余談ですが、私自身も鹿児島に来る直前まではカナダのメープルシロップの輸入開発に関わっていたので、相手方との交渉や信頼を得るまでの過程がどれだけ大変かは容易に想像できます。相手は海外なので、日本の商取引の慣例とは全然違うのです。また、海外からの輸入の単位は基本的に船便なので、約1.2m四方のパレットという単位が基本になってきます。最低取引量を2パレットとか3パレットとか相手に提示されるわけです。想像してください。0からスタートしたばかりの会社にいきなり1.2m四方のものすごい量の食材が何パレットもやってくるのです。海外取引ではリスク回避のために基本的に前払いを要求されます。いきなりすごい在庫を抱えるわけです。それはもう相当の覚悟だったことと思います。
次に一番苦労されていることは、せっかく海外のオーガニック認定等の厳しい色々な基準や規格をクリアしていても、日本国内で「オーガニック」とか「有機」とうたって販売するには、(あの悪名高き)『有機JAS法』が阻んでくることでした。有機JASの申請や取得、そして商品に貼る有機JASマークに至るまであらゆることにかなりの金額と時間がかかってくるのです。メープルシロップのように原料が1つで製造工場も1つで複雑でないものなら申請も比較的スムーズで時間がかからないのですが、離乳食となるとその原料は60種類以上(!)にもなり、その1つ1つに対して申請となるともう何年かかるかわからないし金額も相当かかって非現実的なので、相手方のメーカーも容易に動いてはくれません。それでも日本の消費者の皆様にニュージーランドのオーガニック認定を取得したベビーフードやオーストラリアの低GI認定を受けたスパゲッティをどうしてもお伝えしたく、JAS法等の法的な問題をクリアしながらなんとか頑張っているそうです。
低GIとは食後の血糖値の上昇度合いを表した指標の事で、低ければ低いほど血糖値が上がりにくく、健康やダイエットに良いそうです。ですから低GI値スパゲッティは糖尿病の方にもとても喜ばれているそうです。日本ではまだなじみがない指標ですね。
かごしまんまでも近いうちにSGNさんのオーガニック離乳食も商品化していきます。ぜひSGNフーズ合同会社さんの熱い思いが詰まったHPやショッピングページ、ブログを検索して覗いてみてください。

Edit by 山下 理江