2023年6月前半号

Jun 13. 2023 かごしまんまだより

【物価高や円安の今こそ、旬のものを食べる食生活を】
今年はかつてない物価高や円安に直面し、日本の脆弱さが露呈しました。
日本の食料自給率は38%と言われています。しかし種子や肥料やビニール資材や燃料、飼料やヒナなど、農業・畜産業に関するものの大半が輸入に頼っており、実質的な自給率は10%未満であろうとも言われています。
もし今後、コロナ禍やウクライナ戦争のようなことが起きて輸入がストップしたら、日本の農業自体が成り立たなくなるうえ食材すら手に入らない状況に陥り、あっという間に都市部から飢餓に陥るだろうとも言われています。
さきの第二次世界大戦中も、農地がある田舎部は自給自足できましたが、農地がない都市部は食料調達を配給制や闇市に頼るしか手立てはありませんでした。
10年以上農家さんと関わって実感するのは『自然に逆らわず旬のものを自然のままつくって食べるのが一番』ということ。
旬のものは土に負担がないから化学肥料がいらない。野菜や果物に負担がないから農薬や燃料がいらない。
しかし自然のままつくると、大きさがさまざまになったり曲がったり変なカタチになったり傷跡やシミがついたり虫の穴が開いたりします。ときには虫やカタツムリも野菜や果物にくっついてきて、シンクやまな板の上で発見されます。
それらを私達が受け入れるかどうかに、いま日本の農業の運命が差し掛かってきていると言っても過言ではありません。
最近、サラダにカエルが混入していたニュースが話題になりました。
カエルがいるなんて、農業の観点からだけで考えればめちゃくちゃ良い野菜のサラダではないですか!
カエルがいるってことはその野菜には虫がいました。虫がいたってことは強い農薬がかけられなかった野菜だという指標。
たしかにカエルや虫やカタツムリは気持ち悪いです。しかしそれは良い野菜にとっては自然なことなのです。カエルや虫が出ないサラダにするために、農薬散布を増やし、異物混入防止のために新たな機械や人件費を投入すべきでしょうか?それではお金のない農家さんや会社は廃業の道を選択するでしょう。違います。サラダや野菜の中に発見したカエルや虫は消費者がそっと外に放してあげればいいだけ。そのあと野菜をよく洗えばいいだけです。
収穫前の有機栽培レタスにはたくさんカタツムリや虫がついているものです。よく洗って出荷しているので私達はそれを知らないだけです。野菜に生き物がいることは自然なことで、仮に少し食べてしまっても問題ありません。
しかし農薬はひとつひとつの野菜にとって微量で安全上問題ないとされても、それがあらゆる野菜で蓄積され続けたらどうなるのか全体的な解明はされておりません。メーカーのデータや国の基準は都合の良い数字でしかありません。
有機栽培・自然栽培野菜中心の農業を社会が必要とするなら、その社会は農業にもっと寛容にならなければいけません。
市場でそれぞれの野菜に厳格な規格があるのも農業が衰退している一因です。その規格に合わないと値がつかないか『規格外』として安値で叩かれたりします。それなら農薬や化学肥料をどんどん投入して、F1種子による均一な野菜を大量につくるほうが農家さんの生活を守れます。しかし今は物価高に円安。農業を続けられず廃業する方が激増しています。
また季節をずらした野菜をつくるのは特に農薬や化学肥料や燃料を大量に使います。このまま物価高や円安が続けば、季節外れの野菜は今後ますます高値になっていくことでしょう。
四季に適した旬のものには、その時期の動物の身体に必要なものが入っており、旬を食べるのが一番健康に良いです。
冬野菜のニンジンや大根やキャベツを、夏に食べるのは農薬の面からも栄養の面からもあまり良くないことです。
さあ、今日も旬のワイルドな野菜を思いっきり楽しんで食べましょう!
今日も皆様の冷蔵庫と食卓とおうち時間が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から願っています。

Edit by 山下 理江