2022年12月前半号

Dec 29. 2022 かごしまんまだより

【続けたいと思える農業を】
農林水産省の前に畜産農家等約100人が集まり、経営支援を政府に訴えたというニュースが11月30日にありました。
酪農家 金谷雅史さんは「農水(省)の方々、今日は酪農やばいですとお伝えしにきました。増え続ける借金をし続けながら、365日休みなく牛乳を搾っています」 と訴えました。日本では家畜動物の餌のほとんどを輸入に頼っているため、ウクライナ情勢や円安で価格が高騰。畜産農家は、政府が現在行っている対策は後手後手で内容も不十分だとして、見直しを求めました。(yahooニュース抜粋)

畜産業は莫大な飼料を要します。くわえて牛乳はじめ乳製品も肉類も卵も、熾烈な価格競争の世界です。
コスト削減のため1円でも安い飼料を仕入れざるを得ません。
借金が膨らむばかりのなかで、無農薬や非遺伝子組み換えにこだわる余裕が全くないのが現状です。
安い輸入飼料の多くは、農薬まみれの遺伝子組み換え不分別(つまり遺伝子組み換えである)です。
加えて異常な円安と物価高の波。
日本の畜産業は、これでもかというくらいの悪循環で危機的状況に陥っています。
高齢になって継承者がいなくて廃業する農家も増加の一途です。
物価の優等生といわれてきた卵や牛乳。畜産農家の犠牲の上に成り立っているといっても過言ではありません。
今後さらに畜産農家が減っていけば、牛乳や卵は超高級品になり、肉類のほとんどは冷凍輸入肉、という時代がやってきます。その頃には牛乳や卵すら輸入解禁されていることでしょう。
畜産業だけでなく農業全体も危機的状況で、離農する人が増え続けています。
このままですと日本から農業のなり手がいなくなり、将来は野菜や果物も輸入ものが主流になるかもしれません。
食材の多くを輸入に頼るようになると、国際情勢が悪くなった途端に食糧不足や物価高騰になります。
そんな日本の未来はすぐそこです。
これからも続けていきたい。農家の方たちがそう思えるような農業にしていかねば未来は変わりません。
そのためにはまず国や自治体がもっと強固な対策をしなければなりません。
農産物や畜産物の価格を、生産者にとって適正なものにしていかねばなりません。
なにより農業自体を強い構造に変えていかねばなりません。
生産者さんを身近に見続けてきて思うのは、農業は莫大なお金がかかるのに、その負担が全て各生産者さんにのしかかることも問題だということです。
農業用機械は非常に高額で1千万円を超えるものも多いです。それを農家さんは各自で借金購入しています。
台風や水害や不作などで収穫できないときは収入がなくなります。
豊作で値崩れしても、需要が少ない時も、牛からは乳が出続け、鶏からは卵が生み落とされ、野菜の成長も止まりません。
これでインボイス制度が導入されたら、農家さんはどうなるのでしょう。
続けたいと思える農業を構築することは、今の日本にとって防衛費増強や消費税増税よりも重要な問題だと思うのです。

今日も皆様の冷蔵庫と食卓とおうち時間が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から願っています。

Edit by 山下 理江