2021年10月前半版 

Oct 1. 2021 かごしまんまだより

【奇跡の春ジャガ】
自然農法スペシャリストの井之上さんに「ちょっと一緒にジャガ芋の畑を見てくれんか?」と言われたので、ついて行ってみたところ、そこは見渡す限りのワイルドな大草原でした。
「また草原・・・ここを歩くのか、ダルいな」と尻込みする私。
ボウボウの草をかき分けて素手で土を掘る井之上さん。みるみるうちにジャガ芋がゴロゴロ出てきました。
りえし(びっくりして録画開始しながら)「えっ?ちょ?どういうことすか?!」
井之上さん「春のジャガ芋だけど腐ってない。春のまんまよ。」
りえし「えっ?でも茎とかどこ行っちゃったんですか?」
井之上さん「茎はもう枯れてるのよ、春のだから。今の時期ふつうは新しいのを植えて芽が出てくる時期なのよ。それがうちのはどーもない。ま、たまに腐ったり芽を出したりしているのもあるけれど。そういうのは子孫を残そうとしているのよ。」
りえし「・・・すごいな、ここにあるんだ。どう見ても草原にしか見えないっす!」
井之上さん「草ん中だからいいんだよ。そうでないとダメ。草が夏の暑さや日差しから守ってくれるんや」
りえし「草ん中だから逆にいいんだ・・・脚が草でかゆいっす!!」
井之上さん「そう、でもふつうは草ん中で腐っていく。でもうちのはどうもなってない。ずーっとほったらかしで(薬とかかけずに)やってきたから」
りえし「いやいや、それ『自然農法』と言いましょう」(キリッ)
井之上さん「なんぼでもとれる。持って帰って食べてごらん、どーもないから。美味しいよ。芽は掻いてね」
りえし、汚れるのが嫌でビニール袋を井之上さんに支給(←自分の手は汚さず、心が汚れている)。
りえし「え~!?でもこれカルチャーショックですよ・・・。一応マルチも敷いてあるし!w」
(※マルチとはマルチシートという黒いビニールのことで、雑草が生えてくるのを防止するもの。もはやこの草原には何の意味もなさない)
帰宅してキッチンでジャガ芋の土を落としてよく洗っていくと、異様な状態の皮が見えてきました。
ガマガエルのようなブツブツと数々のシミ。そしてなんだか老人の皮膚のように固い。
草の下の地中で、数々の細菌や微生物や虫等と夏のあいだじゅうずっと戦い続けて、そして自己治癒力で傷を治し続けた結果、ブツブツやシミができて固い皮になっていったのでしょう。ピチピチ生きている証です。
「これは・・・喰って大丈夫なシロモノだろうか?」正直そう思いました。
しかし皮をピーラーで剥いてみるとびっくり!まるで新ジャガのように瑞々しい肌がお目見えしました。
2kgほど茹でてキュウリと共にポテトサラダにしたら、子供たちが「激ウマ!激ウマ!」と叫びながらあっという間にペロリと平らげてしまいました。ホント美味しかったです。これから野菜セットにも入ります。
夏の過酷な環境下で、草原の下で腐らずに中身は守られて瑞々しく美味しいまま秋まで『天然貯蔵』されてきた春ジャガなんて、常識では考えられません。恐るべし井之上さん!
井之上さん「おそらくずっと薬や人工的なものを使わないでやってきたからよ。自然が一番だよ」
この話の動画を、かごしまんまツイッターとインスタグラムにもあげています。ぜひ観てくださいネ。

Edit by 山下 理江