2026 February

2026年3月前半号

Feb 27. 2026 かごしまんまだより

【福山つぼ酢の風景】
かごしまんま創立当初からの人気商品『手造り 琥珀色の福山つぼ酢』。これは本当に本当にすごい調味料です。
その壺畑を訪ね、株式会社福山こめ酢の大野社長からお話をうかがってきました。

かごしまんまから車でひたすら桜島を取り囲む鹿児島湾岸沿いの道路を進むこと2時間。
福山町に入ると、山の斜面に壺が静置された畑がたくさん現れ、それはそれは穏やかな時間が流れていました。
日当たりの良い山の斜面に並べたアマン壺と呼ばれる独特な形の陶器製の壺に、玄米、米麹、天然ミネラル水だけを仕込み、自然の力で発酵と熟成を重ねる――これが鹿児島の壺造り黒酢です。
一年以上熟成させたものが、福山で昔から“黒酢”と呼ばれてきました。さらに二年以上熟成したものは、より円熟した味わいとして区別されて価格が高いものになっていきます。時間そのものが価値なのです。
かごしまんまの『つぼ酢』は、まさにこの二年以上熟成した黒酢のこと。
あえて黒酢とは名付けずに、壺で仕込む製法をそのまま表した呼び名にして、日常生活に取り入れやすい価格にしています。
壺の中では、ゆっくりと三つの発酵が進みます。麹が玄米のでんぷんを糖に変える「糖化」。酵母が糖をアルコールへと変える「アルコール発酵」。そして酢酸菌がアルコールを酢へと変える「酢酸発酵」。
考え方は日本酒づくりと同じですが、日本酒がアルコール度数を高めるのに対し、酢は約8%程度になるよう配合を整えます。その濃度が酢酸菌にとって最も働きやすいからです。
ワインやチーズが二つの発酵でできるのに対し、福山の酢づくりは一つの壺の中で三段階が自然に完結するという、世界的にも非常に珍しい製法です。
この壺酢造りに欠かせないのがアマン壺。周囲直径およそ40センチ、高さ62センチ、口径14センチほどの陶器の壺です。
古いものは薩摩焼・苗代川焼が今も使われ、100年ほど使用している壺もあり、現在は台湾製や韓国製の壺もあります。
壺は単なる容器ではなく、その独特な形状で発酵を育む小さな工場。黒酢作りにおいて“母”のような存在なのです。
霧島市福山は、三方を山に囲まれて南向きで日当たりがよい斜面が多く、霜の少ない穏やかな土地。江戸時代は、薩摩藩の米が集まり港へと運ばれた歴史を持つ場所です。
良質な玄米と豊かな天然水にも恵まれた、奇跡的な土地なのです。
そうして世界的にも珍しい、壺仕込みの黒酢文化が育まれていきました。
壺酢は仕込みから一年、二年と、年単位で熟成を重ねます。
急がず、焦らず、自然に委ねる。壺の中で、時間が風味を育てていきます。
そうしてできた黒酢は天然アミノ酸を豊富に含んでいます。アミノ酸は、たんぱく質の合成や生命維持に欠かせない成分です。黒酢には必須アミノ酸がすべて含まれているといわれます。そのほか、ミネラルやビタミン、有機酸なども広く、バランスよく含まれています。壺の中で時間をかけて熟成されることで、独特の香りと、まろやかな味わいが生まれます。
しかしスーパーに並ぶ多くの酢は全く違います。温度管理されたタンクで数日から二週間ほどで発酵させ、製品になるまで数か月程度。品質が安定し価格も抑えられる合理的な方法ですが、アミノ酸量もうまみも非常に少ないのです。
実は、福山黒酢のアミノ酸量は、仕込みから一年ほどで最大になってそこからは増加しないことがわかっています。
2年ものと3年もの4年ものとの違いは、コクやまろやかさが違うだけで、飲む上での健康さは全く一緒です。
だからかごしまんまの「手造り 琥珀色の福山つぼ酢」は、ぜひ取り入れていただきたい逸品なのです。
今日も皆様の冷蔵庫と食卓が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から願っています。

Edit by 山下 理江

2026年2月後半号

Feb 13. 2026 かごしまんまだより

緊急告知【まるかじり金柑、復活!!】
惜しまれながら辞められた丸山果樹園さんの果樹園を、引き継ごうという生産者さんが現れ、まるかじり金柑が復活しました!
今季は今月末までの販売予定です。お早めにご注文ください。

【小豆が不作で、製餡ひと工夫】
ここ数年の異常気象や温暖化で、多くの雑穀で不作が続いています。
小豆も例外ではありません。2年連続で不作です。
雨不足や高温障害により、受粉率が低下したり、
成長しすぎて倒れてしまったり、未成熟のまま霜にあたって枯れてしまったり。
収穫量は例年の約3分の1。
そのため、原穀の販売もいよいよ休止せざるを得ない状況となりました。
全体的に色づきが薄く、粒あんを炊くと「石豆」と呼ばれる、吸水が遅く、煮ても柔らかくならない硬い豆が多くなりました。
石豆が目立つ粒あんができた日、正直「全部捨ててしまおう」と思いましたが、大海酒販の山下社長から
「捨てるのは、いつでもできる。でも大切な原料で作ったもの。
これを工夫して売っていくのが、我々経営者の仕事だよ。」
その一言が刺さりました。
まずは「訳あり粒あん」として取引先に値引販売することにしました。

そのとき発注を受けていたパン屋さん2件と小売業者さん1件に、理由を説明してサンプルをお渡ししご判断頂くことに。
パン屋さん2件は、こう言ってくださいました。
「多少硬い豆があっても大丈夫。
パンと一緒に食べるから気にならないし、むしろ手作り感があっていいと思う。」
一方、小売業者さんからは、
「味は理解できるが、お客様に説明が伝わるか不安」という理由で、今回は見送りに。
どちらも真摯なご判断。ありがたいご意見でした。
農作物は豊作の年もあれば、不作の年もあります。
小豆は不作の年ほど、石豆や色の薄い豆が増えます。
そして異常気象は今後も続くと言われています。
このままでは、「かのや姫小豆」の品質を安定して届けられない。
事業の存続そのものに関わる問題でした。
石豆を減らす方法を調べ、何度も実験しました。
一晩水に漬けておく
ことや、熱湯にくぐらせること。確かに石豆は減ります。

でも同時に、豆の風味が薄くなる。炊くと豆の皮が破れ、旨みが流れ出る。
「石豆を減らす」と「味を守る」は、両立しないのか・・・。不安を抱えつつ、繰り返し炊き直し。
そうしてたどり着いたのが、低温でじっくり前炊きし、ゆでこぼしをせず、そのまま本炊きへ進む方法。
石豆を大幅に減らしながら小豆本来の濃い味わいを引き出すことに成功しました。
小豆の炊き方は、こんなにも奥深い世界だったのか。
多くの学びを得ることができました。
あのとき、すぐに廃棄しなくてよかった。
背中を押してくれた山下社長にも、パン屋さんにも、
小売業者さんにも、
心から感謝しています。
現在、かごしまんまHPで販売中の「★訳あり商品★ かのや姫小豆の粒あん」は、まさにこの物語を持った商品です。
「それでもいいよ」と選んでくださる方がいることが、私たちの日々の励みとなっております。
今日も皆様の冷蔵庫と食卓が安心と幸せで一杯になりますように。同じ空の下、心から願っています。

Edit by 山下 理江