【鹿屋で暮らしてみて思うこと(移住や保養の参考にしてください)】
生まれも育ちも千葉県だった私が、311を経て鹿児島県鹿屋市に移住して3年。はじめは暮らしていけるのかちょっと不安でしたが今やすっかり鹿屋市民。今回は千葉県民から見た驚きの鹿児島人気質をご紹介します。
『ちょっとのことは気にしない』
スーパーや野菜直売所等で野菜や果物の袋の中に虫が入っていても多少傷んでいても平気で売られています。こちらでは農家の人が普通に野菜や果物や米や加工品を手作りして販売しているのですが、袋詰めも中身もかなりいい加減です。ビニール袋に中力粉や米やそば粉を入れてテープで軽く留めているだけ。小石や小さなゴミが入っていることもしばしば。野菜は灰を被ってます。今日も椿油に「焼き芋」というラベルが貼ってあるのを見かけました。でもみんな全然気にしない。そういうことを指摘しても「あら、ほんと」と悪びれずに笑うだけです。
桜島の灰が年中降り注ぐ鹿児島では、ちょっとのことを気にしていたら生きていけないのかもしれません。
野菜の生産者もはじめは傷んだものをかごしまんまに納入してきたりしました。こちらでは少しくらい痛んでいても販売するからです。かごしまんまのその他の商品も、いつのまにか名前やラベルが変わっていたり大きさや重さが変わっていたり賞味期限の打ち間違いがあったりします。そのたびに関東人の私としてはいちいち生産者に交渉したり確認したりして神経をすり減らします。でもそういう時の生産者の皆さんは一様に「別にちょっとくらいいいじゃん」というようなおおらかな感じでいるのです(涙)。
『電車がない』
鹿児島の大隅半島は電車がありません。鹿屋市民はだいたい家の近所に仕事場があります。成人するとみんなだいたい車を持っていて、だいたい軽自動車か軽トラで、おじいちゃんおばあちゃんもだいたい車を運転しています(危険)。関東人と違って通勤時間がほぼ無いに等しいので時間にかなりゆとりがあります。通勤ラッシュがなく、おしゃれにもそれほど気を遣わないので精神的なゆとりもかなりあります。18時にはだいたい仕事が終わって帰宅している人が多いです。電車がないので飲み屋街には運転代行の車がたくさん走っています。そしてそれら運転代行はタクシーよりもかなり安くてみんな気軽に利用していてびっくりしました。
給料や時給は関東に比べてかなり低いですが、家賃も安く、生産者直売所や無人直売所がかなりあり、収穫したての野菜・果物や手作りの加工品が安く手に入ります。また鹿屋の人はあまり鹿屋市内から出ません(千葉県に住んでいるときは都内や横浜とか他県に出るのはしょっちゅうでしたが)。鹿屋市民は鹿屋市内にあるツタヤ、ユニクロ、しまむら、バースディ、西松屋、アベイル、ケーズデンキ、ヤマダ電機、生協、ドラッグストア、スーパー等でなんとなく生活できちゃうのです。電車通勤ですと、人々のおしゃれの流行やつり革広告や乗換駅の駅ビルの中のお店など物欲を刺激するものがいっぱいあるのでお金をつい使っちゃいがちですが、鹿屋にいると物欲がまるで刺激されないのです。お金をあまり使わなくなります。そして時間的にも精神的にも余裕がある。するとどうなるか。金柑の時期には金柑甘露煮をつくる。大根の時期には切干大根を庭先に吊るす。味噌作りの時期は近所でいっせいにやる。自分の山林で椎茸を栽培する。椿の種ができる時期には椿油をつくる。梅の時期には梅酒や梅ジュースや梅干しをつくる。子供の日にはあく巻きをつくる。生活において『てづくり』が普通になるのです。鹿屋は関東が忘れた、古き良き日本があります。ちなみに今の時期は干し大根漬け用の材料である干し大根がスーパーの店頭に積まれています。すごい匂いを放ちながら。電車がない、って本当にすごいです。
『温泉が普通』
近所に温泉が何か所もあり、仕事前や仕事後にひとっ風呂入るのが日課の人もたくさんいます。高齢者は市町村から無料入浴券が発行され、温泉は人々の生活の一部です。私も近所の温泉の年間パスポートを持っています(千葉にいた時は年間パスポートと言えばネズミ―ランドが思い浮かびましたが)。
はじめは都会がとても恋しかったですが、いまやこんなおおらかな鹿児島の土地や人々が大好きです。
平成27年2月20日
Edit by 山下 理江