2015 June

平成27年6月26日

Jun 25. 2015 かごしまんまだより

【鹿児島は梅雨真っ盛りで、引き続き毎日雨です】
2週間以上も降り続いた雨が20日21日の土日にようやくやんで、久しぶりに生産者さんたちの顔に生気が戻りましたが、22日にはまた雨になってしまいました。この土日は太陽が顔を完全に出した晴れ間とは言い難かったものでしたが、それでも多くの野菜にとって救世主となりました。ちょっとでも雨がやめば虫たちも活動して受粉も進みますし、トマトやゴーヤなども色づいてくれます。底なし沼のように足がはまって歩行困難になってしまっていた畑からも水が随分ひいてくれ、諦めていた植え付けや収穫が土日で一気にできたようです。
生産者さんにとっては天気が全てで、土日も平日もないですね。お野菜を頂けることにただ感謝あるのみです。

【豚肉や牛肉の変色と品質につきまして】
かごしまんまの精肉類は発送日の前日にカットし、すぐに袋詰めにし真空機で真空パックにして再度冷蔵保存してお届けに備えています。傷みやすいといわれるひき肉のハンバーグ類はハンバーグに成形してすぐに急速冷凍機で冷凍してから真空機にかけ、発送直前まで冷凍保存しています。
ところがお届けした際に、ところどころ緑色っぽい灰色や黒っぽい灰色に変色した部分が見られることがあります。これは肉の品質が悪くなったり古かったりすることに起因するものではなく、肉類の特徴です。
牛肉や豚肉はもともと鮮やかな赤色ではありません。どちらかというと沈んだ黒っぽい灰色をしています。
それをカットすることにより、空気に触れて肉の中の血中色素が酸素と結びつくことで鮮やかな赤色になります。
そしてそれを真空機にかけて真空パックしますと、酸素がなくなりますので肉が再び沈んだ色に戻る現象が見られます。しかしこれを開封すればまた空気に触れることになりますので、少し時間が経てば再び鮮やかな肉の色に戻ります(色素自体が壊れるためか戻らない事もあります)。どうぞご安心してお使いください。
なるべく変色しない工夫ができないものか生産者さんにも日々研究・改善してもらっていますが、変色を抑える一番簡単な方法は、スーパーなどで使用される「変色防止剤」や「発色剤」を使用することです。でもかごしまんまとしてはそういう添加物を使用したくありませんので、おそらく今後も【変色】は避けられないでしょう。
真空にしますとどうしてもドリップ(肉汁)が押し出されたようにパックされ、肉自体もギュッと小さく締まってしまって見栄えが悪くなるので、スーパーなどの店頭では真空パックの精肉類はほとんど見かけません。
初めて真空パックの精肉を買う方も多いと思われます。その色の悪さにびっくりされるかもしれませんが、どうぞご安心なさってお召し上がりくださいませ。
また、真空するとどうしてもギュッと肉を圧迫しますので、ひき肉や水分の比較的多い鶏肉はよくドリップが出ます。このドリップは臭みの原因ですので、キッチンペーパーなどで拭き取ってから調理してください。
変色の問題もドリップの問題も、冷凍発送にしてしまえばほぼ解決する問題です。しかし精肉類はやはり冷蔵の方が断然美味しいですし、送料も冷蔵便と冷凍便にわかれるよりも冷蔵便だけの方が負担がありません。添加物も使いたくありません。・・・それではこの悩ましい問題をどうするか?
精肉類の色の問題に限らず何か商品の事で気になる場合は、おひとりで悶々と抱えて悩まずにどうぞご遠慮なさらず写真を添付して携帯やパソコンからメールしてくださいませ。かごしまんまと生産者さんとでそのメールの内容と写真から検討・判断して不安を解消させて頂きます。
たしかにかごしまんまとお客さんの間には地理的な距離が非常にあるかもしれません。でも精神的な距離は一番近い存在のお店であると信じています(放射能問題に限らずそうありたいと心から願っています)。
スーパーのように添加物1つで解決するよりも、私達はコミュニケーションで解決していきましょう。

Edit by 山下 理江

平成27年6月19日

Jun 18. 2015 かごしまんまだより

【鹿児島は梅雨真っ盛りで、毎日雨です】
「トウモロコシはこの前の暴風雨でみんな倒れてしまったし、1週間くらい雨が続いていて太陽が出ないからゴーヤやトマトが鮮やかな色にならなくてね・・・」と平岡農園さん。
「山東菜が全然だめです。水菜は大丈夫と思っていたのですが、この豪雨でビニールハウスの中にも雨水が入ってきて予定数量が確保できなくなりました」とぐるめ畑さん。
「この前の暴風雨でゴーヤがみんな落ちちゃった」と井之上養豚さん。
「畑が海になってキャベツがみんな傷みだしたからもう収穫終了です」とサンフィールズさん。
「毎日雨で種まきや植え付けができないから夏の葉物は未定だよ」と新馬場さん。
今年の鹿児島の梅雨は、ずーっと雨が続いて雨が上がっても数時間ほどでまた雨になる・・・・を繰り返し、時には風や雷を伴っているので、生産者さんは作業が全然進まずに落胆しています。
しかし天気ばかりは自然のことですのでただお空にむかって祈るしかありません。
雨ですと収穫できない作物も多いので、梅雨の時期は晴れの合間をねらってガーッと収穫作業をします。
通常ですと発送日の前日の14時にはほとんどの野菜がかごしまんまに届いているのですが、この時期の野菜セットは本当に読めなくてスリリングです。天気とにらめっこで野菜を収穫するものですから、前々日に届いていたり、締切時刻を過ぎても生産者さんが現れなかったり。先週の金曜日分のキャベツは雨がやまなくて、なんと発送日当日の朝に収穫してそのままかごしまんまに運ばれました。水もしたたるイイキャベツを、スタッフがびしょびしょになってヤマト運輸集荷時刻までのタイムリミットと戦いながら必死で新聞紙に包んでかごしまんま段ボールに詰めていったのでした。
余談ですが、かごしまんまの野菜セットのキャベツが新聞で包んである理由は、収穫したてなので雨やキャベツを洗った水がまだキャベツに残っていて新聞紙で包まないと段ボールの中が濡れてしまうからです。

毎日雨が続いて、太陽が恋しくて恋しくて仕方がない今日この頃の鹿児島ですが、この梅雨が明けたら今度は痛いくらい強い日差しをくださる太陽さんがずーっとお空に鎮座するようになります。そうすると今度は畑から葉物が消えていき、ゴロゴロした夏野菜が主役になっていきます。キャベツや大根やニンジンなどの大モノ野菜が完全に姿を消しますので段ボールの中がスカスカした感じの野菜セットになり、心臓に悪い季節の到来です。
過酷な夏が過ぎても、秋の鹿児島は台風銀座になり、またまた野菜がダメになったりします。冬は鹿児島の野菜が一番豊富な時期ですが、桜島からの風向きが大隅半島になるので降灰で野菜は汚れますし目と喉がやられてつらい時期です。春も気温や天候が乱高下して安定せず、野菜がダメになったりします。
つまり野菜にとって1年中いつでも自然は過酷なんだなあ、としみじみ実感しますね・・・・。
いつも自然と向き合いながら身体を張って頑張っている生産者さんがいてこそ、私達のもとに野菜が届けられるのですね。
「産地を選んで野菜を食べる」ということは、311前の、スーパーに行けば季節関係なくどんな野菜もある、という環境ではありません。旬の野菜に食生活を合わせなければとても続けられません。
そしてなによりも『旬の野菜に合わせてお料理をすること自体を楽しむ』、これが重要になっていきます。
まんまだよりの裏面の『かごしまんま野菜セット内容』の中でもちょこちょこ簡単なレシピを書いていきますね。
「311がなければ今の季節もニンジンや大根が食べられたなあ」というように考えるよりも、「311があったからこそ、旬の野菜の美味しさがわかってよかったなあ」という思考に変えて食生活を楽しんでくだされば幸いです。

Edit by 山下 理江

平成27年6月12日

Jun 11. 2015 かごしまんまだより

【かごしまんま無塩せきハム・ウインナー・ベーコン物語】
かごしまんまの主力人気商品のひとつに、無塩せきハム・ウインナー・ベーコンがあります。
今回はこれらが商品化するまでの物語をご紹介します。
まず、一般的なハムやウインナーとベーコンは亜硝酸ナトリウムや保存料や増粘剤などの添加物が入っています。
特に亜硝酸ナトリウムは非常に微量でも発がん性などの毒性が高い添加物です。でも日本ではほとんどのハム・ウインナー・ベーコンにこれが入っております。これが入ってないものを「無塩せき」といいますが、全国でも数えるほどの業者しか「無塩せき」のものをつくっていません。しかも「九州産」で「冷蔵」の「比較的安価」な無塩せきハム・ウインナー・ベーコンをつくっているところは1社しかありませんでした。
冷蔵にこだわるのは、お客さんに送料の負担をなるべくかけないようにするためです。
そこでかごしまんまが出来て間もない2012年、このメーカーさんに無塩せきハム・ウインナー・ベーコンのお取引をお願いしましたところ、最初は製造ロット(1回につき製造する最小単位)がかごしまんまには多すぎて合わず、取引が叶いませんでした。お客様の注文分の数だけを各回製造するのではメーカーが赤字になってしまうので、メーカーが工場で1回に作る数量をすべて買い取らねば取引ができないからです。
でも賞味期限が短い商品を大量に仕入れることは、小さな会社のかごしまんまにはできません。
そこでツイッターやかごしまんまだよりで、「なんとか無塩せきの鹿児島産肉のハム・ウインナー・ベーコンを商品化したいが、製造ロットと賞味期限の壁をどう越えればいいのか?」ということをお客様に正直に聞き、みなさんに色々な意見やアイデアを出していただきました。
沢山の方が真剣に考えて意見をくださり、とてもありがたくて涙が出るほど嬉しかったことを昨日のように覚えています。なかでも「1パックづつ売ると製造ロットの壁が破れないので3パック売りにしたらどうか」という意見や「製造ロットをクリアするには一度仕入れたものを何回かの発送日にわけて送らないと数がこなせないだろうから、ときには賞味期限が短くなるということを商品説明にちゃんとうたって、消費者が家で冷凍保存などすればいい」という意見を取り入れることで、やっと商品化ができる見込みとなりました。
私が初めてメーカーさんに営業してから既に1年以上もたっていました。
もともと無塩せきの加工品は賞味期限が短いのに、『発送日から4日以内の賞味期限』はお客様には本当に申し訳なく思います。しかしまず弊社がやるべきことは、「九州産の無塩せき肉加工品を同じ気持ちのママさんのために商品化する」こと。思い切って商品化してよかったと思っています。
現在もハムやベーコンはまだ大量に余る日があります。先日もベーコンが12パック、ハムが8パック余りました。会社に赤字を出さないようにしているので、余ったものは私が全部買い取っているのが現状です。
「無塩せき」かつ「九州産」かつ「冷蔵」を通販で商品化するということは、本当に困難です。おそらくかごしまんまが唯一だと思います(冷凍であったり、高価なものはありますが)。
これらが商品化できたのは、当時のかごしまんまのお客さんの情熱とアイデアとご理解ご協力があってこそ。そして今でも皆さんがご理解ご協力くださっているから、商品として続いています。特殊な商品ではございますが、どうぞどうぞ、ご理解いただければ幸いです。
そしてこれからも、できるだけ放射能を避け、できるだけ九州産で、できるだけ添加物や農薬や遺伝子組み換えを避け、できるだけ安価で、できるだけ冷蔵のみで送料負担がかからない商品化をがんばっていきますね。
皆さんの周囲には理解者があまりいないかもしれません。でも全国にはたくさんの仲間がいます。かごしまんまはそれを誰よりも知っています。同じ空の下、悲観せず、がんばっていきましょう。

Edit by 山下 理江

平成27年6月2日

Jun 2. 2015 かごしまんまだより

口永良部島の大噴火や桜島による影響を心配された多くの方々から励ましのメールやメッセージを頂きました。幸い、かごしまんまのある大隅半島には特に目立った影響はありませんでしたが、噴火で被害に遭われた方々に心からお見舞い申し上げます。
国は口永良部島の避難が長期化する恐れもあるとして仮設住宅の検討を進めているようです。
建築士としては、仮設住宅というものは建築確認もいらないまさに「仮設」で、住むにふさわしいとは到底言えない最低なものだと考えています。千葉に住んでいた時に仕事柄、311の仮設住宅の設計図を見たことがあります。外見は一見すると普通の長屋に見えますが、実はただ屋根と柱と床材と壁材があるだけで、断熱材もなく窓も単板ガラス、資材も設備も広さも最低です。もちろん防音もされていませんから隣人のくしゃみや話し声は丸聞こえです。断熱材がないので、夏は屋根からの輻射熱で家の中にいても熱中症になる危険があり、冬は凍死の危険性があるほどです。断熱材がない家で冬にストーブを炊くと結露がものすごく発生します。しかも単板ガラスなので、窓の結露とカビは床を腐敗させるほどです。「長期化する」とわかっていながら、どうして国はそんな住宅を国民に提供するのでしょうか。そんな過酷な住環境に、311の東日本大震災以降ずっと住み続けざるを得ない方々が今も大勢いるという現実に憤りさえ感じます。
たしかに仮設住宅は緊急性が高いので建築確認などの諸手続きを省略しなければならない事情はあると思います。でも、長期化するとわかっていて建てる「家」なのですから、せめて断熱だけは義務化を望みます。国民の仮設住宅は劣悪なのに、外国の人が1か月ほどしか滞在しないようなオリンピック村は豪華な建築計画があるなんてなんだかおかしな話です。
食材になんにも関係ないお話になってしまいましたね、すみません。

さて、鹿児島の桜島が昭和噴火や大正噴火のような大噴火が起きた場合、現実問題としてかごしまんまからの野菜や食材はどうなるでしょうか。シュミレーションしてみましょう。大正・昭和噴火規模ですと、風向きやタイミングにもよるかとは思いますが、緊急に鹿児島市や霧島市などの桜島に近い生産者からの商品はキャンセルになる可能性があります。これらの地域は降灰が凄すぎて視界不良となって輸送が止まる可能性が高いからです。
かごしまんまからの九州自動車道や一般道のルートは桜島付近を通らないですむう回路が幾つもあるので、その他の地域の生産者からの輸送も止まらないと思われます。よって、商品のお届け自体はおそらく止まることはないかと思われます。
しかし風向きが悪い時期(具体的には秋冬)ですと大隅半島の野菜全体が降灰の影響を受け、最悪の場合はご注文をストップさせて頂くかもしれません。返金等の諸対応はできると思います。しかし・・・
もしもそれ以上の、カルデラが形成されるような破局的な大噴火が九州のどこかで起こった場合は、おそらく1,2週間以内に九州が壊滅してしまうことでしょう。そして1か月以内に日本中は灰雲で覆われ、そのまた数か月以内に北半球全体が灰の雲で覆われ、最悪な場合は3年くらい太陽の光が遮られて冬の世界になるであろうといわれています。
そうなった場合は飛行機も飛べず、原発はおろか日本中のあらゆる機能が麻痺していますので、かごしまんまからのお届けはもちろん返金も困難であると思われます(その時点で私もスタッフもあの世の人になっている可能性が非常に高いです)。そして、太陽光が届かない世界は植物が育たないので北半球を食糧難が襲います。そうなりますと食料自給率が低い日本はまさに破局です。
そしてそういう破局的な噴火は地球の歴史上、数千年~1万年に1度くらいの頻度で必ず起こっている事象であります。皆さんが中学の社会で習った、この大隅半島を覆う「シラス台地」も破局噴火でできた賜物です。破局噴火は、北半球のどこで起こっても、私達全員が破局する危険性をはらんでいます。

Edit by 山下 理江