2013 May

平成25年5月28日(火)

May 28. 2013 かごしまんまだより

今日は遺伝子組み換えについてのお話です。
かごしまんまの商品の原材料の欄に「遺伝子組み換え不分別」という表示があるものがあります。それは「植物油」と「微量に使われる材料」です。しかし一般的に売られている商品のほとんどには原材料の植物油や原料に「遺伝子組み換え不使用」なんて記載されていません。これは、「食品の主な原料ではない」場合と「遺伝子やそのタンパク質が製品中に残っていない(例:油、醤油)」場合は表示しなくてもよいことになっているからです。農林水産省のHPの「遺伝子組み換え食品の表示」にも記載されています。例えばポテトチップスの主な原料であるジャガイモには「遺伝子組み換えではない」と表示されていますが、それに使用される植物油や調味料の原料には遺伝子組み換え農産物から作られたものであってもその表示義務がないのです。
一般的な植物油はほとんど全て輸入原料(大豆・なたね・とうもろこし等)で作られます。生活クラブや鹿北製油など一部の企業団体の油製品以外はほぼ遺伝子組み換え不分別原料を使用しています。でもその表示義務がないため私たちは避けたいと思っていても知らず知らずのうちに遺伝子組み換え食品を食べているのです。
本当は、かごしまんまでは原材料に「遺伝子組み換え食品が使用されていない」商品だけを扱いたいと切望しています。
しかしながらそれは自社製品を作れるようになってからだと日々感じています。
現在は、渋るメーカーをなんとか口説いて製品詳細の情報公開をして頂いている状況です。メーカー自身が追える範囲・わかる範囲までしか原材料詳細を追えません。
放射能防御や遺伝子組み換え食品防御の観点からいえばそれら全てを0にしたいのですが、その希望を全て通した商品を作るならば、その商品すべてを買わなければいけません。それがいわゆる自社ブランド製品です。
かごしまんまの規模では全ての商品を完璧にするのは不可能です。例えば1回の注文量に応じて作るかごしまんま食パンはマーガリンや添加物を使わないのでとても安全ですが、厳密に調査しようとしたなら原料のバターの牛の餌はどうなのか、などグレーな部分がどうしても出てきます。牛乳・乳製品はとても難しいです。なぜなら牛乳は1件1件の農家ごとの牛乳ではないからです。地域の農家の牛乳を地域のミルクステーションに集めてそれから加工工場に運ばれます。その農家全てが「遺伝子組み換えの飼料は絶対に使わない」信念があれば消費者としてどんなに嬉しいことでしょう。しかし農家もまず利益を得て生計を立てて生きていかねばなりません。
現在の生乳買取価格では、昨今の飼料の高騰により遺伝子組み換えでない飼料だけを使用するのは農家の経営が成り立ちません。すると牛乳・乳製品の価格が上昇します。価格が上昇しても売れるのならメーカーも農家も喜んでやってくれますが、現在の世の中の主流が「安全性の追求」ではなく「価格競争」である以上、難しいと思います。
遺伝子組み換えでない飼料を使っている気概のある農家だけの牛乳が高価になるのはそういう事情になってきます。
ですから将来的にはかごしまんまでも自社ブランドで「遺伝子組み換えでない乳製品」を作ってみたいです。夢です。
しかし今は協力してくださるメーカーさんや生産者と「できるところまで」安全な商品を開発していくしかかごしまんまではできません。
今のかごしまんまにできることは、その情報の開示です。
都合の悪いことは「国産」や「非表示」にするのではなく、メーカーに協力を仰いでわかることは全て記載する。
それが、全国のママたちの負担を減らすことだと信じています。
理想は「九州産のみ・化学添加物不使用・遺伝子組み換え原料不使用・無農薬・有機栽培」です。
そして「お客様のリクエストをなるべく叶えること」です。
この理想にかごしまんまの現時点での力量で一番近づけた商品のみをこれからもUPしていきます。
ご注文の際に原材料欄をご覧いただき、判断してくだされば幸いです。
メーカーにお問い合わせの電話をしなくてもここなら安心できる。そんな風に感じていただけるお店づくりをこれからも頑張ります。

Edit by 山下 理江

平成25年5月21日(火)

May 21. 2013 かごしまんまだより

原発事故で家に戻れない人々がたくさんいて、廃炉の方法はおろか核廃棄物の処理さえも解決していない現実をよそに、安倍政権になってから原発の再稼働問題が浮上してきたり原発輸出しようとしたりしている日本という国はいったいこれからどうなっていくのでしょう。
鹿児島ではすでに半袖で過ごす日が多く、夏の気配に生き物たちが命を輝かせています。
ビニールハウスではゴーヤやいんげんなどの夏野菜がすでに収穫されています。露地栽培でピーマンなどが収穫できるのももうすぐ。わくわくする季節の到来です。たった1回の事故で、この素晴らしい環境を全て破壊してしまう原発。断固反対です。

さて来週から卵の容器が破卵に強い紙製のパルパックを採用することになりました。
ヤマト運輸さんによると、食品の運送において一番破損しやすいのが卵とスイカだそうです。
かごしまんまでもずっと破卵対策に悩んできました。到着を楽しみにしていたせっかくのごちそう卵が段ボール箱を開けたら割れていた・・・・そんな思いをお客様にさせたくありません。最初生産者に相談しましたが「生産者によると容器の違いでは破卵の頻度はそれほど変わらないと思います。緩衝材や運送時の荷扱いを改善することだと思います」とのことでしたので、エアーパッキンを小さいものから大きいものに変えたり、焼酎やお酒を守る段ボール箱に卵を入れたりヤマト運輸さんに相談したりして破卵の対策をしてきました。それでも破卵は0にならず、発生しました。
「もうこれ以上はできない」「卵をやめようか」と思い悩んでいたところ、何名かのお客様から「こうしたらどうか」というご提案のメールを頂きました。その中で容器を変えるという提案がありました。まずは自分でもどんな容器があるか調べてみました。紙の容器は現在の容器よりも価格が3倍しますが強度も非常に強くなるということなので、卵の段ボールをやめることによって価格の上昇を抑えることにしました。そして生産者のご協力のもと、卵の容器を来週から変えて破卵がなくなるかどうかやってみることにしました。
【ごちそう卵】は非常に人気が高く、「卵が割れてもどうか販売をやめないで欲しい」という声をたくさんお受けします。パルパック採用で破卵がどれだけ防げるかみていきたいと思います。皆様の声がかごしまんまの原動力です。今回もとても勉強になりました。心から感謝いたします。そしてこれからもご意見ご感想をぜひお寄せくださいますようお願い申し上げます。
今回の件である方が、「日々改善、日々挑戦です」とおっしゃってくださいました。それは「もうこれ以上は・・・」と思っていた私達スタッフに大事なことを気づかせてくださったひとことでした。

かごしまんまの野菜は農薬や化学肥料を極力使用しないので、見た目も悪く市場のものより輸送に弱いです。もしかしたらお手元に届く際に虫が一緒に眠っているかもしれません。50km離れた桜島からの灰もかぶっています。すみませんが丁寧に洗って食べてください。減農薬栽培野菜は見た目は悪いですが、穴が開いていたり形が悪かったり少し割れが入っていたりしても食べられます。それでも低農薬、有機農業、季節のお野菜にこだわり続けます。それが体にやさしい自然の恵みだと考えています。どうぞご理解、ご賛同くださいますようお願い申し上げます。
野菜にカビ・腐敗・凍結、また破卵等ございましたら遠慮なくお申し出ください。
その他の商品も安全性とおいしさにこだわりぬいたものばかりです。一般の商品よりも不格好なものばかり。しかし全て添加物嫌いの私と避難ママみきちゃんが厳しい目と舌で選んだものばかりです。
ここなら安心して買い物ができる。スーパーに並ぶ食品よりもちょっと高くなるかもしれない、でもこれが本当の食品の味。そんなものをかごしまんまでは提供し続けていきたいと願います。

Edit by 山下 理江

平成25年5月14日(火)

May 14. 2013 かごしまんまだより

鹿児島ではあちこちの田んぼからカスタネットのようなカエルの鳴き声が響き渡り、道行く人の服装は半袖が多くなってきました今日この頃ですが、皆様のところはいかがでしょうか?

新商品のお知らせです。
ご要望の多かった【九州パンケーキミックス】が商品に加わりました。市販のホットケーキミックスの価格は2倍ですが美味しさも安心感も2倍です。311以降、私は久しぶりにこれで子供とパンケーキを焼きました。
次に、【5月21日・24日発送日限定の青梅】。これは南高梅という梅の最高品種です。青梅は梅ジュース、カリカリ梅、梅酒作りに適します。特に梅ジュースは梅酒用のビンをホームセンターで買ってくれば、砂糖と梅を1:1で入れてちょっぴり酢をたらすだけで半年間ほとんど手をかけずにできてしまう簡単なものです。
梅ジュースは風邪のひき初めや疲れた時に水やお湯で5倍くらいにして割って飲むと不思議と元気になってしまう、昔からの健康食品です。ぜひチャレンジしてみてください。我が家では毎年6~8kg作ります。
そしてお待たせしました、【特別な日のトマトケチャップ】。鹿児島県産デルモンテ種のトマト100%使用なので、季節限定商品です。今年はトマトの成熟が遅くて発売が去年より遅くなってしまいました。数量限定ですが、売り切れてもトマトの旬の時期は数週間ごとに作っていきますのでちょくちょくHPを覗いてみてください。
そして【鹿児島県産イチゴジャム】も販売予定です。既に250個が農家さんからかごしまんまに届けられております。イチゴと砂糖のみで添加物は一切使用しておりません。こちらも旬の商品です。
旬の商品は旬が終わって売り切れましたら来年までのお楽しみです。
産地をこだわらなかったり保存料などの添加物を入れたり製法を変えたりすれば1年中販売可能ですが、かごしまんまではもちろん産地や添加物にこだわりますのでご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
悲しいお知らせもございます。
現在【草ボウボウ畑のニラ】を供給してくださっている和田農園さんが丹精込めて無農薬で栽培していたニンニクが、収穫目前で赤さび病のため全滅しました。とってもとっても楽しみにしていたニンニクでした。鹿児島のニンニクもとっても美味しいのです。無農薬栽培野菜は消費者には嬉しいものですが、生産者にとっては手間暇と労力が大変負担のかかるものです。しかも病気や虫にやられたら収入ゼロのリスクも負います。
来年はもしかしたら赤さび病の予防のために農薬を少しだけ使用するかもしれません。かごしまんまは農家さんの生活も守りたいので無農薬野菜だけにこだわらず、減農薬栽培も歓迎し応援しています。

かごしまんまの野菜は農薬や化学肥料を極力使用しないので、見た目も悪く市場のものより輸送に弱いです。もしかしたらお手元に届く際に虫が一緒に眠っているかもしれません。50km離れた桜島からの灰もかぶっています。すみませんが丁寧に洗って食べてください。減農薬栽培野菜は見た目は悪いですが、穴が開いていたり形が悪かったり少し割れが入っていたりしても食べられます。それでも低農薬、有機農業、季節のお野菜にこだわり続けます。それが体にやさしい自然の恵みだと考えています。どうぞご理解、ご賛同くださいますようお願い申し上げます。
野菜にカビ・腐敗・凍結、また割卵等ございましたら遠慮なくお申し出ください。
その他の商品も安全性とおいしさにこだわりぬいたものばかりです。一般の商品よりも不格好なものばかり。しかし全て添加物嫌いの私と避難ママみきちゃんが厳しい目と舌で選んだものばかりです。
ここなら安心して買い物ができる。スーパーに並ぶ食品よりもちょっと高くなるかもしれない、でもこれが本当の食品の味。そんなものをかごしまんまでは提供し続けていきたいと願います。

Edit by 山下 理江

平成25年5月8日(水)

May 8. 2013 かごしまんまだより

GWはいかがお過ごしでしたか?
私は5月1日に水俣病資料館に立ち寄る機会がありました。その日はちょうど慰霊祭の日で、スローガンの書かれた横断幕を掲げた人々もたくさん立っていました。
水俣病はチッソという企業の工場が水銀を含んだ排水を1932年から1968年まで流し続けたことによる公害で、今年になっても認定問題等のニュースが報道されている現在進行形の問題です。
まず1954年に「水俣の猫が皆、気が狂ったようになって死んでしまいネズミが激増した。猫をたくさん飼っても再びどんどん死んでしまい、とうとう市民が役所に泣きついてきた」というニュースが熊本新聞に初めて報道されます。その前から水俣湾では魚がたくさん死に、海辺の鳥たちは飛べなくなってしまう現象が出始めていました。やがて人間にも症状が出始め、1956年には原因不明の病として水俣病が公式確認されます。
当初から魚介類の接種が原因であることがわかっていたにもかかわらず、国や県は食品衛生法を用いて水俣湾産魚介類の摂食禁止することを適用しませんでした。また、水質保全法と工場排水規制法による規制権限行使もしませんでした。チッソは少なくとも1959年には社内実験で自社の工場排水が汚染源と知っていましたが、化学業界の協力も得て東工大教授のアミン中毒説や日本化学工業会理事の爆薬説を展開させました。そして工場排水路にサイクレーターを設置し、その完工式では社長がサイクレーターを通した排水をコップに入れて飲み、安全な排水を世間へ強烈に演出しました。サイクレーターはもともと水銀を除去する目的の装置ではありませんでした。実際には水面下で被害がどんどん拡がっていきました。1960年には毛髪水銀濃度の測定調査も始められました。しかしサイクレーターの設置と「将来、原因が工場排水と決定しても新たな補償要求は一切しない」という非道な契約書を交わした上でのチッソから患者への見舞金が支払われたことで「水俣病は終わった」ムードになり、毛髪調査も立ち消えました。世間では水俣病は忘れ去られましたが、被害者は病の為に手足が震えて涎を流し、寝たきりになり仕事もお金も失い、少なすぎる見舞金に泣き寝入りするしかありませんでした。そして亡くなっていきました。そんな中、新潟でも水俣病が発生することで、支援と団結の輪が新潟や水俣周辺からわき上がり、工場排水中の水銀が原因だということも証明され始め、今も続く長い訴訟や補償問題が始まっていきます。
1968年、ようやく国が「水俣病はチッソの工場排水に含まれたメチル水銀化合物によって生じたものと認められる」という政府見解を発表しました。その年まで実に36年もの間、チッソは有害な排水を流し続けました。
国とチッソは、被害者や遺族には現在までもめ続けるような金額しか補償しませんでしたが、水俣湾を14年の期間と485億円の費用をかけて東京ドーム13.5個分の広い埋め立て地にし、1990年に「エコパーク水俣」という公園を完成させました。そしてチッソは分社化したり公的支援を受けたりして現在も名前を変えて残っています。1997年には熊本県は「水俣湾の魚介類は安全である」と宣言します。しかし水俣病発生から40年近くたった現在、当時漁師だった多くの人々は職を変え、夏みかんを栽培したりして新たな水俣ブランドを作り上げて新たな人生を歩んでいます。そして今も病に苦しむ人々がいます。
・・・水俣病の歴史は福島原発事故のそれと多く重なるような気がしてなりません。
311のあの忌まわしい震災からまだ2年余り。TVや新聞ではもう原発事故は収束したかのような印象です。
しかし、今も厚生労働省などの国のHPや各都道府県のHPを見るとわかりづらいところに出荷制限の食品や原発事故関連の重要なことが記載されています。福島から遠く離れた千葉県などでもタケノコや椎茸の出荷制限が続きます。
歴史が教える多くの公害事件の被害が明るみに出るのは数年後。それまでは加害企業や国からの安全キャンペーンが繰り返されています。そして被害地域のコミュニティの分断と差別。
水俣病の問題は決して過去の話ではありません。現在進行形なのです。今の国と企業の姿勢なのです。
今、私たちは、過去の歴史を学び、どう生きるかを真剣に問われていると思います。

Edit by 山下 理江