【高齢化】
今年も山下ぶどう園さんが開園しました。7月25日~お盆くらいまで。このほんのわずかな期間のために、山下さんは1年間大切にぶどうを育てます。巨峰以外のぶどうも何種類かあり、頭上のぶどう棚から数えきれないほどたくさんの色々なぶどうがたわわに垂れ下がっていて、圧巻。まさにぶどう王国です。
「お久しぶりです!今年もお元気そうですね~!」と声をかけると、山下さんは「もう年だからいつまでやれるかわからんよ」と少し寂しそうな笑顔でした。
山下ぶどう園さんも、秋に始まる多田リンゴ園さんもご夫婦で経営されており、共に70歳~80歳というご高齢。若手従業員さんもいません。いつ廃業されてもおかしくない状況です。
実は今、このような状況の生産者さんが日本には大勢います。野菜に比べ、果物の多くは木になるものなので栽培にもお金になるまでにも時間がかかるもの。そして旬が決まっており、収穫期が短め。肉体労働が多く、機械や資材は高額です。苦労して栽培しても台風や大雨などでだいなしになることもあります。機械類や資材の支払いだけが残ってしまいます。なのでもともと生産者数が少数なうえ後継者がいないことが多いです。
近年、果物の価格は上昇傾向にあります。もちろん資材や燃料や配送費などが高騰したことも原因の一つですが、主原因は先に述べたような生産者の高齢化と後継者不足によって廃業が多くなったことによる、供給量の激減なのではないだろうかと推測しています。
このままでは10年後20年後は国産フルーツがさらに貴重な存在になっていき、普通の人には手が届きそうもない価格の高級品になっていることでしょう。
私たちにできることは、買い支えることももちろん大事ですが、こういう問題に声を上げてもっと農業が持続しやすい仕組みになるように政治を動かすことも大切だと思います。
【小豆プロジェクト】
あちこちに相談しまくっていたら、ある日電話がかかってきました。
「自家消費用程度だが、ここ鹿屋で代々ずっと小豆を作っている方がいる。その方が小豆プロジェクトのために小豆を作ってもいいよと言ってくれている」
さっそく連絡を取りました。
りえし「ありがとうございます!お願いします。最高品種の丹波大納言の種をこちらで用意します」
生産者「それじゃ、嫌だ。つくらない」
りえし「へ?」
生産者「うちの小豆のほうが、大納言よりはるかにおいしいもん。うちの種でだったら作ってもいい」
りえし「(むむむ・・・予想外の展開だ。丹波大納言でそろえたかったが、小豆は各地に在来種がある品種。もしかしたら実際に丹波大納言よりも美味しいかもしれない。なによりこの人は鹿屋の貴重な小豆生産者。ここで破談になったらもったいない。ええい、ここはこの人の主張を受け入れて賭けてみよう!)
・・・わかりました、それでは今までの小豆でお願いします!」
皆様の冷蔵庫と食卓とおうち時間が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から願っています。