2014 February

平成26年2月26日(火)

Feb 26. 2014 かごしまんまだより

【子供の居場所】
去年の秋のある日、私は突然猛烈な眠気に襲われて30分ほど横になり、そして眠りから覚めた時からパニック障害(のようなもの)になりました。それから1月までは症状がひどく、時計の針の音のような小さな音も含む一切の物音、人の動き、車の運転、光、・・・・色々な物事がとても怖くなり毎日生きるだけで精いっぱいでした。あまり記憶がありません。母親やスタッフをはじめ周囲の理解や皆様のアドバイスのおかげで病院へ行くことも薬を飲むこともなく今ではだいぶ症状がなくなりました。
でもそうした母親の不安定な状況は子供に大変な負担を強いてしまっていました。発症してから1週間くらい経って学校や学童やピアノの先生から娘の様子が最近不安定でおかしいとの連絡を受けました。そしてピアノの先生がこう提案してくださいました、「よかったらしばらく学校帰りから仕事終わるころまでうちで預かりましょうか」と。私はびっくりしました。そしてピアノの先生に自分の症状のことを打ち明けました。それから娘はしばらくの間、学校帰りはピアノの先生の家でピアノをしたり宿題したり本を読んで過ごしました。12月にはコンクールがあり、運転できない私に代わってピアノの先生が会場まで車で送迎してくださり、コンクールもずっと寄り添ってくださいました。そうして娘は元のように明るく元気になることができました。娘は、ピアノとその先生に居場所を見出し救われたのでした。
311以降、子供に園や学校の給食や牛乳やおやつをやめて持参したり、給食の一部の材料を食べないように教えているママは多いと思います。でもご自身がご近所の集まりや同窓会などで出るお菓子や食べ物や飲み物を辞退するのにとても心のエネルギーを使うのではないでしょうか。子供もおそらく同じです。いや、子供時代の感情や行動は大人のそれよりもずっとむき出しなので、異端なものに対する興味やなにげない言動を容赦なく無邪気に投げます。教室でたったひとり違うことをする、自分が子供時代にははたしてそれを簡単にできたでしょうか。
それでも子供達はママが大好きだからママのために頑張っています。私の娘は給食ですが、おやつは持参、そしてある種類の魚や果物などを先生に連絡のうえ食べないようにしています。ところがある日、連絡したもの以外のものを残した、として先生から連絡がありました。それはマーガリンでした。マーガリンも体に悪いから食べなくていいものとなにげなく私が言っていたのを娘が覚えていたのでした。それを私が先生に連絡していなかったから給食の時間に娘がつらい思いをしたのでした。私はそんな娘を愛おしく誇らしく思い抱きしめました。

日本という国は表向きには自由社会ですが、人と違うことをしようとすると見えない何か大きな抵抗を感じます。それが大人でもご近所のお茶会や飲み会などささいなコミュニティで感じるのに、子供の世界はもっと残酷です。
そういう世界でたったひとり頑張る子供を包んで応援し、自分はここにいていいんだと思えるような居場所を「家庭」以外に持つことはとてもとても重要なのだと今回のピアノの先生の行動で感じました。家庭が常に居場所であることはもちろん大切です。しかしそれとは別の「自分がいていい場所・いたい場所」があれば、子供も大人ももっと自分を肯定することができ、なんとか生きていけるのではないかな・・・と思いました。

311は確かに私達に暗い影を落としました。生活観や人生観を一変させられました。でも旬の野菜や自分で作ったものを工夫して食べ続ける生活の喜びや、家族の大切さなどを気づかせてもらったことは、私達にとって人生の大きな宝物になっていくのではないでしょうか。皆様のその思いが、どうか子供達にも伝わりますように。

Edit by 山下 理江

平成26年2月18日(火)

Feb 18. 2014 かごしまんまだより

この度の大雪による影響でお届けが大幅に遅れてしまい、14日発送のお客様には大変ご迷惑をおかけして誠にすみませんでした。今週も雪が降るとの予測も出ており、もしかしたらこのお届けも遅延してしまっているかもしれません。天候不良による不可抗力なこととはいえ、冷蔵庫を空っぽにして待ちわびている皆様の気持ちを思うと本当に申し訳ございません。
また、クール便の温度管理ミスによる野菜や食材の凍結事故が多く発生しております。届いた商品に凍結(野菜の溶けた状態)が疑われる際は、業務改善のためにヤマト運輸さんにもご連絡いただけますようお願い申し上げます。

【メープルシロップやイノシシ、野生キノコや輸入ジャムに放射能が検出される理由】(私個人の考察です)
実は私の前職はカナダ系輸入住宅会社で、子会社を立ち上げてメープルシロップを輸入販売しようとしていました。311の後すぐの4月に単身でカナダのモントリオールへ行きメープルシロップの事を現地で学んできました。メープルシロップは樹齢およそ80年から120年位のカエデの樹液です。樹液といってもこれは年に1度、雪解けの時期にそれぞれの木が約1週間だけ湧き出でるように水を幹の中に含むものです。この時期のカエデの幹にコックを挿すと水がポタポタ出ます。この水を飲んでみるとほんのわずかながら甘みを感じることができるのです。これがメープルシロップの原液です。1本の木から40リットルくらいしか採れません。この原液を煮詰めて40分の1にしたのがメープルシロップです(つまり1本の木からできるメープルシロップは1リットル程度なのでメープルシロップは高価なのです)。メープルシロップをさらに煮詰めて水分を完全に飛ばしたものがメープルシュガーで、このメープルシュガーから微量にセシウム137が検出されます。つまりカエデ樹液の原液をものすごーく濃縮したものがメープルシュガーなのです。
また、西日本の野生のキノコを測定したら放射能が検出されたという話があります。これはもともと菌類に放射能を取りこみやすい性質がある上、長い年月のあいだ誰にも食べられずにその場所で動かずに生まれ死ぬということを繰り返す中で自らその土地の養分となりそれを取りこんでどんどん濃縮されていき、測定時に高い値を出したのではないでしょうか。こういう濃縮されたキノコ類を食べるイノシシは・・・想像に難くないですよね。
イチゴなどの地べたに生える果実を煮詰めて濃縮するジャムも放射能が「基準値内で」20年以上ずっと出ていました。成田空港などの検査で基準値を超える放射能が検出されて送り返されることもしばしばあったようです。
しかし私達多くの一般人はそんなことは何にも知らずに「基準値内の放射能が入っている」フランスなどのジャムを食べ続けていたのです。
これらの放射能はどこから来たのかというともちろん福島ではなくチェルノブイリや過去の核実験由来です。半減期が2年のセシウム134が検出されず半減期が25年以上のセシウム137だけ検出されるからです。つまり濃縮されると汚染が露呈するわけで、チェルノブイリ事故等で既に北半球は汚染されていたという事実が浮かび上がるのです。このことから「濃縮された食材」は要注意と予測でき、今後は海の食物連鎖も同様です。
ある統計によると戦後の1945年の日本では癌にかかる割合が5人に一人であったのが、2013年ではCMでも2人に1人が癌になると言われるまでになりました。この50年でこんなに癌が爆発的に増え続けた原因はいったいなんなのだろうと考えるたびに、放射能や農薬や食品添加物やGM食品やトランス脂肪酸、給食などに対するこの国の無策さに怒りを感じずにはいられません。水俣病などの和解問題や裁判がいまだに続いている現状で、福島原発事故への国の対策がこういう状況なのはある意味当然なのかもしれません。
しかし福島原発事故が起きたことによって少しづつそれらを知って自分で調べて考えることができるようになった私達は、日々苦しくて自分たちにできることは限られているかもしれませんが、気づかないままでいるよりずっと人間として母親としてよかったな、と思わないではいられないのです。(今日も重い話でスミマセンッ!)

Edit by 山下 理江

平成26年2月11日(火)

Feb 11. 2014 かごしまんまだより

【かごしまんま商品には加工品があまりない理由】
かごしまんまを立ち上げた当初から商品化したかったものでまだ実現していないものの一部を挙げますと、鹿児島の甘い醤油、つゆ、さつま揚げ、ちくわ、かまぼこ、ドレッシング、マヨネーズ、餃子の皮、ソース、小豆あん・・・等です。
商品化が実現しない理由の一つはまず産地です。つゆに含まれる椎茸やカツオや昆布のエキス、醤油・みりん等の産地を調べていくととてもじゃないですが追い切れません。さつま揚げなどの練り製品に必ず含まれるタラは北のほうの海の魚なので放射能が検出されたという話をしばしば耳にしました。ドレッシングに含まれる玉ねぎは1年を通じて安定供給がある北海道産が主流です。ソースに含まれるリンゴの多くは青森産か中国産です。しかしなるべく九州産がいいなあ、と思うわけです。でも九州のリンゴは本当に少なく観光果樹園にある程度です。
実現しないもう一つの理由は「材料を全てかごしまんま基準にすると商品価格が上がってしまい日常使いの食材ではなくなってしまう」です。例えば鹿児島の醤油はサッカリンなどの甘味料が入っていて甘いのですが、これはショ糖の200~700倍の糖度があります。砂糖だと1kg必要だったところがサッカリンにするとほんの数滴で済んでしまいます。さらに天然の糖類と違って糖度が常に一定なので商品の安定化を図れます。化学合成のものなのでカビや菌類は生えにくくなります。そういう超便利で簡単に効率化やコストダウンができてしまうものが合成添加物なのです。でも、カビさんや菌類君達が嫌う美味しくないものを人間が食べて体に良いのであろうか、と考えてしまうのです。サッカリンは独特のチリチリ痺れるような刺激の後味があります。ステビアは血糖値を下げるのでお腹が空いたり寒く感じたりします。家族、特に成長期にある子供達には食べさせたくないのです。
さつま揚げをはじめとする練り製品にタラが入るのは、タラのような安い白身魚が他にないからです。地元で揚げられた魚だけで合成添加物無添加のさつま揚げを作ると全体の色が灰色になり臭みがあって日持ちがしないのに価格が高くなってしまうのです。小豆あんを望む声もあるのですが、もともと小豆の栽培自体が南国の鹿児島ではあわず、収穫時の細かい作業が大変な割に保管すると虫が発生しやすいので小豆の収穫量が絶対的に足りません。ですから鹿児島産の小豆あんの商品化は、今のところ難しいです。
餃子の皮も無添加で作ろうとするとコストが上がります。さらに工場で作るのですから最低ロット(1回で作る最少の量)の壁が出てきます。お客様から受注した分だけ作ればいいのであれば商品化が比較的可能ですが、最少ロットがある商品はその最少ロット量が賞味期限内にさばけるか、が課題となってきます。かごしまんまウインナーやハム、ベーコンが3パック売りなのも、最少ロットをクリアするためのものなのです。
また、つゆに含まれるだしについて私達は各人それぞれの考えを持っています。「椎茸はどこの産地であっても控えよう」とか「昆布は北の海のものだから控えよう」とか「カツオは枕崎産のものであっても北の海を泳いでいるかもしれないからやめよう」という考え方の人もいれば「少し位のエキス程度ならOK」「昆布は北海道だから許容範囲」の人まで考え方は千差万別です。でも人類の現代科学水準ではこと放射能に関してはどの考え方が正しいのか証明できないのです。それぞれの判断と考えと状況で内部被ばく防御をやっていくしかありません。
ですからかごしまんまでは「加工品はなるべく自分で作ろう!」という願いを込めて【材料】の商品ラインナップを広げることに力を注いでいます。
つゆも焼き肉のタレもマヨネーズもドレッシングも小倉あんも餃子の皮も、季節さえ合えばかごしまんま商品で作れます。加工品も旬の材料で自分で作るものなのだ、と覚悟を決めれば食の世界が大きく変わっていくのです。

Edit by 山下 理江

平成26年2月4日(火)

Feb 4. 2014 かごしまんまだより

自分以外のまんまファンの人たちはいったいどこに住んでいて、どういう考え方の人たちが多いのだろう、そう思うことってありますでしょうか?今回はそれについて少しお話ししたいと思います。
かごしまんまのお客様は全国にわたります。インターネット通販なのでもちろん東京・神奈川・千葉・埼玉の4都県のお客様で半分くらいの割合を占めるのですが、茨城・群馬・栃木・福島・岩手など東日本の各県も多く、さらには長野・大阪・京都・福岡・長崎・沖縄などの西日本からのご注文もたくさんあります。この西日本からのお客様は、もともと西日本に住んでいる方だけでなく311以降に避難移住された方が多い傾向にあります。特に沖縄や九州からのご注文は大半が移住された方です。西日本に住んでいても内部被ばくリスクはあまり変わらないからです。ご注文時の「その他ご要望欄」には商品への質問や要望だけでなく、生産者・スタッフへの感謝の気持ちや給食への悩み、周囲の無理解・これからの日本への心配など、普通の通販では考えられない内容が多く書かれて寄せられます。それだけみんな真剣に日々の食材に向き合っていることを痛感させられます。
かごしまんまをスタートさせた当初の2012年はマヨネーズ、つゆ、お菓子、さつま揚げ、ちくわ、キムチ、ドレッシング、顆粒だし・・・などの商品化リクエストが多く、肥料や飼料などの質問や要望もたくさん寄せられました。しかし私達は自分で調べ勉強を繰り返すうちにこう気づいていきます。
「今の日本で、飼料・肥料や原材料の全てを完璧にベクレルフリーにしたり、生産者に要求して変えていったりするのはとても無理である。どこかで線引きをして妥協できるところは妥協し、なるべく自分で手作りしていく方がいいのだ」と。そしてできるだけ何でも手づくりしていこう、とキッチンに立つようになっていきます。
今ではかごしまんまには商品化リクエストよりも、こういうものを手作りしました!とか今日の夕食はこうです!とか、311以降お料理を頑張るようになりました、野菜には旬があるのだということを知り旬の野菜に合わせてメニューを考えるようになりました・・・という声がたくさん寄せられるようになりました。
お金を出して他者にゆだねるだけでなく、自分自身でも調べたり工夫し作れるものは作ってみたりして強く頑張って家族を守っていこう、そういうふうにみんなの気持ちがどんどん変化していくのが、かごしまんまをやっていて一番嬉しいことのひとつであります。
311は確かに私達に暗い影を落としました。生活観や人生観を一変させられました。でも旬の野菜や自分で作ったものを工夫して食べ続ける生活の喜びや、家族の大切さなどを気づかせてもらったことは、私達にとって人生の大きな宝物になっていくのではないでしょうか。

かごしまんまの野菜は農薬や化学肥料を極力使用しないので、見た目も悪く市場のものより輸送に弱いです。もしかしたらお手元に届く際に虫が一緒に眠っているかもしれません。50km離れた桜島からの灰もかぶっています。すみませんが丁寧に洗って食べてください。減農薬栽培野菜は見た目が悪いですが、穴が開いていたり形が悪かったり少し割れが入っていたりしても食べられます。どうぞご理解、ご賛同くださいますようお願い申し上げます。野菜に重大な腐敗または凍結等ございましたら遠慮なくお申し出ください。
その他の商品も安全性とおいしさにこだわりぬいたものばかりです。一般の商品よりも不格好なものばかり。しかし全て添加物嫌いの私と避難ママみきちゃんが厳しい目と舌で選んだものばかりです。ここなら安心して買い物ができる。スーパーに並ぶ食品よりもちょっと高くなるかもしれない、でもこれが本当の食品の味。そんなものをかごしまんまでは提供し続けていきたいと願います。

Edit by 山下 理江