2014 September

平成26年9月30日(火)

Sep 30. 2014 かごしまんまだより

この時期の鹿児島は昼間はまだまだ半袖で過ごすほどの暑さが残っています。
御嶽山の噴火は、予測困難だったとして国からの有益な情報がなかったために多くの方々が犠牲となってしまいました。お亡くなりになった方々には心からご冥福をお祈り申し上げます。
川内原発の再稼働をすすめている方々は、火山の噴火は予測できるから再稼働しても大丈夫!としているそうですが、311をふり返ってみても今回の御嶽山の噴火をふり返ってみても、災害を予測したりすることは困難のように思えてなりません。我が国には地震が多いことはいわずもがなですが、御嶽山だけでなく富士山をはじめいつ噴火してもおかしくないお山だらけであります。このような国での原発稼働は本当に無理があります。
桜島の噴火が日常となっている鹿児島では、降灰は生活の一部です。鹿児島県の天気予報には毎日必ず天気と共に桜島からの降灰の風向き予想が出ます。季節風によって春夏は薩摩半島側に、秋冬は大隅半島側に降灰が多いということも、噴火高度が高ければ高いほど降灰の粒子は細かくて遠くまで届くということも、鹿児島県民は経験的に知っています(例えば、自分が砂場で座って遊んでいるときに、風上に立って砂を握って撒いている人がいたら目に砂が入って痛いですよね。滑り台など高い場所から砂を落とせばもっと広範囲の人が迷惑しますね)。
桜島の噴火では3000m位からニュースになったりしますが、今回の御嶽山の噴火の高度は8000mまで達したとかで、かなりの高度だったことがうかがえます。御嶽山に近い地域の方だけでなく、関東甲信越にお住まいでも喘息や気管支炎や目のアレルギーや結膜炎になりやすい方は念のためマスクや花粉用眼鏡を予防的に着用してもいいと思います。なお、降灰中はコンタクトレンズよりも眼鏡の着用をお勧めします。

【サバイバルスキルUPとしてのキャンプという趣味のススメ】
防災特集でよく防災リュック等の防災グッズなどが紹介されて「いざという時の為に備えましょう」などと言われたりしますが、いざという時にしか使わない防災リュックは、いざという時に本当に役に立つのでしょうか。いざというその時に、すぐ取り出せるところになかったり、使い方や用途がわからなかったり、非常食の賞味期限が切れていたりするのではないでしょうか。
それよりも、趣味としてキャンプを始めることをご提案します。キャンプはキャンプ用品を必要としますが最初はキャンプ場でレンタルするのもありです。家族のスタイルや家計に合わせて、テント、寝袋、銀マット、調理用具、コンロ、テーブル、焚き火台など、徐々に揃えていきます。最初のうちは勝手がわからず用意や撤収に時間がかかり荷物がどうしても多くなりがちでテントを張るだけでも大変な作業ですが、慣れていくとサッとキャンプに行けるように専用のツールボックスをつくったり手際が良くなったりしていきます。ササッとできる野外調理や火をおこすことや怪我の応急処置、虫やムカデだらけのトイレで用を足す等に慣れていきサバイバルスキルが上がっていきます。311の時もキャンプを趣味にされていた方々はキャンプ用品がとても役に立ったそうです。かっこいいキャンプ用品を揃えることも楽しいですが、コンロはカセットコンロが意外と便利で災害時にも大いに役立ちます。なぜならカセットコンロ用ガスはコンビニやホームセンターで容易に手に入るからです。
普段からキャンプを趣味にしてサバイバルスキルを磨いておくと、いざという時に本当にサッと必要な道具を持ち出せたり、電気水道ガスが止まった街の中でもキャンプ道具があれば何日か生き延びたりできます。
虫が少なくなる秋はキャンプに最適なシーズンです。放射能汚染の確率が少ない地域のキャンプ場へ、保養を兼ねて家族でぜひお出かけしてみてください。ホテルや旅館に泊まるのと違い、自分たちで協力して何もかもやらねばなりません。ケンカもたくさんするかもしれませんが絆も深まります。とっても楽しいですよ。
何が起こるかわからないこの時代、災害準備もできちゃう新たな趣味として『キャンプ』をおすすめします。
そしていつか車でキャンプしながら鹿児島にもぜひお越しくださいませ。鹿児島には安くキャンプができる県営の広域公園が3つもあります。皆様が来てくださるのを心よりお待ち申し上げます。

Edit by 山下 理江

平成26年9月17日(水)

Sep 18. 2014 かごしまんまだより

鹿児島はだいたい10月あたりまで暑い日が続くのですが、今年は秋の気配が早く感じられます。夏の野菜セットにゴーヤやリーフレタスが入るのは今回で最後です。昨年まではゴーヤに対してかなりブーイングで、キャベツが欲しい、ニンジンを入れろ~、と夏の鹿児島に無理難題を仰る私達(?)でしたが、今年はだいぶ南国の夏野菜を食べ続けることに慣れてまいりましたね。311以降、180度変わった食生活にようやく落ち着いてきた夏でした。早くニンジンやジャガイモやタマネギの入ったカレーや白菜たっぷりの鍋を食べたいですね。
今はカラスウリの花の見ごろの時期です。カラスウリの花、ご存知ですか?実はオレンジ色で見たことがあるかと思います。実は花がとっても綺麗なのです。夜に咲くのでその美しさは知る人ぞ知るです。レース編みのコースターのような繊細で白い花です。ご近所にカラスウリがあるようでしたらぜひ夜に見に行ってみてください。
さて、読書の秋、映画の秋です。ツイッターやインターネットで情報を収集することも大切ですが、1つの本やDVDとじっくりつきあうことはもっともっと知識や考えの泉が澄んで深くなるように思います。
今回はかごしまんまの皆様におすすめの本やDVDをご紹介します。ご参考になれば幸いです。

【食卓に上がった放射能(高木仁三郎著)】
原子力研究所の科学者である高木仁三郎氏が1990年に出版した本を新装したもので、チェルノブイリ事故によるヨーロッパからの輸入食品の汚染の実態や、日本でもし原発事故が起こったらどうすべきか等が詳細に書かれています。日本の新聞やTVでは決して教えてくれない事がたくさん載っている、311前に書かれた良書です。データや資料も多く、現在の日本をまさに言い当てていて、今どう生き抜くべきかのヒントが満載です。著者の高木氏は日本での原発事故を危惧しながら2000年に他界しています。

【タネが危ない(野口勲著)】
世界中のタネがF1種に代わりつつある現代農業を、埼玉県の種苗店に生まれ手塚治虫の編集者も勤めた野口氏が警鐘を鳴らします。野口氏は、手塚漫画が訴え続けた生命の尊厳と地球環境の持続の象徴である『火の鳥』を看板に掲げた、固定種タネのみを扱う野口種苗店の代表。
「F1種は現在、雄性不稔という花粉のできない突然変異の個体から作られることが多くなってきている。子孫を残せないミトコンドリア異常の植物だけが、たった一粒から一万、一億、一兆、一京と無限に殖やされて、世界中の人々が食べていることを、どれだけの人々が知っているだろう。子孫を作れない植物ばかり食べ続けていて、動物に異常は現れないのだろうか。タネ屋の三代目だから感じた素朴な疑問を、しばらく追求してみたい」(はじめに、より抜粋)

【死都日本(石黒耀著)】
九州にはカルデラがいくつもありますが、そのようなカルデラを生むほどの巨大噴火が現代で起きたらどうなるか、を描いたSF小説です。小説ですがあまりに緻密なシミュレーションに、火山学や地質学をはじめ多くの研究者から評価され、この本のテーマをもとに火山学会が開催されたほどです。これも311前に出版されていますが、もちろん原発施設は制御不能となる想定でストーリーが進みます。九州でカルデラ噴火が起こると九州全域が火砕流にのまれ、1週間後には日本全体が灰に包まれて飛行機をはじめ交通網は麻痺します。そして北半球は次第に太陽の光が閉ざされ数年間にわたる冬となり作物が不作となり世界的な食糧不足が・・・・。想像を絶する世界で、一気に読み進めます。地質学会を揺るがせたこの小説がデビューの石黒氏の本業はお医者さんです。

【モンサントの不自然な食べもの(DVD)】
ベトナム戦争時には枯葉剤の製造会社として利益を上げ、現在は除草剤と遺伝子組み換え作物の世界的企業であるモンサント社。HPを見ると、地球や環境に優しい企業や商品であることが列記されていますが、歴史や実態を紐解くと全くの反対で、各国のトップと癒着し、多くの反対派の人々や疑問を呈した科学者を閑職に追いやって大きくなってきたことがわかります。遺伝子組み換え作物の危険性というよりは、遺伝子組み換え作物の種子は特許なので農家は自家栽培できず、モ社の高価な種子を買い続けるしかなくなり、それによって専用の除草剤を買うしかなくなることへの危険性等が理解できます。

Edit by 山下 理江

平成26年9月9日(火)

Sep 10. 2014 かごしまんまだより

この夏は全国的に台風や雨が多く、日照時間も例年より圧倒的に多くてワーストとなる地域も出たとのことでした。鹿児島ではキュウリやナスが例年より不作で、こちらでもスーパーではびっくりするほど高いです。昼間の日差しは夏そのものですが、朝晩の気温はぐっと下がって秋の気配も感じられるようになりました。野菜セットに種類が少ない厳しい時期が続きましたがもう少しの辛抱です。
【支配されつつある種と農業】
F1という言葉を知っていますか?車の事ではありません。種の話です。
植物の多くは種をつくり、その種を取っておいて次の年に種をまくと芽が出ます。小学校で朝顔やヒマワリを育てて種を採取した記憶がありますよね。野菜もそうです。昔の農家は野菜を育てながら畑からその種を採り、来期に備えました。でも今の農家のほとんどは自分の畑の野菜から種を採らず、種苗会社から毎回購入しています。どうしてでしょう?
種苗会社から購入する種子の野菜のほうが、形や大きさが均一で病気や農薬に強くて大量生産がしやすいからです。しかし、種苗会社の種子のほとんどはF1です。F1とは、違う品種同士を交配してつくった新品種の1代目のことです。人為的に交配して新品種をつくるとメンデルの遺伝の法則により1代目(F1)では優性形質が現れますが、次の世代ではF1で現れなかった色々な劣性形質が現れるので、安定した野菜ができないので農家はこのF1の種は採れません。昭和30年代までは農家は自分の畑の野菜から種を採って次の年にそれをまいて野菜を栽培していました。しかしこのF1種が出てからは農家は種をつくらず購入するようになりました。日本の2大種苗会社であるタキイ種苗とサカタノタネもF1種子です。私達がホームセンターなどで目にする種子のほとんどはF1種子です(F1種・交配種などと記載されています)。
種苗会社がF1種子をつくるにはもちろんその野菜を育てます。でも自然に自家受粉されてはF1品種はもちろんできません。そこで除雄という雄しべを取り除く作業を行います。日本の農業を支える大手の種苗会社が、雄しべを一つ一つ手で取り除く作業をすることはもちろんしません。そこで雄性不稔のF1種を作り出すのです。雄性不稔とは人間でいうところの男性不妊症や無精子症といったところで、雄しべに異常がある種の事です。そうしてミツバチたちが受粉しても自然に受精できないような品種になるのです。そういう花粉を食べるミツバチには異常が起きないのでしょうか。昨今のミツバチの大量失踪と関係はないのでしょうか。
また、F1種の作物は多くの肥料を必要としたり特有の農薬を必要としたりするものがありますが、うがった見方をすればそれは全て種苗会社の品種改良次第ということになります。これは遺伝子組み換え作物と同じように将来の農業構造が非常に懸念されることだと思います。
そして世界の種苗会社の大半の株は世界最大手の遺伝子組み換え企業が買収しているといわれています。
F1種子はたしかに農家の救世主です。しかしそれによって農家は種子やその種子に適した農薬や肥料をずっと買い続けなくてはならない構造になっていくのではないでしょうか。。。。
在来種(F1ではない種。在来種ともいう)の野菜を栽培する本来の農業であれば、化学肥料や農薬を使わない自然栽培が可能だといいます。もちろんそういう野菜は虫の穴だらけであったり大きさや形や味がバラバラで個性豊かだったりで現在の市場では値が付かないかもしれません。見た目と価格で判断されるスーパーでは売れ残るでしょう。
しかしそういう野菜こそ本当に安全で美味しい野菜であると思うのです。手に取った時、食べた時に愛しいと思うのです。
種苗会社や農家が悪いという問題ではありません。我々消費者が見た目がよくて安い野菜を1年中求めた結果です。
今のかごしまんまではどうすることもできないのが現実ではございますが、消費者の皆さまに知っておいてもらいたい農業の現状でした。ここではF1についてほんの少ししかご紹介できていませんが、ご興味のある方はぜひインターネットで「F1 種」と検索してみたり、野口種苗さんの本を読んでみたりして下さい。

Edit by 山下 理江

平成26年9月2日(火)

Sep 2. 2014 かごしまんまだより

かごしまんまがある鹿屋市は、山が多い鹿児島の中でもめずらしく平野が広がる地域で、畑や田んぼがそこら中に広がっているところです。しかしこの時期の周辺の畑は芋、芋、芋、芋畑ばかり。暑過ぎて葉物野菜がうまく育たないのです。日差しや熱で溶けてしまったり、虫や病気にやられてしまったり・・・。そんな鹿屋市でぐるめ畑さんや吉田自然農園さんは元気な葉物野菜を作ってくれて本当にすごいなあ、とただただ感心し感謝するばかりです。

【果物をなかなか取り扱えない理由】
今の時期、こちらではスーパーに行くと鹿児島産のスイカ、福岡産の梨やブドウなどがあります。ちょっと前まではマンゴーもありました。こういう果物もかごしまんまのみんなに届けたいなあ、といつも思います。実際に、かごしまんまがスタートした始めの2年間は果物セットも商品にありました。でも問題がたくさんあって、今は休止しています。
まず、気温が高い九州では果物の生産は標高が高く木陰が多い山の中になり、生産地がかごしまんまから遠い場所になります。少量でも配送してくれる生産者がなく、発送の度に果物を取りに行かねばなりません。スタッフが少ないかごしまんまではこれは難しいのです。市場から買い付けた果物ですと鮮度も落ち、生産者の顔が見えないので産地や農薬情報とか詳細が不明です。なるべく生産者から直接仕入れたいなと思っています。
次に、おいしい果物ほど輸送に弱いという欠点があります。熟す前に収穫すれば固いので輸送に強いです。でも美味しくありません。熟した果物は糖度が高く美味しいですが、繊細でちょっとの振動にも弱いです。ですから専用の緩衝材やトレーなどを使うことになるのですが、これの発注が百~千単位。色々な商品を扱うかごしまんまにとってそれぞれの果物に対する色々な緩衝材やトレーの在庫を抱えられる場所も金銭的余裕もありません。
またヤマト運輸さんに聞いてみたところ、スイカは卵と同じく輸送中に大変割れやすいもので、輸送時にはガムテープなどでぐるぐる巻きにして破裂しないようにし、さらに緩衝材をたくさん敷く方がよい、とアドバイスされました。そんなことをしていたら段ボールがスイカと新聞紙だけで満杯になってしまいますね。
みなさまに安全で安心な九州・鹿児島のおいしい果物を届けたいなあ、といつも思っています。でもなかなか実現できないのはこのような事情によるのです。
また、冷凍が必要な肉類や魚類も、冷蔵便商品と同梱できないのでお客様に冷凍便費用を新たに負担してもらわなければいけなくなるのと、かごしまんまに大型冷凍庫を導入しなければご注文量に対応できないため、なかなか商品化にふみきれません。
逆に、えびせんや海苔せんなどのフワフワしたお菓子系は、重量はないけど体積があってかさばって段ボール内での場所をとるので商品化するのをためらいます。
これらのために段ボール箱が2つになって送料が加算されるのはなんだか違うな・・・・と思うわけです。1週間分の必要な野菜や食材を中心に段ボール箱につめて欲しい・・・と願うのです。
物流というのは本当に難しいですね。九州のものを、遠くの関東や東北に安く早く無事に届けるのは本当に難しい。
運送会社のドライバーさんのお仕事ぶりを見ていても、卵が無事に関東や東北に届くのが奇跡に思えるくらいです(本音だしてすみません)。
このようにリクエストされる全ての商品を取り扱うのは難しいのが現状ですが、今できるかぎりのせいいっぱいのことをしていきます。そしてかごしまんまを利用してくれる皆さんの買物ジプシー解消の、少しでもお手伝いをさせて頂いて、少しでもホッとして頂けたらそれで幸いです。
家族のために安全な食や場所を探し求めて日々苦労しているのに、周囲の無理解や心無い言葉に傷つくことがたくさんあると思います。でも決してひとりではないです。同じ空の下、全国に仲間がたくさんいます。気負わず明るく気長にやっていきましょう。スタッフ一同、心から応援しています。

Edit by 山下 理江