平成27年10月30日【号外】

Oct 29. 2015 かごしまんまだより

【今回のとうもろこしは返品・交換をしません宣言】
かごしまんまの考え方・理念をここに書きますので、野菜セットをご注文されてない方も一読いただければ幸いです。
今回のトウモロコシは減農薬栽培で、まさかのこの時期にできた奇跡のトウモロコシです。
今年の普通のトウモロコシ生産者は、早く植えた人は6月の異常な長雨にやられて全滅、遅めに植えた人は8月の台風にやられて全滅でしたので、鹿児島ではまさかの大不作でシーズン終了でした。ところがチャレンジャーな生産者が南大隅におりまして、なんとさらにその後に植え付けをずらしてダメもとで栽培してみたところ何の妨害もなくできちゃったとのことでした。この時期にトウモロコシが収穫できるなんてミラクルです。ましてや今年は本当にトウモロコシがなかった年。野菜セットに入れられるのも今年は今回1回限り。ご家族で楽しんで召し上がって下さい。
さて、ここからが本題です。
今回のトウモロコシには皮がついております。皮をむかないままの方がトウモロコシが劣化しにくいからです。
皮をむいた方がトウモロコシの虫食いや傷みや実の不具合がわかるので売り手側に都合がいいのですが、少しでも鮮度が良く美味しいものを味わっていただきたいので皮付きのままにしてあります。
しかしトウモロコシは糖分の塊です。もちろん虫や微生物も動物(タヌキや鹿)もトウモロコシが大好き。食べないわけがありません。じゃあそれをどう防ぐのかと申しますと、農薬と防護ネットです。タヌキなどには防護ネットでOKです。でも虫や微生物には農薬の耐性がついていきます。するとどうするか。より強い農薬を使用します。すると今度はトウモロコシ自身もその農薬に負けて弱って枯れてしまいます。それを防ぐために今度は人間はどうしたか。なんと強い農薬をかけても枯れないトウモロコシを遺伝子組み換えで作ってしまいました。他の生き物が死滅するような農薬をかけられても元気でいるトウモロコシ。不自然極まりないですよね。また、遺伝子組み換え植物はそれだけ毒性が強い農薬がたっぷり大量にかかっているということ。糖分の塊であるトウモロコシがたくさん入っている缶詰や冷凍コーンはどうやってあんなに綺麗な粒でしかも安くできるのか、農薬量を考えると怖くなります。日本ではまだ遺伝子組み換え作物はありませんが、輸入のコーンスターチやコーン油など加工食品に使われているトウモロコシ原料製品はほとんど『遺伝子組み換え不分別』、つまり『遺伝子組み換えである』トウモロコシからできています。
消費者の皆さんは野菜に無農薬や減農薬を求めますが、虫食いがあったり菌に侵されて傷んでいる部分があったりすると返品・交換を希望します。するとどうなるか。生産者も利益を出して生きていかねばいけないので減農薬・無農薬栽培をやめ、綺麗なトウモロコシをつくるために農薬を多用します。その方が労力も苦労もコストも減るからです。
トウモロコシに限らず、野菜は安全なものほど虫や菌にも食べられています。そこを私達食べる側がしっかり理解して少しぐらいの虫食いや傷みを許容していかないと日本の減農薬栽培は絶滅していきます。ましてやTPPの波がすぐそこまで来ている今。安くてきれいな野菜のみが生き残るなんておかしいと思いませんか。減農薬で頑張っている生産者を私達が応援するには、安心な野菜の本当の姿は決して綺麗ではないということとその対価(価値・価格)を理解し認めることが必要なのです。
もちろん、あまりにひどくて食べられそうもないものは生産者とかごしまんまの二重チェックで選別し廃棄しています。しかし外見からはわからない傷みや虫食いや虫はどうしても防げません。特に今回のトウモロコシは皮付きで外側からのチェックしかできませんので、生産者にもかごしまんまスタッフにも中の様子がわかりかねます。
野菜に虫食いや傷みがあっても虫がいても、勇気を出してその虫や気持ち悪さと戦ってその部分をカットして調理してください。大丈夫。慣れます。食べられます。お子様がいればぜひ一緒に皮をむいて楽しんでください。
それが本来の安心な野菜の姿でありますし、私達が減農薬野菜を望むならそのリスクも負うべきだと思います。
よって皮をむいて中身の虫食いがひどい場合も微生物による傷みがある場合でも今回は返金・交換いたしません。
絶滅しそうな農業の、中でも最も絶滅しそうな減農薬栽培生産者を守るために、どうかご理解ご協力をお願いします。

Edit by 山下 理江