2023年6月後半号

Jun 13. 2023 かごしまんまだより

【らっきょうのすすめ〜頑張って食べようキャンペーン〜】
前回のまんまだよりで『旬を食べるのが一番!』と力説させていただきました。
野菜セットに入ったとうもろこしも、儚すぎる旬ゆえ本当に美味しかったですね。
さて野菜セットに旬のらっきょうが入ってきました。どうしましょう!困りましたか?らっきょうは苦手ですか?
苦手な人、普段は食べない人も多いのではないでしょうか。でもちょっと聞いてください!らっきょうって実は野菜の中でも効能がダントツで『畑の薬』とも言われるスゴいヤツなんです。
すごい香りなのは、硫化アリル(アリシン)という成分。ネギ類やニンニクにも含まれる揮発性の成分です。おそらく野菜で一番入っていると思われます(りえし体感による)。袋詰めしているだけで目が痛かったんですよ(涙)!強烈です。袋詰めするだけで目が痛い野菜は他に経験がありません。でもこの硫化アリルが効能の宝庫なんです。
らっきょうは紀元前から中国で生薬の『薤白』として『胸痺に効く』とされて重宝されてきました。
胸痺とは胸が詰まって苦しい状態で、心臓系や呼吸器系の不調です。
硫化アリルは、血液をサラサラにし血栓予防する、ビタミンB1の吸収を促進する、強い抗酸化作用や殺菌作用があるので有害な活性酸素やピロリ菌の除去にも効果がある、身体を温め発汗を促す、消化酵素の分泌を促し食欲を増進させる等たくさんの効能があるので、昔の人もそれを経験的に知って生薬として取り入れられていました。
そしてさらにスゴいのは、食物繊維が野菜の中で最も多いんです。ダントツのトップです。なんとごぼうの3倍以上!!
しかもらっきょうに含まれるのは水溶性食物繊維で、腸内の便に水分と共に溶け込んで柔らかくして便通を促す働きがあり、普段から便が硬くて便秘気味の人には特におすすめです。ビフィズス菌の餌になり腸内環境を整える効果もあります。
他にもたくさんの効能があり、総合的に私達の疲労回復を促し、免疫力を上げてガンや生活習慣病の予防や抑制する効果があるのがらっきょうなんです。
日本にも奈良時代に伝来し、江戸時代には既に食用としても親しまれてきました。江戸時代の代表的ならっきょうレシピは、意外にも『煮る』です。江戸時代の人々も、生のらっきょうそのままではやはり食べにくかったのでしょう。
独特の香りと辛味の主体である硫化アリルは、加熱したり水にさらしたりすると抜けていくので食べやすくなります。
水溶性繊維はヌルヌルしていて水に溶けるため、煮込んで汁ごと食べられるスープや味噌汁は理にかなっています。
刻んで味噌汁に入れると、具として入っていることにも気づかないほどらっきょうは気配を消します。
トースターやオーブンで丸ごと焼くのもおすすめ。独特の香りや辛味は姿を消し、甘くトロリとした別のごちそうになります。
苦手な人は、まずは煮たり焼いたりして旬のらっきょうを身体に入れてみましょう。
らっきょう好きな人やがんばれる人には、硫化アリルをほどほどに摂取できる甘酢漬や塩漬・醤油漬がおすすめです。
水溶性食物繊維が溶け込んでいるので、漬け汁も一緒に食べたり、ドレッシングや調味料に混ぜたりして摂りましょう。
超オススメレシピは『刻みらっきょうの甘酢漬』。らっきょうの根をとり皮を剥いて、さっと湯掻いてから(生のままだと辛くて漬け込み時間がかかります)刻んで、酢100mlと粗糖100gに小さじ1杯の塩を入れてよくかき混ぜて溶かし込んだ液に漬け込むだけ。ご飯にかけたりおかずにかけて味変にしたり、タルタルソースの具にしたりと重宝します。
滋養豊富ならっきょうですが、多く摂ると硫化アリルは殺菌作用が強くて胃腸を荒らしますし水溶性食物繊維は便が柔らかくなり過ぎるので注意です。らっきょうは1日に3粒くらいまでの摂取がよい、と言われる所以です。
今日も皆様の冷蔵庫と食卓とおうち時間が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から願っています。

Edit by 山下 理江