【葛湯万歳】
風邪やインフルエンザが流行る季節。皆さまは、どんなふうに乗り切っていますか?
私は、昔から変わらず「葛湯」です。
薬のように効能を期待するというよりも「あ、今日は少し無理をしたな」「喉の奥が怪しいな」というときに、身体を内側からゆっくり温めて緩めてくれる存在です。
葛湯の原料は、本葛。
漢方薬として知られる葛根湯と同じ、葛の根からつくられます。
けれど、白く美しい本葛になるまでの道のりは、とても“おだやか”とは言えないほどの手間と時間がかかります。
本葛づくりは、山の中に自生する葛を探し、時には人の背丈ほども地中深くに伸びた太い根を掘り起こすところから始まります。そうして採取した葛の根を洗って、砕いて、さらして、沈殿させて……何度も何度も水を替え、不純物を取り除き、ようやく残るのが、あの澄んだ白い澱粉。
気が遠くなるような作業の積み重ねの末に、ようやく「本葛」は生まれます。
ここ、かごしまんまのある大隈半島は、そんな本葛の産地のひとつ。
山に自生する葛を掘り起こして採取するため、もちろん無農薬です。
マグカップ一杯分の葛湯は、とてもシンプル。
・本葛 大さじ1
・水 200g
を鍋に入れ、鍋底が焦げないようにスプーンで静かに混ぜながら火にかけます。
透明だった液体が、ふっと変化して、とろみが出てくる瞬間。何度見ても、少し嬉しくなる瞬間です。
そこに、すりおろした生姜、金柑の甘露煮、はちみつや、お気に入りのジャムを少し。
最近のお気に入りは、金柑の甘露煮を甘味料代わりにして、生姜をガッツリ入れた葛湯。
生姜の辛さに、思わず「スースー、ハーハー」しながら飲み干して、そのまま布団に入ります。
次の日は「あれ?」と思うくらい、体のだるさが抜けていることが多いです。
冷えた体を内側から温め、張りつめていたものを少し緩めてくれる。私はこの季節、葛湯に何度も助けられています。
忙しい日々のなかで、ほんの5分。
自分の身体のために火にかける時間。それ自体が、もう『養生』なのかもしれません。
市販の安い『インスタント葛湯』は、本葛ではなく馬鈴薯澱粉(ジャガイモのでんぷん)が多く入っているニセモノです。
ぜひ『本葛』からつくる葛湯を飲んでみてください。お手頃な大隅産の本葛は、かごしまんま通販にもあります。
今日も皆様の冷蔵庫と食卓が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から願っています。
2026年2月前半号
Edit by 山下 理江