2023年11月後半号

Dec 28. 2023 かごしまんまだより

【給食を無償化すれば有機農業が広がる】
山田正彦氏が近所の公民館に来て、映画『食の安全を守る人々』上映と講演会をしてくださいました。
集まったのはほんの20名足らず。しかし忘れられない日となりました。
山田正彦氏は『売り渡される食の安全』(角川新書)の著者で、TPPに反対し有機農業を推進してきた方です。
1942年長崎県に生まれ、早稲田大学卒業して司法試験に合格しますが郷土に帰り、牧場を開いて肉牛肥育事業を始めました。その頃にレイチェル・カーソンの『沈黙の春』や有吉佐和子の『複合汚染』を読んで感銘を受け、自身もなるべく安全なものを飼料にしていきましたが、オイルショックの影響で畜産仲間二人が自殺、自身も4億の負債を抱えてしまいました。弁護士でもあったので事務所を開いて負債の返済と債務整理に当たりました。一方で事務所の一部を開放して有機農業の会を設立。その頃に日本の食料自給率は50%を切るようになり、遺伝子組み換え農産物も大量に輸入され、農薬も有機リン酸系やネオニコチノイド系になっていき、「このままでは日本の食料が危機的状況に陥る」と危機感を抱いて政治に挑戦することを決意。いきなり衆議院選挙に挑戦するも3回落選、1993年に4回目にして初めて当選しました。
議員になってからは食の安全議連等を設立し、遺伝子組み換え食品や農薬問題を農水委員会で糾弾し、著書も数多く出しました。衆議院議員を5期務めて2009年の総選挙で民主党政権になったとき、農林水産大臣として農業のために様々な政策を実現していきました。その頃TPP交渉が浮上、閣議で猛反対して大臣を辞め、今日までTPP反対、種子法廃止、
種苗法改定に対する対策や、給食をオーガニックにする運動を続けている81歳です。
・・・・ざっとプロフィールを書きましたが、すごい生き様ですね。
日本で有機農業やオーガニック給食の実現は夢のまた夢だと思っている方は多いと思います。
講演会に参加するまでは私もその一人でした。だって農薬や化学肥料を使っていかないと綺麗な野菜ができないので販路がない。有機野菜は手間がかかるからどうしても普通の野菜より高値になってしまう。ましてやそういうものを、生徒ひとり月4,000円程度の給食費で絶対買えるわけがない。そう絶望視していました。
しかし山田さんはこう仰いました。
「給食を無償化すればいいのです。給食を無償化すると、給食費は自治体負担になります。自治体負担になると慣行栽培の2倍の価格であっても有機野菜が仕入れられるようになります。自治体が率先して有機野菜を買い取り続ければ、有機栽培に挑戦しようとする農家がだんだんと増えていきます。千葉県いすみ市や東京都武蔵野市をはじめ、今や全国30以上の自治体で給食の無償化とオーガニック化が実現しています。欧州や韓国の給食もオーガニックを積極的に取り入れ、有機農業がどんどん増えています。中国もオーガニックにシフトし始めました。しかし、先進国49カ国の中で日本だけがネオニコチノイド系やグリホサートの基準をどんどん緩めているのです。
一昔前までは少なかった多動症などの発達障害やアレルギー体質の子供達が今、急激に増えています。それはネオニコチノイド系やグリホサートの農薬が激増していっているからだといわれています。
ぜひ鹿屋市も給食をオーガニックにしてください。市民の声で必ずできますから。」
給食の無償化は全国の自治体で実現しつつあります。市民がオーガニック給食推進すれば日本の農業が変わりますね。
最後に山田氏とお話しする機会がありました。鹿屋の在来種の小豆の復活生産をしていることをお伝えしたら、山田氏は「頑張ってるね」と嬉しそうに仰ってくれました。めちゃめちゃ嬉しかったです!!!ハイ頑張ります!!
今日も皆様の冷蔵庫と食卓とおうち時間が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から願っています。

Edit by 山下 理江