【値上げは連鎖】
消費税、健康保険税、電気料金、水道料金、銀行の手数料や切手代、配送料金、原油価格、輸入小麦の政府売渡価格、食用油、輸入飼料・・・色々なものがここ数年の間にどんどん値上がりしています。
輸入小麦や食用油そして輸入飼料などが値上げしている原因のひとつは、海上運賃の長期的な高騰です。
コロナ禍で飛行機や船舶の往来が激減した上に、新規コンテナ生産量が激減して世界的なコンテナ不足となり、海上運賃はコロナ前の数倍に高騰しています。
またとうもろこしをはじめとする飼料の世界的な高騰で、代替飼料として小麦需要が高まってしまい、小麦価格自体も高騰し、ついに政府は輸入小麦の売渡価格の19%値上げを決めました。
輸入飼料が上がれば、酪農家には大打撃です。生産者にとって経費の大半は飼料に費やされています。牛乳や肉類・卵の値上げは避けられないでしょう。
特に牛乳は、大手乳業側との交渉で買取価格が決められており、生産者側からは自由に価格を決められません。
生き物の世話なので早朝から深夜まで作業があり、休日もありません。酪農家戸数は20年前の4割にまで減少しています。
輸入小麦が上がると、パンやお菓子や麺類が値上がりします。
食用油が上がると、油を使う加工品の全てに影響があります。
電気料金や原油価格が上がると、ハウスを温める燃料が必要な青果(ピーマンやイチゴ、マンゴー等)が値上がりします。
多くの果物は、収穫までとても手がかかる上に収穫期も限定的です。近年は全国各地で台風や長雨による壊滅的な被害がありました。一から木を育てるには数年かかることもあり、就労者の高齢化と後継者不足による生産者の廃業はとまりません。
いまや非正規雇用労働者は全体の半分を占めるようになり、多くの国民の平均所得は上がらず、しかも平均所得以下が60%以上を占めるようになってしまいました。
するとどうなるでしょう。消費者の可処分所得が減るので、多くの企業の売り上げが減少します。
「消費税が上がると中小企業が苦しむ」と今回の選挙でよく言われました。これは、ある企業の年間売り上げが前年度よりも落ち込んだり変わらなかったりした場合、減収した上に増えた消費税を国に納めねばならないためさらに苦しくなるからです。
そのうえ国は自分の懐を痛めることなく最低賃金を上げ続け、多くの中小企業や個人経営者を苦しめています。
人件費や物流費・資材費の上昇によって経営が苦しくなると、企業努力だけでは商品価格を維持できなくなるので、企業は商品の値上げに踏み切ります。
こうして全ての商品がじわりじわりと値上がりしたり、1袋に入っている量が少なくなってきたりしているのです。
このように値上げはどんどん連鎖していきます。
政治がなんとかしなければ、人々の可処分所得は下がる一方で、中小企業や個人経営者の廃業も増えることでしょう。
コロナ禍で日本中が疲弊している今こそ、まずは消費税など税制を見直す時だと思います。
新しい国会がまた始まりますが、さて日本の未来はどうなっていくのでしょうか。
皆様の冷蔵庫と食卓とおうち時間が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から願っています。